標準リハビリテーション医学 第4版
10年ぶりの大改訂。オールカラー化
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リハビリテーション医学を体系的に示したわが国で最初のテキストが10年ぶりに大改訂。内容の刷新とともに待望のオールカラー化。リハビリテーション医学で用いられる診断・評価法や各疾患へのアプローチに加えて、様々な広がりを見せる災害・再生医療・ロボットなどの領域もコラムでキャッチアップ。高い網羅性ながらわかりやすさも追求。医学生、医療系学生必携の教科書。
● | 『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。 |
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序文
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第4版 序
本書は「医学生の知を育てる標準教科書シリーズ」の一冊として,1986年に医学書院から出版された.当時,リハビリテーション科の教育研究講座をもつ大学は4校しかない時代で,整形外科や内科学の一部で行われていた講義を含めても,医学生がリハビリテーション医学を学ぶ機会はごく限られていた.本書はそのような時期に,いち早く医学生を主対象とした標準教科書として出版されたものである.清瀬に,わが国最初の理学療法士・作業療法士養成校であるリハビリテーション学院(国立療養所東京病院附属)が創設されて23年,日本リハビリテーション医学会の専門医制度が発足して6年と,社会的にもようやくリハビリテーション医学を専門とする医師の必要性が認知されてきた時代でもあった.
その後,1987年にリハビリテーション医学会独自の認定臨床医制度が発足し,これを契機に医師会員が急増した.1996年には「リハビリテーション科」が標榜診療科名として認可され,病院の表看板に「リハビリテーション科」と記すことができるようになって社会的にも自立した.同時に社会福祉制度の基礎構造改革が進められ,2000年には介護保険制度が施行されてリハビリテーションの世界は急速に普及・拡大し,本書も刷新して第2版が出版された.
今日,新専門医制度の下でリハビリテーション科は19基本領域の一つとして位置づけられており,わが国の医学・医療には欠かせない学科となった.また,大学医学部や医科大学にリハビリテーション科の講座が設置されることは当たり前のことになり,医師国家試験にも出題される必須科目となった.そのため,本書が主対象としてきた医学生の読者も飛躍的に拡大したが,その一方で,国家試験の問題は教科書に掲載されていることが原則となっているため,リハビリテーション医学・医療全般にわたる事項を網羅することが求められるようになった.
今回,第4版の改訂にあたっては,日進月歩で発展する医学・医療の知識を刷新することはもちろんのこと,見た目にもカラー印刷にして読みやすく,かつ医学生として知っておくべき事項をできるだけ端的にまとめることに留意した.そのため,医学生の教育に日夜奮闘している大学教授の先生方を中心にご執筆いただくのが適当と考え,可能な限りご協力いただいた.なお,序説についてはほぼ前版を踏襲したが,ここは本書の背骨とも言うべきところで「余説をもって替え難し」と判断したものである.リハビリテーション医学を学ぶ学生や若い先生方には是非ご一読いただきたい.
わが国にリハビリテーション医学が導入されて半世紀以上が経過した今日,その裾野は目を見張るほどに拡がったが,臨床現場の状況は,拡がりに見合った分頂上が高くなったとは言い難い.リハビリテーション医学の質を高め,頂をさらに高みへと押し上げるには,未来を切り拓く若い力が必要である.
ご執筆いただいた先生方には,本書が医学生のリハビリテーション医学に対する理解を深め,今後の臨床に生かされることを共に祈っていただきたい.
2023年2月
上田 敏,伊藤利之
目次
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総論
第1章 序説
A リハビリテーションの理念と組織
B 障害のとらえかた
C 障害者の権利尊重とリハビリテーション
D リハビリテーション医学の歴史,特質,範囲
E リハビリテーション医学の実際
F リハビリテーション医学と障害予防
G リハビリテーション医学と介護
第2章 基礎的知識
A 人間発達
1 発達の基本
2 小児期
3 老年期
B 運動生理
C 関節運動
D 機能・形態の障害
1 中枢神経
2 末梢神経
3 骨・関節
4 骨格筋
5 呼吸・循環
E 活動制限と参加制約
F 関連法規
第3章 評価
A 診断と評価
B 機能評価・検査
1 運動機能
2 言語機能
3 精神・心理・認知機能
4 摂食嚥下機能
5 排泄機能
C 活動・参加の評価
D QOLの評価
E 電気診断
F 画像診断
G 脳機能イメージング
第4章 治療
A 治療の基本
1 病期に応じた治療
2 運動療法
3 物理療法
4 作業療法
5 言語聴覚療法
6 心理療法
7 義肢・装具療法
8 薬物療法と手術
B マネージメント
1 チーム医療
2 関連専門職種
3 ソーシャルワーク
4 環境整備
5 自動車運転
6 障害者スポーツ
7 就学・就労支援
8 医療安全管理
各論:各種障害・疾患の評価とアプローチの実際
第5章 小児疾患
A 脳性麻痺
B 二分脊椎
C 先天性ミオパチー・脊髄性筋萎縮症
D 神経発達症(発達障害)
知的能力障害(ID)
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)
限局性学習症/限局性学習障害(SLD)
発達性協調運動症/発達性協調運動障害(DCD)
リハビリテーションアプローチ
社会参加支援
第6章 脳血管障害
第7章 脳外傷
第8章 脊髄損傷
1 障害像
2 評価
3 リハビリテーションアプローチ
4 社会参加支援
第9章 神経・筋疾患
A パーキンソン病および類縁疾患
パーキンソン病
パーキンソン病の類縁疾患
B 脊髄小脳変性症
C 多発性硬化症
D 筋萎縮性側索硬化症
E 末梢神経障害
F 筋ジストロフィー
G ポリオ後症候群
第10章 骨・関節疾患
A 頚椎
B 胸腰椎
C 肩関節(肩関節周囲炎,他)
D 手関節・手
E 股関節
変形性股関節症
大腿骨頚部骨折
F 膝関節
変形性膝関節症
前十字靱帯損傷
半月板損傷
G 足関節
H 骨粗鬆症
I ロコモティブシンドローム
第11章 膠原病
A 関節リウマチ
B 全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎/多発性筋炎,全身性強皮症
第12章 切断
A 上肢切断
B 下肢切断
C 小児の切断(先天性欠損を含む)
第13章 内部障害
A 呼吸器疾患
B 循環器疾患
C 糖尿病・腎疾患・肝疾患など
糖尿病
腎疾患
肝疾患
第14章 がん
第15章 摂食嚥下障害
第16章 視覚・聴覚機能障害
A 視覚機能障害
B 聴覚機能障害
第17章 熱傷
第18章 周術期およびICUでのリハビリテーション
第19章 認知症
第20章 廃用症候群・フレイル・サルコペニア
Column
1 災害リハビリテーション(JRAT)
2 リハビリテーション工学
3 リハビリテーションロボット
4 回復期リハビリテーション病棟の現状
5 介助犬
6 慢性疼痛のリハビリテーション
7 再生医療とリハビリテーション
付録 関節可動域表示ならびに測定法
和文索引
欧文索引