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脳血管障害のリハビリテーション医学・医療テキスト

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リハビリテーション医学・医療の根幹を成す「脳血管障害」。本書は、日本リハビリテーション医学会などの監修のもと、疫学・病態、診断・評価、治療の実際、社会支援に至るまで、脳血管障害のリハビリテーション医学・医療のすべてについて「活動を育む」観点から余すことなく収載している。簡潔な文章と、豊富なカラーイラストにより理解も深まる。リハビリテーション科医はもちろんのこと、医学生、研修医、関連職種必読の1冊。

監修 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 / 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
総編集 久保 俊一 / 安保 雅博
編集 田島 文博 / 角田 亘
発行 2021年09月判型:B5頁:440
ISBN 978-4-260-04635-0
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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はじめに

 Rehabilitationという言葉が医学的に使用され始めたのはおよそ100年前のことである.第一次世界大戦によって生じた膨大な数の戦傷者を,いかに社会に復帰させるかが大きな課題となった.この課題に応えるべく,米国では陸軍病院にphysical reconstruction and rehabilitationというdivisionが設けられた.これが最初の事例であるとされている.そのとき,rehabilitationは医学的治療と並行して進めるものであるという位置づけであった.そして,第二次世界大戦でさらにその有用性が認められ,1949年,米国で専門領域として確立され,American board of physical medicine and rehabilitationとして重要な診療科となった.
 日本にrehabilitationという概念が導入されたのは1950年代で,1963年に日本リハビリテーション医学会が設立された.日本ではphysical medicine and rehabilitationがリハビリテーション医学として総括された.国際リハビリテーション医学会の名称もInternational Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM)であり,physical medicine とrehabilitation medicineがセットになっている.日本ではこの2つを合わせて「リハビリテーション医学」としている.Physical medicine にあたる部分は名称として入っていないが,当然それも含めていることを念頭におくべきである.
 超高齢社会となった日本において,リハビリテーション医学・医療の範囲は大きく広がっている.小児疾患や切断・骨折・脊髄損傷に加え,脳血管障害,運動器(脊椎・脊髄を含む)疾患,循環器・呼吸器・腎臓・内分泌代謝疾患,神経・筋疾患,リウマチ性疾患,摂食嚥下障害,がん,スポーツ外傷・障害などの疾患や障害が積み重なり,さらに周術期の身体機能障害の予防・回復,フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームなども加わり,ほぼ全診療科に関係する疾患,障害,病態を扱う領域になっている.しかも,疾患,障害,病態は複合的に絡み合い,その発症や増悪に加齢が関与している場合も少なくない.リハビリテーション医学・医療の役割は急速に高まっている.
 日本リハビリテーション医学会では2017年度から,リハビリテーション医学について新しい定義を提唱している.すなわち,疾病・外傷で低下した身体・精神機能を回復させ,障害を克服するという従来の解釈のうえに立って,ヒトの営みの基本である「活動」に着目し,その賦活化を図る過程がリハビリテーション医学であるとしている.「日常での活動」としてあげられる,起き上がる,座る,立つ,歩く,手を使う,見る,聞く,話す,考える,衣服を着る,食事をする,排泄する,寝る,などが有機的に組み合わさって,掃除・洗濯・料理・買い物などの「家庭での活動」,就学・就労・余暇などの「社会での活動」につながっていく.ICFにおける参加は「社会での活動」に相当する.
 リハビリテーション医学という学術的な裏づけのもとエビデンスが蓄えられ根拠のある質の高いリハビリテーション医療が実践される.リハビリテーション医療の中核がリハビリテーション診療であり,診断・治療・支援の3つのポイントがある.ヒトの活動に着目し,急性期・回復期・生活期を通して,病歴,診察,検査,評価などから活動の予後を予測する.これがリハビリテーション診断である.そして,その活動の予後を理学療法,作業療法,言語聴覚療法,義肢装具療法など各種治療法を組み合わせ最良にするのがリハビリテーション治療である.さらにリハビリテーション治療と相まって,環境調整や社会的支援の有効利用などの活動を社会的に支援していくのがリハビリテーション支援である.
 リハビリテーション診療を担うリハビリテーション科は2002年,日本専門医機構において18基本診療科(現在19基本診療科)の1つに認定され,臨床における重要な診療科として位置づけられた.その専門医育成が2018年度からスタートしている.Physical medicineが含まれているリハビリテーション医学をしっかりとバランスよく教育していくことはきわめて重要な事柄になっており,そのために体系立ったテキストとして『リハビリテーション医学・医療コアテキスト』『急性期のリハビリテーション医学・医療テキスト』『回復期のリハビリテーション医学・医療テキスト』『生活期のリハビリテーション医学・医療テキスト』『総合力がつくリハビリテーション医学・医療テキスト』『社会活動支援のためのリハビリテーション医学・医療テキスト』が発刊されている.本書は,それらに続いて企画されたものである.
 リハビリテーション医学・医療において,「脳血管障害」は重要な疾患である.本書は,日本リハビリテーション医学教育推進機構と日本リハビリテーション医学会が企画して,脳血管障害に対するリハビリテーション医学・医療を「疫学・病態」「診断」「治療」「支援」「先端技術」などに分け,バランスよく実用的に記載するようにしている.
 編集および執筆はこの分野に精通した先生方に担当いただいた.本書の作成に献身的に携った先生方に深く感謝する.医師・専門職をはじめとしてリハビリテーション医学・医療に関係する方々にぜひ活用していただきたいテキストである.リハビリテーション医学・医療の発展と普及に役立つことを心から願っている.

 2021年7月
 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 理事長
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 理事長
 久保 俊一
 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 理事
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 副理事長
 安保 雅博

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I.リハビリテーション医学・医療と脳血管障害の概要
 1 リハビリテーション医学・医療総論
 2 脳血管障害の疫学
 3 脳血管障害の分類
 4 脳梗塞の概要
 5 脳出血の概要
 6 くも膜下出血の概要
 7 脳血管障害の危険因子
 8 脳ドック
 9 脳血管障害に対するリハビリテーション医療の現状
 10 脳血管障害に対するリハビリテーション専門職・歯科医師・産業医

II.脳の解剖と生理
 1 大脳皮質
 2 大脳基底核
 3 視床と視床下部
 4 脳幹
 5 小脳
 6 錐体路
 7 錐体外路
 8 感覚系
 9 脳血管の解剖
 10 脳神経の解剖
 11 脳室と髄液循環

III.脳血管障害の診断――画像検査,血液検査
 1 CT
 2 MRIとMRA
 3 SPECTとPET
 4 頚動脈エコー検査と経頭蓋ドプラー検査
 5 脳血管造影検査と心臓・下肢静脈エコー検査
 6 血液生化学検査

IV.脳血管障害の治療
 1 脳梗塞に対するrt-PA療法
 2 脳梗塞に対する血栓回収療法
 3 脳出血の手術療法
 4 くも膜下出血の手術療法
 5 脳卒中ケアユニット(SCU)と脳卒中ユニット(SU)
 6 急性期の全身管理

V.リハビリテーション診断――症状と評価法
 1 片麻痺
 2 感覚障害
 3 失調
 4 筋緊張の異常
 5 意識障害
 6 認知機能障害
 7 失語症,失行症,失認症など
 8 半側空間無視
 9 そのほかの高次脳機能障害(注意障害,遂行機能障害,記憶障害,社会的行動障害)
 10 摂食嚥下障害
 11 ADL・手段的ADLの障害
 12 QOLの障害
 13 予後予測

VI.急性期におけるリハビリテーション治療
 1 急性期のリハビリテーション治療の考えかたとそのエビデンス
 2 急性期のリハビリテーション治療――理学療法① 離床まで――
 3 急性期のリハビリテーション治療――理学療法② 座位から立位・歩行まで――
 4 急性期のリハビリテーション治療――作業療法――
 5 急性期のリハビリテーション治療――言語聴覚療法――
 6 急性期のリハビリテーション治療――摂食嚥下訓練――

VII.回復期におけるリハビリテーション治療
 1 回復期のリハビリテーション治療の考えかたとそのエビデンス
 2 回復期のリハビリテーション治療――運動療法――
 3 回復期のリハビリテーション治療――歩行訓練――
 4 回復期のリハビリテーション治療――ADL・手段的ADL訓練――
 5 回復期のリハビリテーション治療――その他の作業療法――
 6 回復期のリハビリテーション治療――失語症・その他の高次脳機能障害の言語聴覚療法――
 7 回復期のリハビリテーション治療――認知療法・心理療法――
 8 回復期のリハビリテーション治療――摂食嚥下訓練――
 9 回復期のリハビリテーション治療――装具療法――

VIII.生活期のリハビリテーション医療
 1 生活期のリハビリテーション医療の考えかたとそのエビデンス
 2 外来でのリハビリテーション診療
 3 訪問リハビリテーション
 4 通所リハビリテーション
 5 自主訓練
 6 就労/就学のためのリハビリテーション医療
 7 自動車運転再開のための評価と流れ
 8 脳血管障害の再発予防

IX.併存疾患と合併症
 1 高血圧症
 2 糖尿病
 3 脂質異常症
 4 心疾患
 5 サルコペニア,フレイル
 6 低栄養
 7 誤嚥性肺炎
 8 尿路感染症
 9 排尿障害
 10 褥瘡
 11 深部静脈血栓症
 12 症候性てんかん
 13 脳血管障害後うつ/アパシー
 14 中枢性疼痛
 15 起立性低血圧
 16 経管栄養(PEG)

X.リハビリテーション支援
 1 家屋評価と住宅(家屋)改修
 2 介護保険
 3 身体障害者手帳
 4 経済的支援
 5 支援施設

XI.先端的なリハビリテーション医療
 1 CI療法
 2 ボツリヌス療法
 3 機能的電気刺激(FES)
 4 経頭蓋磁気刺激療法(TMS)
 5 経頭蓋直流電気刺激(tDCS)
 6 ロボットリハビリテーション
 7 再生医療
 8 BMI
 脳血管障害のリハビリテーション医学・医療便覧

索引

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