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コーチングマインドを極めると,マネジメントがもっと楽しくなる

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より良い組織をつくるため、患者により良い看護を提供できるスタッフを育てるために…。日々、看護管理者は自分自身を奮い立たせ、頑張っているのではないだろうか。本書の主人公、話すとなぜか元気をもらえる山原看護部長。その理由とは? 本書では、山原看護部長によるコーチング研修をストーリー仕立てで展開。看護管理者がコーチングマインドを身につけると、管理者自身も、スタッフも明るく元気になれる。

シリーズ 看護管理まなびラボBOOKS
勝原 裕美子 / 山之上 雄一
発行 2023年09月判型:A5頁:200
ISBN 978-4-260-05269-6
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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  • 序文
  • 目次

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はじめに

 あれは,まだ看護部長職に就いていた2014年の秋のことでした。当時,看護の質を最高のものにするためにマグネット施設認証を目指していました。そのサポートをお願いしていたアメリカ人のコンサルタントに悩みを聞いてもらっていた時に,彼女がこう言ったのです。「コーチングは受けているのか?」と。もしかしたら,「なぜ裕美子には,コーチがいないの?」と聞かれたのかもしれません。
 いずれにしても,そう聞かれて,コーチという存在が身近にいないという意味の返事をしました。すると,彼女は,結構な驚きをもって「アメリカでは,裕美子くらいのエグゼクティブだったらコーチをつけているのは当然だし,一般的な管理者もコーチングは日常的に利用しているわよ」と言いました。それは,私にとってかなり衝撃的なアナウンスでした。
 その後,病院を離れましたが,その言葉はずっと心に残っていました。医療現場の管理者が,コーチングを当たり前のように受けている世界ってどんな感じだろうか。ちょっとした悩みでも,寄り添って聞いてくれるコーチのような第三者がいるっていいだろうなあ。そんなことを思いました。しかし,それまでコーチという仕事をしている人に出会ったことがありませんでしたし,ましてや,日常的にコーチングを利用している管理者にお目にかかったことはありませんでした。つまり,コーチングを受けること自体が,少なくとも医療現場において一般的ではなかったのです。
 それなら,まず私がコーチングを勉強して,できるようになってみようじゃないかと思いました。そう思っていたら,本当に“引き寄せ”というのがあるもので,ある会合で共著者の山之上雄一さんと出会いました。「僕はコーチです」という自己紹介を聞き,初めて見る本物の“コーチ”に感激しました。そして,彼の関わっていた平本あきお氏の主宰するコーチングスクール(当時は,「現場変革リーダー養成コース」と呼んでいました)を卒業した後,立て続けに山之上さん自身が主宰するコーチングスクールにも通い,愚直に言われたことを実践して知識とスキルを身につけていきました。同時に,自分自身もコーチングを積極的に受けるようにしました。そのことで,私の中にあった過去のマイナス経験(マイナスだと思っていた認知)の数々が,かけがえのない経験に置き換わっていきました。また,勝原私塾の構想をはじめとする未来展望ももちやすくなりました。
 いったん身につけると,コンビニの店員さんやタクシーの運転手さんなどにもコーチング的な関わり方で接するようになります。すると,毎日が気持ち良く過ごせていることに気づきます。また,仕事先の病院や勝原私塾で,グループコーチングや個別コーチングをどんどん取り入れることで,関わった人たちの笑顔が増える経験をするようになりました。今は,プロコーチとしてクライアントさんに寄り添うことも行っています。
 ここまでが,私とコーチングの出会いです。それでは,なぜ本書を刊行しようと思ったのか。私は自分がコーチングを実践する中で,目の前の人の憑き物が落ちる瞬間や,表情が明るくなる瞬間をたくさん見てきました。しかし,あくまでも私が関わった人たちだけです。もしも,私が教えてもらったこの考え方を,現場の管理者が少しでも使うことができれば,その人自身も,その周囲の人たちも,より幸せになると確信したのです。
 そのため,まずは雑誌『看護管理』にコーチングの実際を知ってもらうための連載をしました(2020年1月号~2021年5月号)。そして,学会でコーチングに関するワークショップ等を何度か行いました。いずれも好評でした。ということは,現場の管理者たちの興味をひいているということです。
 もっと,コーチングを広めるためにはどうすればよいのか。結局,それが出版という形でした。その際,山之上さんと話し合って,連載とは全く別の視点で書き下ろすということを決めました。それは,読者がみんなコーチという仕事に就くわけではないから,コーチになるための本ではなくて,“コーチング的な関わり”ができるようになる本にしようということでした。本書では,それを「コーチングマインド」と表現しています。
 コーチングマインドとは,「相手を人生の主人公だと尊重し,その人には課題を克服する力があると信じて関わる姿勢」です。とてもシンプルな表現ですよね。でも,実際には,相手が不愉快な人だったり,失敗ばかりする人だったりすると,そう簡単に尊重したり信じたりということが難しくなります。そう思う人にこそ,本書を手に取ってほしいと思っています。
 本書では,いろいろなキャラクターの管理者が登場します。ちょっと言いすぎてしまう人,逆に遠慮してしまう人など。もしかしたら,あなたのキャラに近い人もいるかもしれませんね。それでも大丈夫。みなさん,コーチングマインドを意識することで,変わっていけることを,本書を通して“山原さん”がお伝えします。最後には,みんなで山原さんになりましょう。
 本書で扱うさまざまな考え方やメソッドの多くは,アドラー心理学をベースに人生変革やコミュニケーションスキルを提供し続けている平本あきおさんに依拠しています。彼との出会いは,山之上さんや私の人生を変えました。その学びを多くの読者に届けることで恩送りになればと願っています。

2023年8月
勝原裕美子

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はじめに
プロローグ 周囲を楽しませる人と嫌な気持ちにさせる人

第1章 コーチングと出会う
 コーチングとは?
   コーチングとティーチングの違い
   目的を発見する
   目標を実現する
   問題を解決する
   アドラー心理学の全体像
 アドラー心理学:共同体感覚
   自己受容
   他者信頼
   貢献感

第2章 より良い人間関係を築く(土壌を耕して豊かに)
 まずは豊かな土づくりを(コーチとクライアントのより良い関係の構築)
   「相手の関心」に関心を寄せる
   聴く技術
   非言語を意識する
   雰囲気を合わせる
   声かけ
   勇気づけ
   横の関係
   人の変化のメカニズム
   不完全である勇気
   理論編:心理的安全性(psychological safety)

第3章 振り返り
 振り返り(宿題をやってみての振り返り──コーチの質問とクライアントの気づき)
   コーチはどんな意図で質問するのか
   コーチは何にフォーカスするのか
   関わる側がその人をどう思っているかが,相手の成長に影響する
   できなかったところ,失敗をどう振り返るか
   認知論
   学習の4段階

第4章 チームの空気感を良くする(プチハッピーでチームビルディング)
 プチハッピーでみんなの幸福度をアッププロジェクト(プチハッピーPart1)
   “プチハッピー”プロジェクト導入時のポイント
   “プチハッピー”プロジェクト導入後のポイント
 2週間後の振り返り(プチハッピーPart2)
 より良い関係性構築 上級編(プチハッピーPart3)

第5章 モチベーションの源泉を引き出す
   クライアントの望みは何か
   自分軸とは
   価値観を引き出す
   ビジョンを引き出す
   あなたは価値観型ですか? ビジョン型ですか?
 自分軸(価値観・ビジョン)を見つけよう!
   形や規模を変えて,夢は実現できる

第6章 目の前の人の可能性を信じて,その人生を応援する
   2年目のスタッフの山下との面談での出来事
   離職率は結果的に下がるもの
   自分軸が異なると協力できないのか

第7章 課題の分離
   3つの目線で考える・感じる
   課題の分離と見守る勇気
   主体論
   部下の考えを引き出すコーチング・クエスチョン

第8章 具体的な行動を考える
 具体的な未来のイメージと行動

第9章 テーマの明確化
 クライアントが本当に話したいことは何?
   スタッフ(クライアント)が話してくれる
   対人関係論
   わかった気にならない

第10章 セルフケアのススメ
 コーチング研修でセルフケア!?(今の心と体の状態は何点?)

第11章 相手に伝わるコミュニケーション
 伝えること
   全体論
   リクエストの伝え方
   私メッセージとあなたメッセージの感じ方の違い
   自分目線・相手目線・俯瞰目線

第12章 勇気づけをさらに極める
   自分を勇気づけられること

エピローグ 見守る勇気とコーチングマインド
 音無の変化(主任にコーチング)
   原因論的な思考で振り返り
   目的論的な思考での振り返り
 碇の変化(見守る勇気)
   スタッフの考える力を引き出す(指示待ちへの対応)

おわりに
索引

Column
 ・ジェームズ=ランゲ説
 ・コーチングとティーチングは両立する
 ・アドラー心理学とは
 ・人は,受け入れられた時,変化する余裕をもつことができる
 ・クリアリング(clearing)のススメ
 ・働く人の幸福度が高い企業
 ・価値観を見つける時に,印象に残っている出来事について質問するのはなぜか
 ・目的と手段
 ・相手をコントロールしてはいけない
 ・1 on 1
 ・わかった気にならない──知っていることが邪魔をする
 ・愛があってもいい関係にはならない
 ・組織の変革は,たった1人からはじまる

WORK
 ・看護師人生を振り返り,自分軸を見つけよう!
 ・管理者としての自分軸
 ・セルフケアをしよう

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