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循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。

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「頻脈/徐脈でコールがあったときの対応を知りたい!」「心不全はまずはどこを見る?」「PCIの流れを教えて!」「病棟と外来でカルテの書き方は同じ?」「胸部X線の読み方をざっくり知りたい!」「苦手な指導医の対処法を教えて(泣)」など、循環器ローテで出てくるギモンに、あの『うし先生』がわかりやすく解説!

上原 拓樹
発行 2024年05月判型:B5頁:216
ISBN 978-4-260-05621-2
定価 4,950円 (本体4,500円+税)

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はじめに

 こんにちは,うしです.この本を手に取っていただきありがとうございます.

 最近は心不全など循環器関係の教科書も増え,SNSやYouTubeなどからも情報を得やすくなり,以前より勉強がしやすくなったのではないかと感じています.私自身,市中病院に勤務する傍らYouTubeで初学者向けの動画を配信し,おかげさまで1万人を超える方々にチャンネル登録いただきました(https://www.youtube.com/user/haraki0921).また循環器領域では,日本循環器学会の非常に詳細なガイドラインがWEB上で,しかも無料で閲覧できるのも,画期的なことだと思います.
 ただ逆に,情報の選択が難しくなり,何を使って勉強したらよいのか悩むことも増えたのではないでしょうか? また,ガイドラインは豊富な情報とエビデンスが盛り込まれていて,さらにはガイドライン自体も細かく分類されているので,特に心不全や不整脈など,どこを読んでよいのか初学者の方は悩まれるかもしれません.

 この本は,研修医の先生が循環器内科をローテートするときに「こういう場合はどうすればいいのだろう?」と悩みがちなギモンを100個解説しました.研修医の先生はもちろん,専攻医の先生や看護師・臨床検査技師・薬剤師など多職種の方も「あるある!」と思っていただけること間違いなしです.ぜひ,研修医の「いぬ先生」になりきって,読み進めてください.
 著者は初期研修から9年間,市中病院(北海道の勤医協中央病院)に所属していましたが,実臨床では高齢の方や基礎疾患を多数もつ患者さんに加え,患者さん個々人の環境や考えなども異なり,ガイドラインや教科書のような診療は難しいことが多いと感じていました.そのためこの本では,読者の皆さんの多くと同じであろう,市中病院の実臨床になるべく沿って,現実的な選択・診療を意識して執筆しました.また,初学者がすぐに情報を得て,後で見返せるよう,全項目見開き2ページで解説しています.
 循環器専門の先生には物足りないかもしれませんし,一部教科書と表現の仕方が異なる内容もありますが,なるべく日本循環器学会ガイドラインから引用し,ガイドラインを越えない範囲での情報量としています.この本を読んでさらに疑問に思ったことは,ぜひ該当のガイドラインもご覧いただけたら幸いです.この本を通して,皆様の循環器診療の理解と興味が少しでも広がっていただけたらと願っています.
 最後になりますが,本書の執筆にあたってご助言をいただいた佐藤宏行先生(東北大学病院 循環器内科)に心より感謝いたします.

 2024年4月
 「うし先生」こと
 上原 拓樹

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はじめに
本書の使い方・登場人物(動物)紹介

第1章 循環器病棟に行く前に,ちょっと聞いてもいいですか?
 Q1 研修医として入職前にしておいたほうがいいことはありますか?
    #入職前 #勉強方法 #病棟総論
 Q2 循環器病棟でのカルテの書き方を教えてください
    #カルテ #多職種連携 #実例アリ #病棟総論
 Q3 入院患者を受け持ったらまず確認することは何ですか?
    #患者受け持ち #カルテ #病棟総論
 Q4 事前に入力する病棟指示のコツはありますか?
    #病棟指示 #多職種連携 #病棟総論
 Q5 循環器疾患の病状説明はいつ・誰にしたらいいですか?
    #病状説明 #プレゼンテーション #病棟総論 #患者受け持ち
 Q6 プレゼンテーションに自信がありません……
    #コンサルト #プレゼンテーション #他科連携
 Q7 上手な循環器内科コンサルトを教えてください
    #コンサルト #プレゼンテーション #他科連携
 Q8 循環器病棟で夜間コールがあったら,気をつけることはありますか?
    #病棟当直 #夜間コール #病棟総論 #急変対応
 Q9 研修医のうちに学会発表はしたほうがいいですか?
    #学会発表 #症例報告 #論文作成
 Q10 SNSの情報はどう解釈したらいいですか?
    #SNS #勉強方法 #情報収集

第2章 病棟配属スタート! まずはこれだけ教えてください!
 Q11 インシデントを起こしてしまいました……
    #インシデント #アクシデント #ヒヤリハット
 Q12 担当患者に多数の処方があるのですが,整理したほうがいいですか?
    #ポリファーマシー #かかりつけ連携 #病棟総論 #多職種連携
 Q13 胸部X線の読み方をざっくり教えてください
    #ざっくり読影解説 #胸部X線 #画像総論
 Q14 12誘導心電図の読み方をざっくり教えてください
    #ざっくり読影解説 #心電図 #画像総論
 Q15 モニター心電図は,誰に装着して,何を見たらいいですか?
    #心電図 #検査・治療の適応
 Q16 心エコーレポートの見方をざっくり教えてください(前編)
    #ざっくり読影解説 #心エコー #画像総論 #心不全 #弁膜症
 Q17 心エコーレポートの見方をざっくり教えてください(後編)
    #ざっくり読影解説 #心エコー #画像総論 #心不全 #弁膜症
 Q18 心不全でIVCが拡張しているから溢水ですよね?
    #心不全 #右心不全 #体液量評価 #下大静脈 #IVC #心エコー
 Q19 右心カテーテル検査の読み方と適応をざっくり教えてください
    #ざっくり読影解説 #カテーテル検査 #検査・治療の適応
 Q20 抗血栓薬は一生飲んでもらうことになりますか?
    #抗血栓薬 #労作性心筋症 #急性心筋梗塞 #閉塞性動脈硬化症 #静脈血栓塞栓症 #心房細動
 Q21 心不全患者を受け持ったら,何をしたらいいですか?
    #心不全 #疾患総論
 Q22 急性心不全でも酸素化がよければNPPVは不要ですか?
    #急性心不全 #NPPV #クリニカルシナリオ #急変対応
 Q23 心肥大があっても,心不全がなければ大丈夫ですか?
    #心肥大 #心不全 #肥大型心筋症 #心不全の原因 #心アミロイドーシス
 Q24 そもそもLVEFが下がる原因は何ですか?
    #心不全 #LVEF #HFrEF #心不全の原因
 Q25 LVEFが正常な心不全はどう診断すればいいですか?
    #心不全 #LVEF #HFpEF #心不全の原因 #左心不全 #右心不全
 Q26 絶対に見逃したくない二次性心筋症について教えてください
    #二次性心筋症 #心臓サルコイドーシス #心アミロイドーシス #心不全の原因
 Q27 右心不全が結局よくわかりません……
    #心不全 #右心不全 #左心不全 #心不全の原因 #うっ血肝
 Q28 心不全の増悪因子は,原因と別なんですか?
    #心不全 #心不全の増悪因子
 Q29 BNPとNT-proBNPが高いので心不全ですよね?
    #心不全 #BNP #NT-proBNP
 Q30 心不全の胸水はドレナージしてもいいですか?
    #心不全 #胸水 #検査・治療の適応 #ドレナージ
 Q31 心不全と肺炎の区別がつきません……
    #心不全 #肺炎 #鑑別診断
 Q32 心エコー検査が正常だったら,心不全は否定的ですよね?
    #心エコー #下大静脈 #IVC #心不全
 Q33 拡張型心筋症を疑う場合に心筋生検の適応はありますか?
    #拡張型心筋症 #心筋生検 #検査・治療の適応 #心不全
 Q34 高齢者の心不全診療で気をつけることは何ですか?
    #心不全 #高齢者 #ポリファーマシー
 Q35 心不全薬の使い方と使い分けをざっくり教えてください
    #心不全 #Fantastic4 #使い分け
 Q36 利尿薬の使い方を教えてください
    #心不全 #利尿薬 #使い分け
 Q37 狭心症を疑ったら冠動脈評価をすればいいですか?
    #狭心症 #急性冠症候群 #ACS #慢性冠動脈疾患 #疾患総論
 Q38 労作性狭心症の保存的加療はどう考えればいいですか?
    #労作性狭心症 #保存的加療 #慢性冠動脈疾患
 Q39 冠攣縮性狭心症は精査したほうがいいですか?
    #冠攣縮性狭心症 #カテーテル検査 #検査・治療の適応
 Q40 狭心症だと思って冠動脈を見たらとてもキレイでした!?
    #狭心症 #冠動脈造影 #微小血管性狭心症
 Q41 不安定狭心症が除外しきれません……
    #不安定狭心症 #NSTE-ACS
 Q42 急性心筋梗塞は心電図とって循環器コンサルトでOKですか?
    #急性心筋梗塞 #STEMI #NSTE-ACS #初期対応
 Q43 急性心筋梗塞でPCIをした後にやることはありますか?
    #急性心筋梗塞 #術後管理 #合併症
 Q44 抗血栓薬はいつまで2剤続けるべきですか?
    #抗血栓薬 #使い分け
 Q45 たこつぼ症候群と急性心筋梗塞って似てませんか?
    #たこつぼ症候群 #急性心筋梗塞 #鑑別診断
 Q46 冠動脈造影でLADとLCXの区別がつきません……
    #冠動脈造影 #画像総論 #左冠動脈 #LCA #右冠動脈 #RCA #カテーテル検査
 Q47 PCIの一般的な流れを教えてください
    #ざっくり手技解説 #PCI #カテーテル検査 #多職種連携
 Q48 PCI中に患者さんが苦しがっています!
    #PCI #合併症 #トラブルシューティング #カテーテル検査
 Q49 カテーテル検査の適応は何歳までですか?
    #カテーテル検査 #検査・治療の適応 #高齢者 #意思決定支援
 Q50 心房細動って,結局何をしたらいいんですか?
    #心房細動 #抗凝固療法 #レートコントロール #リズムコントロール #疾患総論
 Q51 心房細動のレートコントロールをシンプルに教えてください
    #心房細動 #レートコントロール #頻脈
 Q52 頻脈と徐脈のコントロールがつきません……
    #不整脈 #レートコントロール #ペースメーカ #アブレーション #頻脈 #徐脈
 Q53 うし先生……,抗不整脈薬を使ってみたいです……!
    #抗不整脈薬 #検査・治療の適応 #不整脈
 Q54 心房細動は全員アブレーションしたらダメですか?
    #心房細動 #アブレーション #リズムコントロール
 Q55 DOACの使い分けを教えてください
    #心房細動 #抗凝固療法 #DOAC #使い分け
 Q56 ワルファリンではなく全例DOACでもOKですか?
    #心房細動 #抗凝固療法 #ワルファリン
 Q57 PSVTだと思うのですが,ATPを使用するべきですか?
    #心電図 #発作性上室頻拍 #PSVT #ATP #初期対応
 Q58 夜間病棟での頻脈・徐脈は,どのくらいまで様子を見てOKですか?
    #頻脈 #徐脈 #病棟当直 #夜間コール
 Q59 PACがたくさん出ていますが,様子を見てOKですか?
    #心電図 #心房期外収縮 #PAC #マネジメント #不整脈
 Q60 PVCが少し出ていますが,様子を見てOKですか?
    #心電図 #心室期外収縮 #PVC #マネジメント #不整脈
 Q61 ちょっとした非持続性心室頻拍を見つけてしまいました
    #心電図 #不整脈 #非持続性心室頻拍 #NSVT #ICD
 Q62 右脚ブロックと左脚ブロックが苦手です……
    #心電図 #脚ブロック #右脚ブロック #左脚ブロック
 Q63 ペースメーカの適応と設定を教えてください
    #ペースメーカ #症候性徐脈 #デバイス #検査・治療の適応
 Q64 一時的ペースメーカの適応を教えてください
    #ペースメーカ #検査・治療の適応 #不整脈 #デバイス
 Q65 全例リードレスペースメーカじゃダメですか?
    #ペースメーカ #検査・治療の適応 #不整脈 #デバイス
 Q66 CRTとICDが全然わかりません……
    #ペースメーカ #CRT #ICD #デバイス
 Q67 デバイス植込み患者にMRIと運転の可否を聞かれました
    #ペースメーカ #CRT #こんなこと聞かれました #ICD #デバイス
 Q68 失神患者に心電図と心エコー検査をやりましたが,あとは何をしますか?
    #失神 #心電図 #病歴聴取 #初期対応 #疾患総論
 Q69 重症大動脈弁狭窄症はカテーテル治療でもOKですか?
    #弁膜症 #大動脈弁狭窄症 #外科手術 #TAVI #検査・治療の適応
 Q70 僧帽弁閉鎖不全症も,重症なら手術ですよね?
    #弁膜症 #僧帽弁閉鎖不全症 #外科手術 #MitraClip® #検査・治療の適応
 Q71 重症三尖弁閉鎖不全症も,手術することはありますよね?
    #弁膜症 #三尖弁閉鎖不全症 #外科手術 #検査・治療の適応
 Q72 感染性心内膜炎と診断したら,抗菌薬でOKですよね?
    #感染性心内膜炎 #経食道心エコー #外科手術 #抗菌薬
 Q73 経食道心エコー検査はいつ行ったらいいですか?
    #経食道心エコー #検査・治療の適応 #菌血症 #感染性心内膜炎
 Q74 急性大動脈解離の内科の入院治療は何をするんですか?
    #急性大動脈解離 #保存的加療 #疾患総論
 Q75 急性大動脈解離の画像の読み方を教えてください
    #急性大動脈解離 #単純CT #造影CT #画像総論
 Q76 急性大動脈解離の発熱と低酸素血症に困っています……
    #急性大動脈解離 #発熱 #低酸素血症 #急変対応
 Q77 下肢の動脈が閉塞していたら,急いで治療すべきですか?
    #末梢動脈疾患 #閉塞性動脈硬化症 #リスク評価 #疾患総論
 Q78 静脈血栓塞栓症を見たら,急いでヘパリンですか?
    #静脈血栓塞栓症 #ヘパリン #DOAC #疾患総論
 Q79 肺高血圧症患者の精査入院を受け持つことになりました(前編)
    #肺高血圧症 #精査入院 #疾患総論
 Q80 肺高血圧症患者の精査入院を受け持つことになりました(後編)
    #肺高血圧症 #精査入院 #疾患総論
 第2章の文中におさまりきらなかった文献

第3章 業務にも慣れてきました! でもこういう場合はどうしたら……
 Q81 担当した患者さんが帰りたいと言って制止がききません……
    #入院適応 #意思決定支援 #病棟総論 #患者受け持ち
 Q82 他科から心臓的に手術してもよいか相談されました
    #非心臓手術 #検査・治療の適応 #リスク評価 #こんなこと聞かれました #他科連携
 Q83 他科から抗血栓薬を中止してよいか相談されました
    #抗血栓薬 #こんなこと聞かれました #他科連携
 Q84 心拍非同期の胸部単純CTでも心臓の情報があるんですか?
    #単純CT #肺炎 #心不全 #画像総論
 Q85 腎不全併存やメトホルミン内服中は造影剤NGですよね?
    #造影CT #腎不全 #メトホルミン #カテーテル検査
 Q86 DNAR患者の心室細動は除細動してもよいですか?
    #DNAR #事前指示 #ACP #意思決定支援 #検査・治療の適応
 Q87 苦手な指導医・上司の対処法を教えてください(泣)
    #指導医 #人間関係 #ストレス #メンタル
 Q88 偶然心囊液を見つけたら,どうすればいいですか?
    #心囊液 #心タンポナーデ #心囊穿刺 #ドレナージ #心膜炎
 Q89 急性心膜炎は,経過観察でOKですよね?
    #心膜炎 #心囊液
 Q90 急性心筋炎を疑っても,心筋生検は必須ではないですよね?
    #急性心筋炎 #心筋生検 #検査・治療の適応
 Q91 心不全患者の低Na血症は,きっと脱水ですよね?
    #心不全 #低Na 血症
 Q92 心不全に肝障害を合併したら,うっ血肝ですか?
    #心不全 #肝障害 #うっ血肝
 Q93 心不全患者の腎機能低下って,よくあることですよね?
    #心不全 #腎機能低下 #腎不全
 Q94 血圧が低いので,心疾患患者のβ遮断薬をやめていいですか?
    #心不全 #降圧薬 #心保護薬 #抗不整脈薬
 Q95 最近,運動負荷心電図は行わないんですか?
    #狭心症 #運動負荷心電図 #心肺運動負荷試験 #CPX
 Q96 CT検査で病変があったら,PCIをするべきですか?
    #慢性冠動脈疾患 #PCI #検査・治療の適応 #カテーテル検査 #造影CT
 Q97 PCIってそんなにデメリットありますか?
    #労作性狭心症 #PCI #検査・治療の適応 #カテーテル検査
 Q98 急性心筋梗塞と急性大動脈解離の鑑別がつきません……
    #急性心筋梗塞 #急性大動脈解離 #鑑別診断 #合併例
 Q99 心不全診療のお手本を見せてください(前編)
    #実例アリ #心不全
 Q100 心不全診療のお手本を見せてください(後編)
    #実例アリ #心不全
 Q99,100 の症例のまとめ

ハッシュタグ索引

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ある日の病棟の昼下がり
書評者:永嶋 孝一(日本大学医学部内科学系循環器内科学分野 准教授)

ながしま「あっ,この黄色い本,うし先生の本じゃん!」

研修医「そーっすよ。みんな買ってて,今病棟に3冊ありますよ。」

ながしま「マジで? この本,分かりやすい?」

研修医「いやー,研修医になりたての僕らがまさに直面してる疑問が書いてあるんすよ! しかも,解説が分かりやすいんすよ! でも先生こそどーしたんすか?」

ながしま「いや,実はさ,この本の書評を依頼されててさー(得意気)。」

研修医「えっ,マジっすか? ってことは先生,うし先生と知り合いなんすか?」

ながしま「そだよ。うし先生ってさー(得意気2)。」

研修医「マーージっすか? 超うらやましいんですけど!」

ながしま「えっ,そんなに人気なの?」

研修医「そりゃー人気ですよ! だって,研修医の悩みを全て解決してくれるんですもん。カルテの書き方やオーダー入力とか,病棟指示や夜間コール対応とか,研修医がまず直面する問題を解決してくれますし,レントゲンや心電図の読み方も超助かりますし,心エコーや心カテの読み方とか,僕らが先生たちに聞きたいけど聞きづらいことも全部解説してくれてるんすよ! おまけにSNSの使い方やインシデント,プレゼンまで教えてくれてます。僕らもうし先生に会いたいですー!」

ながしま「ところでさ,不整脈王って知ってる?」

研修医「知らないです。」


専修医「先生,この本の後半は,入局したての私達にもめちゃいいですよ! ペースメーカーやICD,CRT-Dを入れた患者さんの疑問とか,弁膜症の評価の仕方,不整脈の対応,大動脈解離のCTの読み方,肺高血圧の管理とか……結構ガチで臨床で悩む内容を解説してくれてますよ!」

ながしま「た,確かに……。研修医に質問されるとつい,『そーゆーもんなんだよ』と答えちゃってることも丁寧に解説してくれてるな……。」

専修医「私もうし先生に会ってみたいです。サインもらいたい♡」

ながしま「ところでさ,EP大学って……。」

全員「知らないです。」


専修医「あー,先生! この本,苦手な指導医・上司の対処法についても書いてありますよー! ほらココ,ココ! 先生も買って読んだら,研修医の気持ちが分かってイイんじゃないっすか(笑)。」

 現場からは以上です。


医業の入り口に立った諸君,まずはこれを持っていけ
書評者:深谷 英平(北里大講師・循環器内科学)

 本書を手に取り,初めに感じたことは,「自分の研修医開始時点に読みたかった……」の一言に尽きる。なんなら,専攻医や看護師にもとても役に立つ内容ですよ,これは。

 第1章は,医学部の座学では全く教わることのない,現場の話から始まる。それぞれの病院・病棟には仕事をする上でのルール(一部はローカルルール(汗))があるが,そのお作法は,都度現場の先輩方に口頭で教わってきた。時に別のローテーション先の先輩医師だったり,先輩看護師だったり,同僚だったりとコミュニケーションを取りながら,その不文律をなんとなく自分の中で習得していった。昔はそのような“俺流かもしれない不文律“が通用したが,昨今は医療安全の観点からも,ある程度型にはまったものが必要になってきている。本書はまさにその点を,具体例と共に記載されている。とりあえずこれを読んでおけば大きく外れることはなさそうである。さらには,プレゼン,コンサルテーション,学会発表,論文,SNSの使い方と続く。まさに痒いところに手が届いている感じ。世の中には医学書といえば専門書が多く,より細分化された,マニアックな教科書が増えつつある中,本書のような,いわば“医業の入口部分”にこれだけ手厚く解説を加えている著書を私は見たことがない。

 第2章は,膨大な循環器領域の疾患や検査を全体的に網羅しつつも,素朴な疑問にうし先生が答えるスタイルの解説で,理解しやすい構成だ。各タイトルを見ただけで読みたくなる。しかも,私が普段若手から質問される内容とかなり似ているじゃないか。今後はこの本を読め,と言おうと思う。それくらい,スーッと入ってくる解説である。

 さらに第3章では,より深いテーマを取り上げている。ここは専攻医や循環器スタッフでも知りたいような複雑な内容を,これまたシンプルにまとめている。第3章の最初の項目が,「患者さんが帰りたいと言って制止がききません……」という,テーマ。そこきたかっ!と思ったが,結構現場ではある話。なかなかこういう解説は目にしないので,ありがたい。それ以外の項目も,読みたくなるテーマがめじろ押しだった。「苦手な指導医・上司の対処法を教えてください(泣)」なんていう項目がある医学書,初めて見たわ(笑)。

 それはさておき,全体の構成として,全てのテーマを見開き2ページでまとまるコンパクトさは,まさに秀逸である。結構ボリュームがある著書だが,さらっと気になるパートだけを開いても,1話完結ストーリーとして実に読みやすい。忙しい研修が始まった後でも,役に立つこと間違いなしだ。

 一通り読んでみて,なんとも読みやすい本であった。うし先生の単著でこのクオリティ,彼の教育への情熱を感じる作品である。ぜひ,一読あれ。


循環器病棟の不安を解消!うし先生と一緒に学ぼう
書評者:徳田 道史(東京慈恵会医大講師・循環器内科学)

 循環器病棟って聞くだけでドキドキしませんか?

 初学者はもちろん,ちょっとしたベテランでも「え,これどうすればいいの?」となる瞬間ってありますよね。そんなあなたにピッタリのガイドブックが,うし先生によって書かれました。うし先生は,YouTubeやXでの積極的なアウトプットでも知られる循環器内科医であり,『循環器病棟の業務が全然わからないので,うし先生に聞いてみた。』は,名前の通り,循環器病棟で働く人たちの強い味方です。彼の豊富な経験と実績を生かし,実際の臨床現場で直面するさまざまな状況に基づいた知識とスキルを,読者に語りかける形で解説してくれています。読むと,まるでうし先生が隣で優しく指導してくれているような感覚になりますよ。

 この本は,循環器病棟をローテーションする研修医や,まだ将来を決めかねている循環器にちょっと興味のある若手医師をはじめ,看護師や臨床検査技師,薬剤師といった,循環器病棟に携わる多職種のプロフェッショナルにもピッタリ。循環器病棟の日々の業務をスムーズに,かつ効率的に進めるためのノウハウが盛りだくさんです。

 イチオシポイントは,うし先生がどんな複雑な内容もサラリとわかりやすく説明してくれること。インフルエンサーとして活躍する彼の解説は,まるで友人に話を聞いているような気軽さ。読んでいると,疑問がすーっと晴れていく感覚に陥ります。

 病棟配属前の「何から始めれば?」,実際に配属されてからの「今どうすれば?」,さらには少し慣れてきたときの「次に何を学べば?」まで,三段階であらゆるシチュエーションをしっかりサポートしてくれます。さらに研究やSNSとのかかわり方に至るまで,幅広い話題をカバー。しかも,全てが「かゆいところに手が届く」形で書かれていて,読み進めるほどに「あ,これ知りたかった!」という情報が満載です。

 結論? 超おすすめです。循環器病棟が初めての人も,再勉強を考えている中堅も,一度目を通して欲しいです。この一冊があれば,毎日がぐっとラクに,そして楽しくなるはず。上級医としても,こんなにしっかり理解してくれた後輩がいたら,指導もスムーズにできそうですよね。

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