専門医のための血液病学
血液専門医を志す医師、必携の1冊
もっと見る
血液に関する基礎医学的な知識から,多種多様な血液疾患の疫学・検査・治療までを,最新のガイドライン・エビデンスに則り,エキスパートが解説。日本血液学会による「血液専門医研修カリキュラム」の項目を網羅し,平易な記述で「血液専門医として,これだけは知っておきたい!」ことがすべてわかる。
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
序文
開く
序
血液学の進步は日進月歩であり,毎年のように新たな発見があり,新薬が登場している.血液診療を専門とする臨床医にとってこれら最新の情報をタイムリーに収集し,日常診療で実践していくことは極めて重要であるが,新しい知見はしっかりとした血液学,血液疾患の理解を基盤として成り立つものであり,必要であれば基礎を見直すことも大切である.
本書はこのような基本を見直したいときの参考書になることを目標に,血液学の基本的,標準的知識をわかりやすく提供することを主眼にして,血液専門医あるいは血液専門医を目指す専攻医を主な対象に企画されたものである.執筆はその分野を知り尽くし,第一人者として活躍されているエキスパートの先生方に依頼した.本書では造血器系の成り立ちから,各種検査,疾患各論,支持療法に至るまで診療に必要な項目はほとんど網羅されているので,きっと読者の先生方のお役に立てるものと信じている.
一方で,本書は血液学において標準的な内容を網羅していることから,これから血液学を学ぼうとする医学生や研修医,また非血液専門医の先生方にとってもよい参考書になると考えている.
「血液疾患は難しい」
医学生や血液を専門とされない医師の間でよく交わされる言葉である.血液疾患では古くから分子生物学的手法を用いた病態の解析が進んでおり,さまざまな暗号のような遺伝子名や分子名が頻出するうえ,新薬も多いため,そのように感じる方が多いのであろう.これが所謂「血液嫌い」の原因の1つかもしれない.しかし,一見複雑そうにみえる血液診療も一定の考え方に従って行われており,基本を理解していれば他科と比較して決して難しいわけではない.本書のタイトルは「専門医のための血液病学」であるが,その内容は医学生から研修医の皆さんにもご利用いただけるものと考えており,専門医に限らず血液学,血液診療を学ぶ多くの方々の教科書として活用されれば望外の喜びである.
本書は多くの方々のご協力を得て完成したものである.最後になりますが,診療,研究,教育でご多忙のなか,本書の執筆を快くお引き受けいただいた執筆者の先生方,また医学書院の皆様にこの場を借りて心より御礼を申し上げます.
2022年2月
編者一同
目次
開く
Ⅰ 造血・免疫・止血のしくみ
1 造血組織の構造と機能
2 造血幹細胞の性状とその機能
3 血球産生・分化とその調節機構
4 免疫担当細胞とその分化機構
1)自然免疫系
2)T細胞
3)B細胞
5 血栓・止血機構
1)血管
2)血小板の機能
3)凝固系とその調節機構
4)線溶系とその調節機構
Ⅱ 臨床検査・画像検査
1 骨髄穿刺・骨髄生検(各種染色法を含む)
2 リンパ節生検
3 表面抗原解析検査
4 染色体検査
5 遺伝子関連検査
6 FDG-PET
Ⅲ 赤血球系疾患
1 貧血総論と各種貧血への診断アプローチ
2 後天性赤血球系疾患
1)鉄欠乏性貧血と慢性疾患の貧血(ACD)
2)巨赤芽球性貧血
3)再生不良性貧血
4)赤芽球癆
5)自己免疫性溶血性貧血
6)発作性夜間ヘモグロビン尿症
7)腎性貧血
3 先天性赤血球系疾患
1)赤血球膜異常症(遺伝性球状赤血球症)
2)ヘム・ヘモグロビン異常症
3)酵素異常症
4)先天性造血不全症(Diamond-Blackfan貧血)
Ⅳ 白血球系疾患
1 骨髄系
1)骨髄系腫瘍のWHO分類
2)急性骨髄性白血病
3)急性前骨髄球性白血病
4)治療関連骨髄性腫瘍
5)骨髄異形成症候群
6)慢性骨髄性白血病
7)真性赤血球増加症
8)本態性血小板血症
9)原発性骨髄線維症
10)好酸球増多症
2 リンパ系
1)急性リンパ性白血病
2)慢性リンパ性白血病とその類縁疾患
3)濾胞性リンパ腫
4)MALTリンパ腫
5)マントル細胞リンパ腫
6)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
7)Burkittリンパ腫
8)末梢性T細胞リンパ腫
9)NK/T細胞リンパ腫
10)成人T細胞白血病/リンパ腫
11)Hodgkinリンパ腫
12)原発性マクログロブリン血症
13)多発性骨髄腫
14)ALアミロイドーシス
15)POEMS症候群
16)Castleman病/TAFRO症候群
Ⅴ 止血・血栓疾患
1)血友病
2)先天性凝固因子・凝固阻止因子欠乏症/異常症
3)播種性血管内凝固
4)ヘパリン起因性血小板減少症
5)深部静脈血栓症,急性肺血栓塞栓症
6)抗リン脂質抗体症候群
7)血栓性微小血管症
8)特発性血小板減少性紫斑病
9)von Willebrand病
10)先天性血小板減少症・機能異常症
11)自己免疫性凝固因子欠乏症
Ⅵ 治療総論
1 抗がん剤
1)抗がん剤総論
2)アルキル化薬
3)アントラサイクリン系抗がん剤
4)植物アルカロイド
5)白金製剤
6)抗体製剤
7)抗がん剤の注意事項
8)臓器障害時の抗がん剤投与量の調節
2 放射線治療
1)総論
2)各論
3 支持療法
1)サイトカイン療法
2)造血器疾患における感染症の治療と予防
4 輸血
1)血液型,HLAタイピング・HLA抗体
Ⅰ.血液型(判定法,不規則抗体)
Ⅱ.HLAタイピング・HLA抗体
2)輸血の適応
3)輸血合併症
5 造血幹細胞移植
1)移植の種類と適応疾患
2)移植前処置と免疫抑制薬
3)移植後感染症
4)移植片対宿主病(GVHD)
5)移植関連血栓性疾患
索引