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主体性を高めチームを活性化する!
看護のためのポジティブ・マネジメント 第2版増補版

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問題や欠点ではなく、組織やスタッフの「優れた特性、強み、豊かさ」にアプローチし、それを伸ばすことで成果を生み出す“ポジティブ・マネジメント”。いまある強みや豊かさを伸ばすことにより、組織づくりを、理想に向かって、前向きに、創造的に、そして協働的に行うことをめざす。第2版増補版ではCOVID-19禍における取り組みが新たに追加され、先の見えづらい状況をどのように乗り越えるかのヒントを得られる。

編集 手島 恵
発行 2023年08月判型:A5頁:280
ISBN 978-4-260-05277-1
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

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第2版・第2版増補版の序

 2014年3月に出版された本書(初版)を多くの方にお読みいただき,感謝しております。初版は,韓国の出版社HanEonにより翻訳刊行され,『Excellent Nursing』というタイトルで現地の書店にも並びました。
 初版をまとめながら,こういうことも必要ではないかと思ったことが,いかに「心を整えるか」ということです。アメリカにおりましたとき,気功のワークショップに参加しました。そこで,少林寺拳法の達人でもある講師のスペイン人医師が,さざ波の例を用いて,次のような話をしていました。

 湖面にさざ波がたつと,月のかたちが歪んで見える。心にさざ波がたつと,ものごとがありのままに映らないので,心の静けさを保つようにしなければいけない。

 身動きもできないような困難な課題に直面したとき,心のさざ波を最小限にし,ありのままを見て,どのように最善策を考えるのか。その手がかりになる,心の整え方について,千葉大学社会精神保健教育研究センター治療・社会復帰支援研究部門特任教授の渡邉博幸先生にご執筆をいただきました。ありのままの現実を受け止めたうえで,何ができるか,最善を尽くすのが真の楽観主義であり,ポジティブ・マネジメントの神髄であると考えます。
 渡邉先生の原稿に集団浅慮について書かれていたのを読み,触発されて過度な楽観主義が危険な意思決定を招くということについて,加筆いたしました。集団の同一性を求める組織では,強いリーダーの意向を忖度し,誤った方向に行かないとも限りません。
 本書の副題になっている「主体性を高める」ことは,管理者のみならず,教育にかかわる方々にとっても関心が高いと思われます。そこで,第2版では,“Z世代”と呼ばれる1990年代後半以降に生まれた今の学生や新人の特徴や価値観について触れたうえで,どのように主体的な学習を促すか,その具体的な方法について加筆しました。多くの可能性をもっている,次世代の人たちの強みに,私たち管理者や教育者は,どれほど気づいていただろうかと思います。
 初版からご執筆いただいている市瀬博基先生には,よりわかりやすく理解できるよう,新たに図を追加していただきました。
 2018年6月の梅雨の晴れ間のある日,東京湾アクアラインで羽田空港に向かう途中に,第IV章の6つの事例の原稿を読みました。そのときの感動は,広がる空と海の青さとともに今でも心に刻まれています。6名の看護管理者が毎日の実践を重ねながら,組織,ひいては社会に貢献する様子が思い浮かべられ,胸が熱くなりました。皆様にも,きっとこの感動が届くことと思います。
 第2版増補版では,COVID-19禍でのポジティブ・マネジメントに関する取り組みの事例を3名の看護管理者にご執筆いただきました。先が見えづらい中において,この状況をどのように乗り越えるかのヒントを与えてくれることと思います。

 最後に,第2版増補版の出版にあたって,多大なご理解とご支援をいただきました,医学書院常務取締役の堀口一明氏,編集部の高倉葉子氏,大石橋拓也氏に心よりお礼を申し上げます。

 2023年 春
 手島 恵

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第I章 ものの見方・考え方と看護管理・教育
 1 なぜものの見方が大切なのか
 2 組織感情とポジティブ・マネジメント
 3 ポジティブ・マネジメントによる組織開発
 4 アクション・リサーチと組織開発
 5 ポジティブ・マネジメントでいきいきとしたチームづくり
 6 Z世代──主体性を引き出す教育
 7 何より大切なのは心と体のバランス

第II章 自ら考え,行動し,助け合う文化をつくるために──ポジティブ・マネジメントの理論とプロセス
 1 感情・学習・組織行動──ポジティブ・マネジメントがめざすこと
 2 管理者自身の感情のマネジメント──ポジティブ・リーダーシップの第一歩
 3 ワークショップとファシリテーション──ポジティブ・リーダーシップを発揮する
 4 ポジティブ・マネジメントの計画と実践──長期的視野にたち,組織の強みを引き出す
 5 組織の“ポジティブ度”指標──ポジティブ・マネジメントの方向を定める

第III章 さまざまな手法を柔軟に組み合わせる視点──ポジティブ・マネジメントの手法
 1 ポジティブ・マネジメントに取り組むステップ
 2 ワールドカフェ
 3 アクションラーニング(質問会議)
 4 AI(アプリシアティブ・インクワイアリー)
 5 フューチャーサーチ

第IV章 事例から学ぶポジティブ・マネジメント
 ポジティブ・マネジメントの実践──取り組みを支える視点と工夫
 事例1 ポジティブ・アプローチによる看護師長の能力開発と支援──対話を通じた価値の共有と未来志向の目標管理による組織の活性化
 事例2 支援し合える関係性に着目した目標管理──ポートフォリオ評価の導入
 事例3 大切な価値の共有で,看護の質と効率の両立を実現
 事例4 看護師-看護補助者のチーム形成──看護補助者の支援と活用
 事例5 自分たちの“お宝”を見つけることが組織を動かす!
 事例6 施設を超えてポジティブ感情を生み出し,支え合う新人看護職員集合研修のしくみづくり
 事例7 危機を乗り越える看護管理──ポジティブ・マネジメントの実践

おわりに

付録
 ワークノート
 ポジティブ・マネジメントを考えるうえで役立つ資料

索引

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