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造血細胞移植ポケットマニュアル 第2版

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造血細胞移植について具体的にわかりやすくまとめた実践的マニュアル。移植医、移植スタッフはもちろん、血液内科医にも参考になる書。6年ぶりの大幅改訂になるが、初版同様、基礎知識から臨床の現場で役に立つ細かな注意点までを網羅。さらには移植適応の考え方だけではなく予後予測、移植までの治療、移植前処置、移植後再発対策も含めて解説。移植を成功させて完治へ繋げるために病棟・外来の診療現場で広く役立てて頂きたい。

編集 国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科
執筆 福田 隆浩
発行 2024年03月判型:B6変頁:680
ISBN 978-4-260-05270-2
定価 5,280円 (本体4,800円+税)

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第2版の序

 2018年に発行した「造血幹細胞移植ポケットマニュアル」の初版は予想を超える多くの方に読んでいただき,深く感謝申し上げます.今回,6年ぶりに大幅改訂された第2版も,基本コンセプトは変わらず,移植の実際を具体的にわかりやすく解説しました.メディカルスタッフも含めた移植チームへ伝えたい基礎知識から,臨床の現場で役に立つ細かな注意点まで網羅しました.
 この6年間で,GVHDや感染症に対する新規薬剤の発売や,ドナーソースの拡大など,大きな変化がありました.さらに,CAR-T細胞療法の導入によりリンパ腫・急性リンパ性白血病・骨髄腫の治療は大きく変わってきました.このため,本マニュアルのタイトルも「造血細胞移植ポケットマニュアル」と変更しました.今回の改訂では,上記に加えて以下の2点が大きな変更点です.
▪ 移植の対象となる各疾患について,移植適応の考え方だけではなく,予後予測,移植までの治療,移植前処置,移植後再発対策も含めて解説しました.
▪ 同種移植後の時期別の横断的なサマリーとして,特に当院で注意している点について詳細に記載しました(☞セクション62).

 造血細胞移植領域では,エビデンスが確立していない部分も多く,当院のプラクティスも毎年,変わってきています.近年,造血細胞移植やCAR-T細胞療法を行う施設への患者紹介のタイミングや治療後の長期フォローなどにおいて地域連携の重要性が高まっています.本マニュアルは,移植にかかわるレジデント・メディカルスタッフだけではなく,すべての血液内科医にとって重要な内容を盛り込んでいます.今後も,移植を成功させて完治へつなげるために,本書が病棟・外来の診療現場で役に立つ「ポケットマニュアル」になることを願っています.

 2024年1月
 国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科
 福田 隆浩

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第1章 造血細胞移植を行うまでの準備
 1 造血細胞移植の基本
 2 患者・家族への説明
 3 HLA検査・血縁ドナー候補
 4 ドナー・幹細胞の選択
 5 移植コーディネートの進め方
 6 移植適応の考え方
 7 急性骨髄性白血病
 8 急性リンパ性白血病
 9 骨髄異形成症候群
 10 骨髄増殖性疾患
 11 リンパ腫(ATLも含む)
 12 骨髄腫
 13 再生不良性貧血
 14 移植を目指す場合の注意点
 15 不妊対策
 16 移植前オリエンテーション
 17 同種移植ドナーへの説明
 18 同種移植ドナーの適格性評価
 19 アフェレーシス
 20 骨髄採取

第2章 造血細胞移植:入院編
 21 移植前の入院時チェックリスト
 22 移植前処置の選択
 23 GVHD予防
 24 造血細胞輸注
 25 移植患者における輸血
 26 移植患者の栄養管理
 27 移植患者の食事
 28 嘔気・嘔吐
 29 口内炎
 30 下痢
 31 腎機能障害
 32 肝機能障害(VOD/SOSを中心に)
 33 心機能障害
 34 呼吸機能障害
 35 神経障害
 36 血管内皮障害(TMAを中心に)
 37 造血細胞移植患者に対する集中治療
 38 移植病室の防護環境
 39 中心静脈カテーテル感染対策
 40 移植後の感染症対策:総論(FNも含めて)
 41 敗血症への対応
 42 肺炎への対応
 43 移植後の感染症対策:各論
 44 PIR・生着症候群
 45 急性GVHDの診断
 46 急性GVHDの治療
 47 キメリズム検査・生着不全への対策
 48 原疾患再発を減らすための対策
 49 リハビリテーション
 50 疼痛管理
 51 精神的サポート
 52 移植医療にかかる費用と社会制度

第3章 移植後の外来フォロー編
 53 退院前オリエンテーション
 54 慢性GVHDの診断・治療
 55 移植後長期フォロー外来
 56 移植後の晩期障害
 57 移植後の二次がん
 58 外来フォロー時の感染症対策
 59 移植後の予防接種
 60 移植後再発に対する治療法

第4章 追補編
 61 CAR-T細胞療法後の合併症対策
 62 同種移植後の時期別の注意点

略語一覧
索引

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基礎知識から移植前後の時期別に役立つ細かな注意点まで網羅
書評者:豊嶋 崇徳(北大教授・血液内科学)

 造血細胞移植は白血病など血液がんや難治性血液疾患に対する根治をめざした強力な治療法です。その反面,移植を受ける患者さんの病状や社会的状況は多種多様であり,個々の患者さんごとに最適な移植方法や管理方法を選択する必要があります。また,強力な治療であるが故に合併症も多彩で全臓器に及び,全身管理の高度な知識と経験が必須です。特に細々した部分ではエビデンスに乏しく,経験に基づいた「さじ加減」が移植成績を左右することになります。

 初版が世に出たのは2018年です。白衣のポケットに入るサイズでありながら500ページに及び,移植の準備から,入院後,退院後のフォローに至るまで,ほぼ全てが詳細に網羅され,日本中の移植病院の現場で愛用されました。それから6年が経過し,移植適応,移植方法も大きく変化し,新たな薬剤も多数発売されました。そして今回,待ち望まれた「第2版」が刊行されました。新たに追補編として,同種移植後の時期別注意点,CAR-T療法が取り上げられ,一気に680ページへとボリュームアップしました。その結果,造血細胞移植の基礎知識から移植前後の時期別に役立つ細かな注意点まで網羅され,医師のみならず,看護師,移植コーディネーター(HCTC),薬剤師,栄養管理師,リハビリなど,多職種のスタッフの座右の書として必携の一冊となっています。

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