物理療法学 第6版

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理学療法士養成課程における「物理療法学」の講義に最適のテキストである本書は、第6版で新たに一部項目(電気刺激療法や超音波療法、レーザー療法、寒冷療法、バイオフィードバック療法)において動画をweb付録として提供する。付録動画により、これまで以上にわかりやすく理解が進む内容となった。さらに新規項目として「疼痛の物理療法」「超音波による画像評価」を新たに加えたことで、より一層充実の改訂となっている。

*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学 専門分野
シリーズ監修 奈良 勲
監修 網本 和
編集 菅原 憲一 / 松田 雅弘
発行 2024年12月判型:B5頁:336
ISBN 978-4-260-05733-2
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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第6版 序

 標準理学療法学シリーズ『物理療法学』の第6版が出版の運びとなった.約60年前にわが国に理学療法士が誕生して以来,われわれはこれまでの経過のなかで教育においては指定規則の改正,臨床業務においては診療報酬の改定などさまざまな変化を経験してきた.理学療法はこの時間経過のなかで時代とともに大きな変遷を重ねてきており,1つひとつの手技をとってみても,一貫して行われている手技,現在では行われなくなった手技,洗練され大きく形を変えて行われている手技など,時間とともにまさに自然淘汰の変遷をたどってきた.
 物理療法は治療手技のなかにおいて最も治療量が明確であり,そのため最も客観的な治療技術といえる.そのため,好むと好まざるとにかかわらず治療結果はより厳密にとらえられる状況になり,治療の時間,回数そして効果はその対価に等しいかという視点でも厳密なものとなる.理学療法士は各種治療に合致した物理エネルギーが有する生理学的および解剖学的な背景をしっかりとらえ,治療に導入していく責務を担っているものといえる.理学療法士として物理療法を適応する場面では,各種治療原理,生体に与える影響,治療手順,効果の把握までを熟知したうえで実施できるようにすることが重要である.その点で本書は十分なる配慮を重ね,段階的な学習の手順を踏んで構成した.そして理学療法学における『標準』としてのレベルを追求し,学生から臨床場面で活躍する理学療法士までが当然知るべき知識およびその応用について網羅した内容になるよう工夫した.
 今回の改訂においては臨床適応を意識し,物理療法の実際場面でどのように機器を設定・操作するかという課題に対してQRコードを配置して動画による説明を行ったので,ぜひ折にふれてご覧いただきたい.また,今回の改訂でもいくつかの項目において執筆者の交代をお願いした.交代のご快諾をいただいた先生方には,これまでのご尽力に深く感謝を申し上げる次第である.
 現代は工学分野においてさまざまな新しいテクノロジーが開発されている.そしてAIの進化も著しい状況である.理学療法において,このようなテクノロジーを最も利用できる分野が物理療法であるといえるだろう.つまり,さまざまな疾患の治療という目的に対してこれまでの物理療法を用いるだけでなく,近い将来にはまったく新しい物理療法も開発されることは夢ではないはずだ.ただ,そこには新たなテクノロジーの背景および生体への効果を熟知し,使いこなせる理学療法士がいることを切に願うものである.

 2024年10月
 菅原憲一・松田雅弘

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I 物理療法学総論
 1 歴史と今後の課題・展望
  A わが国のリハビリテーション医療における物理療法
  B 各種物理療法の歴史
  C 戦後のわが国における物理療法の歴史的変遷
  D わが国における物理療法の発展を阻害する要因
  E 理学療法の新たな展開
 2 リスク管理
  A 医療におけるリスク管理
  B 医療事故とその発生要因
  C リスク管理の体制の確保
 3 疼痛の物理療法
  A 疼痛の基礎
  B 疼痛に対する臨床応用

II 温熱療法
 1 温熱療法の定義・分類
  A 温熱療法の定義
  B 温熱療法の分類
  C 物理療法における温熱療法の位置づけ
 2 温熱療法の基礎と生理学的作用
  A 温熱療法の基礎
  B 温熱療法の生理学的作用
 3 温熱療法の実際①:ホットパック
  A ホットパック(蓄熱式パック)
  B 電熱ホットパック(発熱パック)
  C 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  D 課題と展望
 4 温熱療法の実際②:パラフィン浴
  A 特徴,効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 5 温熱療法の実際③:極超短波療法・超短波療法
  A 極超短波と超短波
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事項
  C 極超短波療法の特徴と実施手順
  D 超短波療法の特徴と実施手順
  E 課題と展望
 6 温熱療法の実際④:超音波療法
  A 特徴
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
  【TOPIC 1】超音波による画像評価
 温熱療法の実習
  A 伝導熱(ホットパックとパラフィン)
  B エネルギー変換熱(極超短波療法)
 温熱療法の臨床応用
  A 変形性関節症への実際

III 寒冷療法
 1 寒冷療法の定義・分類
  A 寒冷療法の定義
  B 寒冷療法の分類
  C 物理療法における寒冷療法の位置づけ
 2 寒冷療法の基礎と生理学的作用
  A 寒冷療法の基礎
  B 寒冷療法の生理学的作用
 3 寒冷療法の実際
  A アイスパック
  B アイスマッサージ
  C クリッカー
  D コールドパック
  E コールドスプレー
  F 冷水浴
  G クライオカフ
  H クライオキネティクス
  I 極低温療法
  J 寒冷療法の適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
 寒冷療法の実習
  A アイスパックとコールドパックによる冷却
 寒冷療法の臨床応用
  A 上腕骨外側上顆炎に対する寒冷療法
  B 膝関節に対する寒冷療法

IV 水治療法
 1 水治療法の定義・分類
  A 水治療法の定義
  B 水治療法の分類
  C 物理療法における水治療法の位置づけ
 2 水治療法の基礎と生理学的作用
  A 水の物理的特性
  B 水の生理学的特性
 3 水治療法の実際
  A 局所浴
  B 全身浴
  C リスク管理
 水治療法の実習
  A 渦流浴
 水治療法の臨床応用
  A 橈骨遠位端骨折に対する局所浴

V 電気刺激療法
 1 電気刺激療法の定義・分類
  A 電気刺激療法の定義
  B 電気刺激療法の分類
  C 物理療法における電気刺激療法の位置づけ
 2 電気刺激療法の基礎と生理学的作用
  A 電気刺激療法の基礎
  B 電気刺激療法の生理学的作用
  C 電気刺激を用いた診断
 3 電気刺激療法の実際①:神経筋電気刺激/治療的電気刺激
  A 特徴
  B 中枢神経障害に対するTES
  C 末梢神経障害に対するTES
  D その他の障害に対するTES
  E エビデンス
  F 展望
 4 電気刺激療法の実際②:機能的電気刺激(FES)
  A 特徴と効果機序
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D エビデンス
  E 展望
 5 電気刺激療法の実際③:経皮的電気神経刺激(TENS)
  A TENS使用のための疼痛の基礎知識
  B 特徴と効果機序
  C 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  D 実施手順
  E エビデンス
  F 展望
 6 電気刺激療法の実際④:中周波,干渉波
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 7 電気刺激療法の実際⑤:経頭蓋磁気刺激および特殊刺激療法
  A 経頭蓋磁気刺激(TMS)の基礎
  B 磁気刺激を用いた臨床応用
  C 経頭蓋直流電気刺激(tDCS)
 電気刺激療法の実習
  A 刺激パラメータの相違による刺激特性の主観的分析
  B TENSの痛みに対する効果の検証
  C 運動療法との併用における筋出力発揮効果の検討
 電気刺激療法の臨床応用
  A 末梢神経麻痺へのTES使用の実際
  B 変形性膝関節症の痛みへのTENS使用の実際
  C 脳卒中片麻痺患者の歩行障害への電気刺激療法
  D 脳卒中片麻痺患者への運動療法との併用による筋力増強効果
  【TOPIC 2】褥瘡および糖尿病性足潰瘍における電気刺激療法の効果

VI バイオフィードバック
 1 バイオフィードバック療法の定義・分類
  A バイオフィードバックの定義
  B バイオフィードバック療法の分類
  C 物理療法におけるバイオフィードバック療法の位置づけ
 2 バイオフィードバック療法の基礎と生理学的作用
  A バイオフィードバック療法の基礎
  B バイオフィードバック療法の生理学的作用
  C バイオフィードバック療法と運動学習
 3 バイオフィードバック療法の実際①:筋電図によるバイオフィードバック
  A 特徴
  B 適応疾患例・禁忌
  C 実施手順
  D 課題と展望
 4 バイオフィードバック療法の実際②:視覚的バイオフィードバック
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌
  C 実施手順
  D 課題と展望
 バイオフィードバック療法の実習
  A 視覚を用いたもの
  【TOPIC 3】バーチャルリアリティを用いた例

VII 光線療法
 1 光線療法の定義・分類
  A 光線療法の定義
  B 光線療法の分類
  C 物理療法における光線療法の位置づけ
 2 光線療法の基礎と生理学的作用
  A 光線療法の基礎
  B 光線療法の生理学的作用
 3 光線療法の実際①:紫外線療法
  A 特徴と効果(生理学的作用)
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 4 光線療法の実際②:赤外線療法
  A 特徴と生理学的効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 5 光線療法の実際③:レーザー療法
  A 特徴と効果(生理学的作用)
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 疼痛緩和を目的とした照射条件
  E 課題と展望
 光線療法の実習
  A 直線偏光近赤外線照射前後の組織硬度と関節可動域の即時的変化

VIII 徒手的療法
 1 徒手的療法の定義・分類
  A 徒手的療法の定義
  B 徒手的療法の分類
  C 現在における使用頻度
 2 徒手的療法の基礎と生理学的作用
  A 徒手的療法の基礎
  B 徒手的療法の生理学的作用
 3 徒手的療法の実際①:筋膜リリース
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 4 徒手的療法の実際②:軟部組織モビライゼーション
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 5 徒手的療法の実際③:関節モビライゼーション
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 徒手的療法の実習
  A 横断マッサージ
 徒手的療法の臨床応用
  A 肩関節痛に対する治療の実際

IX 牽引療法
 1 牽引療法の定義・分類
  A 牽引療法の定義
  B 牽引療法の分類
 2 牽引療法の基礎と生理学的作用
  A 牽引療法の基礎
  B 牽引療法の生理的作用
 3 牽引療法の実際①:頸椎牽引療法
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 4 牽引療法の実際②:腰椎牽引療法
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 牽引療法の臨床応用
  A 上肢のしびれを伴う頸部痛

X 圧迫療法
 1 圧迫療法の定義・分類
  A 圧迫療法の定義
  B 圧迫療法の分類
 2 圧迫療法の基礎と生理学的作用
  A 圧迫療法の基礎
  B 圧迫療法の生理学的作用
  C 圧迫療法の効果
  D 圧迫療法の適応疾患例
  E 圧迫療法の禁忌と注意を要する事象
  F 浮腫
 3 圧迫療法の実際①:間欠的空気圧迫法
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
 4 圧迫療法の実際②:弾性ストッキング
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
 【TOPIC 4】がんに対する圧迫療法

XI 振動療法
 1 振動療法の定義・分類
  A 振動療法(バイブレーション)の定義
  B 振動療法の分類
  C 物理療法における振動療法の位置づけ
 2 振動療法の基礎と生理学的作用
  A 振動療法の基礎
  B 振動療法の生理学的作用
 3 振動療法の実際①:痙縮に対する振動療法
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 4 振動療法の実際②:固有受容感覚に対する振動療法
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 5 振動療法の実際③:痛みに対する振動療法
  A 特徴と効果
  B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
  C 実施手順
  D 課題と展望
 振動療法の臨床応用
  A 痙縮に対する振動療法
  B 痛みに対する振動療法

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