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看護実践・教育のための測定用具ファイル 第4版
開発過程から活用の実際まで

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看護実践の質、看護職の役割遂行状況、教育活動の質、学習ニード、教育ニードなど、看護実践・看護教育におけるさまざまな活動を測定する40の評価尺度を収載。うち8尺度は新規に収載され、倫理的行動の質を測定する章も新設。1996年の初版以来、監修者らが開発と検証を続けてきた研究成果をもとに、測定用具の妥当性の概念や評価方法に関する記述もアップデート。尺度開発の方法を具体的に学ぶ上でも最適の書。

監修 舟島 なをみ
発行 2024年03月判型:B5頁:520
ISBN 978-4-260-05026-5
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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第4版 序

 本書『看護実践・教育のための測定用具ファイル──開発過程から活用の実際まで』の初版上梓は,2006年であった。その後,2009年の第2版,2015年の第3版への改訂を経て,このたび,第4版を出版する運びとなった。
 第3版から第4版への改訂を決断した理由は,次の2点である。
 第1に,本書の執筆者らは,看護教育学を専門分野とし,第3版改訂以降も,看護教育学の研究を通し,新たな測定用具開発に取り組み続けた。また,そのような研究活動を通し,測定用具の信頼性・妥当性の考え方についても学習を重ねた。その結果,特に,測定用具の妥当性の概念や評価方法に関する知識の多様さや発展を再認識し,本書の内容も学習の成果を最大限に反映して刷新する必要があることを確信した。
 第2に,そのような研究活動の成果として,今日の看護職者の職業活動改善や向上に資する新たな測定用具が数多く誕生した。誕生した測定用具は,看護職者の皆様に活用していただいてこそ価値があり,それは,看護職者個々人の発達,ひいては人々に提供される看護の質向上につながっていく。第3版までに掲載してきた測定用具は,執筆者らの予想を大きくこえる数の看護職者の皆様にご活用いただいてきた。そのため,新たに開発された測定用具の本書掲載が,その活用促進につながることは明白であった。
 また,このような理由による第4版への改訂は,次に示す本書の変更を必然とした。
 第1に,「第1章 看護教育学における測定用具開発の理念と特徴」,特に「B 測定用具の開発過程」の内容を大幅に加筆修正することになった。第3版までは,「測定用具の妥当性は,内容的妥当性,基準関連妥当性,構成概念妥当性の3種類から成立する」という三位一体観に基づき,この部分を論述していた。しかし,この第4版では,妥当性概念の歴史的変遷を学習した成果に基づき,妥当性を次のように捉えることにした。それは,「妥当性は,内容的妥当性,基準関連妥当性,構成概念妥当性の3種類により構成されるものではなく,構成概念妥当性という統合的概念として捉えられる単一のものである。妥当性とは,テストもしくは他の測定結果に基づいた解釈の適切性について,それを支える実証的証拠や理論的根拠がどの程度あるかに関する総合的な評価である」という捉え方である。その結果,「B 測定用具の開発過程」は,大幅な加筆修正が不可避であった。妥当性概念の歴史的変遷の詳細は,第1章の「B測定用具の開発過程」に示した。
 第2に,本書には,新しい妥当性の考え方により開発された測定用具と過去の考え方により開発された測定用具を含む。当初,過去の考え方により開発された測定用具は,過去の考え方を反映した表現のまま掲載すべきと判断していた。しかし,繰り返し検討した結果,掲載した全ての測定用具の妥当性に関する論述の表現を本書が導入した新たな妥当性に関する考え方へと変更した。それは,読者の混乱を回避し,読みやすさを考慮した結果であり,「決して,事実を違えず,各測定用具の実際の開発過程を正確に反映する」ことを大前提とし,最大限の注意を払い実施した。この作業に膨大な時間を費やした。この過程は,妥当性の捉え方が変わっても,旧来の三位一体観に基づき妥当性を捉え開発してきた各測定用具が,適切な手続きを経て開発されたものであることに変わりなく,高い妥当性,あるいは一部に課題を残していたとしても一定の妥当性を備えており,活用を推奨できることを再確認する機会となった。
 第3に,第3版に掲載していた39種類の測定用具のうち7種類を削除し,新たに8種類の測定用具を加えた。その結果,第4版には,合計40種類の測定用具を掲載することとなった。掲載続行の可否の決定は,各々の内容や読者による活用状況等を基準に行ったが,削除することになった7種類が今後も使用していただきたい測定用具であることに変わりはない。許諾の手続き等はこれまでと同様である。
 第4版から新たに掲載することとした測定用具8種類とは,「患者教育力自己評価尺度──病棟看護師用──」,「実習指導役割自己評価尺度──病棟看護師用──」,「授業過程評価スケール──看護系大学院修士課程用──」,「研修デザイン評価スケール──院内教育用──」,「実習安全対策自己評価尺度──実習指導者用──」,「看護師としての倫理的行動自己評価尺度」,「看護職者のための研究倫理行動自己評価尺度」,「学習ニードアセスメントツール──スタッフ看護師用──」である。これらのうち,新たな妥当性の捉え方を適用し,開発された測定用具は,「実習指導役割自己評価尺度──病棟看護師用──」,「授業過程評価スケール──看護系大学院修士課程用──」,「研修デザイン評価スケール──院内教育用──」,「学習ニードアセスメントツール──スタッフ看護師用──」である。
 また,第3版から第4版への改訂に際してのこのような測定用具の削除と追加は,本書の章立て,各章を構成する測定用具の見直しにつながった。第4版の「第6章 学生の学習活動の質を測定する」,「第7章 経験の質を測定する」は,第3版に掲載した測定用具を含むものの,新たな測定用具の追加により構成を見直した結果,名称変更に至った章である。また,「第8章 倫理的行動の質を測定する」は,「看護師としての倫理的行動自己評価尺度」と「看護職者のための研究倫理行動自己評価尺度」の追加により,新たに誕生した章である。

 第4版の出版に向けては,多くの方々にご支援いただいた。望月美知代さんには,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,改訂のための執筆者会議をオンライン開催とせざるを得ない中,会議の円滑な運営,監修者(舟島)と各執筆者の間の頻繁な大量原稿のやりとり,校正その他,多種多様なご助力をいただいた。また,医学書院の北原拓也氏には,本書の完成に向け,細やかなご配慮をいただいた。これらの皆様のご支援なくして,本書は完成できなかった。心より感謝申し上げる。

 看護職者にとっての自己評価尺度の存在の重要性は,第3版に掲載した測定用具の使用許諾申請件数が如実に示す。看護教育学は,看護学各領域の教育に共通して普遍的に存在する要素を研究対象とし,看護学生を含む看護職者個々人の発達の支援を通して看護の対象に質の高い看護を提供することを目ざす学問である。使用許諾申請件数は,看護職者の多くが,自己評価を価値づけ,その職業活動の改善を志向している状況を裏づける。本書が,その一助となれば幸いである。

 なお,看護教育学研究を通した測定用具開発は,第4版改訂に向けた出版作業中も継続し,新たな妥当性の考え方を適用した複数の尺度が開発された。具体的には,手術室に勤務する看護師,ICUに勤務する看護師,小児看護に携わる看護師が医療事故防止能力を自己評価するための尺度,看護学の修士論文を指導する教員がその教授活動の質を自己評価するための尺度などである。また,これらの尺度に続き,現在も,訪問看護に携わる看護師が倫理的行動の質を自己評価するための尺度,看護学の博士論文を指導する教員がその教授活動の質を自己評価するための尺度などの開発を進めている。
 筆者は,本書初版の序に「将来,さらに多様で有用な測定用具を開発し,自己評価や研究の促進に向け,開発した測定用具を看護実践編,教授活動編,学習活動編などといった測定用具の内容ごとに分冊していきたいという夢のような構想を抱いている」と記述した。この夢の実現可否,実現の任を担うべく誰が始動し始めるのかを考えつつ,第4版改訂に向け「切磋琢磨」というテーマの「絵」を実際に見せて下さった執筆者の皆様の顔を思い浮かべている。

 2024年3月
 舟島なをみ

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第1章 看護教育学における測定用具開発の理念と特徴
   A 測定用具開発の理念
   B 測定用具の開発過程
   C 開発された測定用具の特徴

第2章 測定用具の活用可能性と活用上の留意点
   A 測定用具の活用可能性
   B 測定用具活用上の留意点

第3章 看護実践の質を測定する
   A 患者安全のための看護実践自己評価尺度──病棟看護師用──
   B 看護師の問題解決行動自己評価尺度
   C 看護実践の卓越性自己評価尺度──病棟看護師用──
   D 研究成果活用力自己評価尺度──臨床看護師用──
   E 在宅看護の質自己評価尺度
   F 看護師目標達成行動尺度
   G 患者教育力自己評価尺度──病棟看護師用──

第4章 看護職の役割遂行状況を測定する
   A プリセプター役割自己評価尺度
   B 勤務帯リーダー役割自己評価尺度
   C 実習指導役割自己評価尺度──病棟看護師用──

第5章 教育活動の質を測定する
 授業の質を測定する
  ▪ 看護基礎教育
   A 授業過程評価スケール──看護学講義用──
   B 授業過程評価スケール──看護技術演習用──
   C 授業過程評価スケール──看護学実習用──
  ▪ 看護卒後教育
   A 授業過程評価スケール──看護系大学院修士課程用──
  ▪ 看護継続教育
   A 研修デザイン評価スケール──院内教育用──
   B 研修過程評価スケール──院内教育用──
 教授活動の質を測定する
   A 教授活動自己評価尺度──看護学講義用──
   B 教授活動自己評価尺度──看護学実習用──
   C 教授活動自己評価尺度──看護学実習カンファレンス用──
   D 教授活動自己評価尺度──看護技術演習用──
   E 教授活動自己評価尺度──グループワーク用──
   F 看護学教員ロールモデル行動自己評価尺度
   G 実習安全対策自己評価尺度──実習指導者用──

第6章 学生の学習活動の質を測定する
   A 学習活動自己評価尺度──看護技術演習用──
   B 学習活動自己評価尺度──看護学実習用──

第7章 経験の質を測定する
   A 看護学実習中の学習経験自己評価尺度
   B 職業経験評価尺度──臨床看護師用──

第8章 倫理的行動の質を測定する
   A 看護師としての倫理的行動自己評価尺度
   B 看護職者のための研究倫理行動自己評価尺度

第9章 学習ニードを測定する
   A 学習ニードアセスメントツール──スタッフ看護師用──
   B 学習ニードアセスメントツール──保健師用──
   C 学習ニードアセスメントツール──助産師用──
   D 学習ニードアセスメントツール──訪問看護師用──
   E 学習ニードアセスメントツール──看護学教員用──

第10章 教育ニードを測定する
   A 教育ニードアセスメントツール──臨床看護師用──
   B 教育ニードアセスメントツール──保健師用──
   C 教育ニードアセスメントツール──助産師用──
   D 教育ニードアセスメントツール──訪問看護師用──
   E 教育ニードアセスメントツール──看護学教員用──

第11章 異文化間比較を行う
   A 看護学教員ロールモデル行動自己評価尺度(英語版)

付録
 1 使用許諾手続きの流れ
 2 研究のための尺度翻訳に関する契約書

索引

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読者の皆様へ 「測定用具使用許諾申請」について
本書493頁 付録1「使用許諾手続きの流れ」をご参照のうえ、下記リンクからお手続きください。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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