老年学 第6版

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加齢に伴う心身の変化について学ぶだけでなく、高齢者を取り巻く社会、経済、福祉の最新状況など、高齢者医療の実践に役立つ知識が身につく。高齢者を若中年の延長でとらえず、高齢者診療に特化して要点をまとめた疾患各論も必見。今版から「サルコペニア・フレイル」「高齢者のがん治療」の新章を追加したほか、高齢患者の心臓外科手術やワクチン事情など最新テーマのコラムも充実。高齢者医療を学ぶ最初の一冊に最適のテキスト。

シリーズ 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野
編集 大内 尉義
発行 2025年01月判型:B5頁:464
ISBN 978-4-260-05671-7
定価 5,060円 (本体4,600円+税)

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第6版 序

 わが国は高齢社会を通り越して人生100年時代とも呼ばれる超高齢社会に入りつつあり,社会の超高齢化に関する問題が今まで以上に大きく注目されている.超高齢社会に起因するさまざまな問題を解決するためには,臨床医学,基礎医学,リハビリテーション医学,看護学などの医療系の学問分野と,工学,社会学,経済学などの幅広い学問分野が結集する学際的な活動が必要であり,これが老年学gerontologyと呼ばれる学問分野である.
 本書は,理学・作業療法士を目指す学生の方々のために,老年学に関する標準的な教科書を提供することを目的として2001年に初版が刊行されたのち,順調に版を重ね,多くの方々から好評をいただいた.初版が刊行されてからすでに23年が過ぎ,前回の改訂からも5年が経過したが,このたび,この間の老年学の進歩を大幅に取り入れた第6版を刊行する運びとなった.
 第6版では,当然のことながら,内容を全面的にアップデートし,種々の統計データを最新のものに置き換え,新しい文献を加えることを主眼に改訂を行ったが,老年学の学際性をさらに強調するために,「第35章 高齢者のリハビリテーション」に,近年の発展が著しいロボット介護福祉機器の話題を追加した.また,循環器疾患,呼吸器疾患,消化器疾患は新しい執筆者に交代するとともに,「第30章 高齢者のがん治療」という章を新設した.フレイル・サルコペニアに関しても,最近の研究と社会実装の進歩を取り入れ,「第13章 サルコペニア・フレイル」として独立させた.また,認知症診療の進歩を大幅に取り入れるとともに,運動器疾患も骨粗鬆症だけでなく,ロコモティブ症候群の解説を加えた.さらに,高齢者における新型コロナ感染症についても,必要な記載を追加した.旧版と同様に,わかりやすく読みやすい内容になるよう心がけたことはもちろんであるが,記載を全体的にコンパクト化し,第5版とほぼ同じ分量に多くの新しい進歩を盛ることができた.本書は理学・作業療法士を目指す学生の方々のための教科書であるが,医学生,看護学生,介護・福祉領域の学生の方々,すでに臨床現場におられる方々にも有用な書籍であると考えており,本書が,わが国における老年学と高齢者医療のさらなる発展に寄与することを祈念している.
 最後に,老年学の第一線におられ,ご多忙のなか原稿をお寄せいただいた執筆者の方々に深謝するとともに,今回の改訂にご尽力いただいた医学書院の中 嘉子氏,川口純子氏に感謝申し上げる.

 2024年12月
 大内 尉義

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 序説 PT・OTと老年学のかかわり
   A 老年医学の観点から
   B 理学・作業療法の観点から

I 加齢と老化
 1 老化と老年病の考え方
   A 老化とは
   B 老化による生理機能の低下と疾患
   C 高齢者の定義と分類
   D 平均寿命,平均余命,健康寿命
   E 老年病の成り立ち──老年症候群と機能評価
   F 理学・作業療法との関連事項
 2 加齢に伴う変化:生理機能(形態学的変化も含めて)
   A 高齢者の生理機能の特徴
   B 感覚機能の加齢変化
   C 自律機能の加齢変化
   D 高次脳機能の加齢変化
   E 理学・作業療法との関連事項
 3 加齢に伴う変化:運動機能
   A 高齢者の運動機能
   B 運動機能の加齢変化
   C 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:高齢者の自動車運転・免許
 4 加齢に伴う変化:心理面
   A 老化による認知機能の変化
   B 知的機能の変化と心理的影響
   C パーソナリティ(性格)・社会的行動の変化
   D 理学・作業療法との関連事項
 5 性差医療からのアプローチ
   A 性差医療とは
   B 女性からみた性差医療
   C 男性からみた性差医療
   D 理学・作業療法との関連事項
 6 高齢者の定義および人口動態
   A 高齢者の定義
   B 世界と日本における人口動態
   C 理学・作業療法との関連事項

II 高齢者へのアプローチ
 7 高齢者との接し方
   A 医療倫理の基本原則
   B 高齢者に対する適切な医療提供の指針
   C 高齢者との具体的な接し方
   D 理学・作業療法との関連事項
 8 高齢者の総合機能評価
   A 高齢者のQOL改善のために
   B 高齢者総合機能評価の主要項目
   C その他の重要項目
   D CGAの目的
   E CGAの有効性
   F CGAの問題点
   G 基本チェックリスト
   H 理学・作業療法との関連事項
 9 高齢者の栄養状態の評価と対策
   A 栄養障害とは
   B 高齢者における低栄養の現状
   C 栄養管理のプロセス
   D メタボ予防とフレイル予防
   E 多職種協働による食支援システム構築
   F 理学・作業療法との関連事項
 10 高齢者の臨床検査値の評価
   A 臨床検査とは何か
   B 検査基準値の設定方法
   C 高齢者の検査基準値設定の問題点
   D 高齢者における異常値の見方
   E 高齢者で特に留意しなければならない臨床検査値
   F 理学・作業療法との関連事項
 11 高齢者の薬物療法の考え方
   A 高齢者の薬物療法で留意すべき点
   B 薬物有害作用の頻度と要因
   C 高齢者の薬物動態と薬力学
   D ポリファーマシー対策
   E 高齢者の服薬管理
   F 理学・作業療法との関連事項

III 高齢者に特徴的な症候と疾患
 12 高齢者に多い症候と老年症候群
   A 老年症候群の概念
   B 代表的な老年症候群
   C 理学・作業療法との関連事項
 13 サルコペニア・フレイル
   A サルコペニアとは
   B フレイルとは
   C 理学・作業療法との関連事項
 14 循環器疾患
   A 循環器領域の老化と疾患
   B 血圧異常
   C 不整脈
   D 虚血性心疾患
   E 弁膜症
   F 心筋,心膜疾患
   G 心不全
   H 高齢者の血管疾患
   I 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:高齢者に優しい心臓外科手術
 15 呼吸器疾患
   A 呼吸器系の老化
   B 呼吸器感染症
   C 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
   D 間質性肺炎
   E 肺癌
   F 理学・作業療法との関連事項
 16 消化器疾患
  I 消化管疾患
   A 消化管領域の老化と疾患
   B 高齢者の消化管疾患
  II 肝胆膵疾患
   A 肝胆膵領域の老化と疾患
   B 高齢者における肝疾患
   C 高齢者における胆膵疾患
  III 理学・作業療法との関連事項
 17 脳卒中とParkinson病
   A 神経系の老化と疾患
   B 脳血管障害(脳卒中)
   C Parkinson病
   D びまん性Lewy小体型認知症
   E 血管障害性パーキンソニズム
   F 正常圧水頭症によるパーキンソニズム
   G 慢性硬膜下血腫
   H 理学・作業療法との関連事項
 18 認知症とうつ病
   A 精神領域の老化と疾患
   B 認知症
   C うつ病
   D 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:高齢者に多い精神疾患
   ●コラム:認知症基本法について
   ●コラム:認知症の診断名と異常蓄積蛋白質について
 19 糖尿病と内分泌疾患
   A 糖尿病
   B 甲状腺機能亢進症
   C 甲状腺機能低下症
   D 原発性副腎不全(Addison病)
   E その他
   F 内分泌機能の加齢変化
   G 理学・作業療法との関連事項
 20 血液・免疫疾患
   A 造血・免疫機能の加齢に伴う変化
   B 血液疾患
   C 膠原病
   D 理学・作業療法との関連事項
 21 腎疾患
   A 腎臓の働き
   B 高齢者における腎機能低下の特徴
   C 慢性腎臓病(CKD)
   D 急性腎障害と慢性腎不全
   E 高齢者と透析導入
   F 理学・作業療法との関連事項
 22 泌尿器疾患
   A 泌尿器の疾患
   B 腎臓の疾患
   C 尿管の疾患
   D 膀胱の疾患
   E 尿道の疾患
   F 前立腺の疾患
   G 精巣の疾患
   H 陰茎の疾患
   I 骨盤底の疾患
   J 夜間頻尿
   K 要介護高齢者の尿失禁
   L 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:女性特有の泌尿器疾患
 23 骨粗鬆症とロコモティブ症候群
   A 骨・運動器領域の老化と疾患
   B 老化に伴う骨折
   C 骨粗鬆症
   D ロコモティブ症候群
   E 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:日本医学会連合「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」について
 24 皮膚・口腔疾患
   A 皮膚疾患
   B 口腔疾患
   C 理学・作業療法との関連事項
 25 感染症
   A 高齢者の感染症疾患
   B 背景
   C 高齢者の易感染性の原因
   D 診断のポイント
   E 特徴的な原因微生物
   F 治療のポイント
   G 各臓器の生理的特徴
   H 各臓器に特徴的な感染症
   I 医療施設内感染対策
   J 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:高齢者のワクチン接種
 26 耳鼻咽喉疾患
   A 耳鼻咽喉領域の老化と疾患
   B 感覚器と加齢
   C 咽喉頭と加齢
   D 高齢者の耳鼻咽喉疾患
   E 理学・作業療法との関連事項
 27 眼疾患
   A 眼の生理的老化現象
   B 加齢白内障
   C 緑内障
   D 糖尿病網膜症
   E 網膜静脈閉塞症
   F 加齢黄斑変性症
   G 理学・作業療法との関連事項
 28 婦人科疾患
   A 高齢女性で注意する症状
   B 婦人科の疾患
   C 理学・作業療法との関連事項
 29 高齢者の外科治療
   A 外科学における高齢者の病態の把握
   B 高齢者における手術適応
   C 高齢者の内視鏡外科手術
   D 術前・術後の呼吸管理
   E 術前・術後の栄養管理
   F 理学・作業療法との関連事項
 30 高齢者のがん治療
   A がん治療における高齢者の考え方
   B 高齢がん患者の治療ステップ
   C 高齢がん患者における機能評価
   D 細胞傷害性抗がん薬による化学療法のリスク評価
   E がん治療とリハビリテーション
   F 理学・作業療法との関連事項
 31 東洋医学からのアプローチ
   A 東洋医学とは
   B 鍼灸
   C 漢方
   D 理学・作業療法との関連事項

IV 高齢者をとりまく環境
 32 老年学からみた高齢者
   A 老年学とサクセスフルエイジングの理念
   B サクセスフルエイジングは幸せをもたらすか?
   C 人生“第4期”のサクセスフルエイジング
   D 理学・作業療法との関連事項
 33 社会学・経済学からみた高齢社会
   A 日本における人口ならびに人口構成の変化
   B 高齢者像の変化
   C 少子高齢化の社会・経済への影響
   D 求められる活力のある高齢化社会の構築
   E 理学・作業療法との関連事項
 34 高齢者の医療,看護,介護・福祉,保健
   A 医療
   B 看護
   C 介護と福祉
   D 介護保険制度
   E 障害者総合支援法
   F 高齢者医療制度
   G 新しい認知症の施策
   H 理学・作業療法との関連事項
 35 高齢者のリハビリテーションとロボット介護福祉機器
   A リハビリテーションの進め方
   B リハビリテーションの実際
   C ロボット介護福祉機器
   D 理学・作業療法との関連事項
   ●コラム:脳血管障害者の自動車運転の再開について
 36 高齢者の退院支援
   A 高齢者における退院支援の必要性
   B 高齢者における退院支援の実際
   C 理学・作業療法との関連事項
 37 高齢者の在宅医療
   A 地域包括ケアシステムの構築と在宅医療
   B 高齢者の意向の尊重
   C 高齢者総合機能評価の重要性
   D 生活機能の軌跡を考慮した支援
   E 在宅医療における療養管理
   F 在宅医療における多職種協働
   G 理学・作業療法との関連事項

V 人生の最終段階における医療・ケア
 38 人生の最終段階における医療・ケア
   A 医療・ケアのガイドライン
   B 意思決定支援をめぐる倫理的諸課題
   C 理学・作業療法との関連事項

セルフアセスメント

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