標準病理学 第7版
病理がわかる臨床医になろう! CBT/国試対策も、レポートも、これ1冊で万全。
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フルカラーで圧倒的な情報量を誇る、日本人の疫学に合わせた教科書。今改訂では誌面デザインを変更し、病理画像がより大きく、より見やすくなった。病理学の基礎的事項の解説を増やし、X線像やCT像などの臨床画像や臨床情報とのリンクも強化。「病理がわかる臨床医を目指す」には最適の教科書! 好評の巻末問題集セルフアセスメントも継続し、CBT/医師国家試験対策も、レポートなどの日々の学習も、これ1冊で万全。
● | 『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。 |
● | 各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。 |
更新情報
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2025.04.23
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序文
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第7版 序
『標準病理学』は1997年の初版発行以来,定期的な改訂を続け,第7版を上梓するに至った.この間,実に四半世紀が経過したが,「はじめて病理学を学ぶ医学生のための標準的な教科書」をつくるという編集方針は,今版も変わらない.一方で,医学教育や病理学を取り巻く社会の状況は変化しており,教科書も時代の要請に応える必要がある.2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,本稿執筆時点でも収束の気配をみせていない.この感染症の流行をきっかけに浸透したオンライン授業は,いまや当たり前のものとなりつつある.そのようななかにあって,教科書はいままで以上に学生の日々の学習に寄り添う存在であることが求められる.
これまで,日常臨床で出会う代表的疾患だけでなく,実習ではなかなか目にすることのないようなまれな疾患や,臨床で役立つ診断基準の知識を網羅するのも教科書の役割と考えてきた.しかし,版を重ねるごとに,教科書では基礎的な事項に重点を置いて丁寧に学びたい,という読者の声が大きくなってきた.第7版ではそのニーズを踏まえ,アンケートや読者モニターに協力してくださった方々の率直な意見を参考にしながら,「現代の医学生が学ぶべき病理学的知識のミニマムリクワイアメント」を考えた構成となっている.その結果,国家試験で問われる内容を中心に基礎的解説は増やしながらも,前版より総ページ数は減少し,より手に取っていただきやすくなったと自負している.
また,今版では紙面デザインと製本方法を変更し,本の開きをよくして画像をより大きく掲載できるようになった.見やすくなった鮮明な病理像の数々を,堪能していただきたい.
今回の改訂に際しても,いくつかの章で世代交代が行われ,新たな執筆者を迎えた.第6版まででご退任いただいた先生方は,そのお名前を別頁に掲示させていただき,これまでのご尽力に対し心よりお礼申し上げる次第である.
先に述べたように,第7版では基礎的事項を重視する編集方針をとったが,かといってまったく“ゆとり”や“深み”がなくなったわけではない.第一線で活躍する執筆陣が紙面の端々で,「Advanced Studies」という形で専門性を活かしてわかりやすく紹介する最新の動向から,病理学研究のエッセンスを感じていただくことができるだろう.本書を入口として病理学を学ぶ楽しみは,今改訂に際してもいささかも減少していないと考える.読者諸氏の感想はいかがだろうか.
2023年1月
編者
目次
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総論
第1章 序論:病理学について
本章の構成マップ
A 病理学とは
B 病理学の歴史
C 医学教育のなかでの病理学
D 医療における病理学の役割
E 病理学の現在と展望
第2章 細胞傷害の機序とその修復
本章の構成マップ
A 細胞の基本構造
B 細胞傷害の原因と機序
C 細胞傷害の形態変化
D 組織修復・再生とその機構
E ストレスや刺激に対する細胞・組織の適応
第3章 炎症
本章の構成マップ
A 炎症とは
B 炎症にかかわる細胞とケミカルメディエータ
C 炎症にかかわる宿主要因
D 急性炎症
E 慢性炎症
F 炎症の終焉と創傷治癒
G 各種炎症の形態像
H 炎症の全身への影響
第4章 感染症
本章の構成マップ
A 感染症とは
B 病原微生物の種類
C 感染経路
D 感染症に関して知っておくべき事項
E ウイルス感染症
F 細菌感染症
G 真菌感染症
H 原虫症
I 蠕虫症(寄生虫症)
J 節足動物・昆虫によるもの
K プリオン病
第5章 免疫とその異常
本章の構成マップ
A 自然免疫系と獲得免疫系
B 免疫応答のメカニズム
C リンパ球の分化と自己・非自己の認識
D 臓器移植に関連した免疫反応
E 腫瘍に対する免疫反応
F アレルギー(過敏反応)
G 自己免疫疾患
H 免疫不全症
第6章 代謝障害
本章の構成マップ
A 糖代謝障害
B 脂質代謝障害
C タンパク質代謝障害
D 核酸代謝異常
E 色素代謝異常
F 無機物代謝障害
第7章 循環障害
本章の構成マップ
A 機能と構造
B 充血とうっ血
C 水腫(浮腫)
D 出血
E 止血機構と血栓症
F 塞栓症
G 虚血と梗塞
H 側副循環
I 心不全
J 高血圧と低血圧
K ショック
第8章 染色体・遺伝子および発生の異常
本章の構成マップ
A 染色体・遺伝子の基本概念
B 発生異常
C 染色体異常による疾患
D 遺伝子異常による疾患
第9章 腫瘍
本章の構成マップ
A 定義
B 良性および悪性腫瘍の特徴
C 多段階発がん
D 腫瘍の診断と治療・予後
E 腫瘍の生物学
F 腫瘍の発生
G がん遺伝子とがん抑制遺伝子
H 腫瘍と宿主
I 疫学
各論
各論の構成マップ
第10章 血液・造血器・リンパ節
血液・造血器
A 序論
B 赤血球系の異常
C 白血球の異常(非腫瘍性主体の疾患)
D 血小板系異常と出血性疾患
E 骨髄を増殖の場とする腫瘍性疾患
F その他の骨髄病変
G 脾臓
リンパ節
A 構造・機能
B リンパ節腫脹
C 組織球関連病変
D 樹状細胞関連病変
E 転移性腫瘍
第11章 循環器
血管
A 脈管の構造
B 血管の病変
C 動脈硬化
D 末梢動脈の狭窄・閉塞性疾患
E 大動脈瘤と大動脈解離
F 血管炎
心臓
A 構造
B 先天性心疾患
C 虚血性心疾患
D 心筋炎
E 心筋症
F 弁膜疾患
G 心臓腫瘍
第12章 呼吸器
A 発生・構造・機能
B 上気道の病変
C 肺の病変
D 胸膜の病変
E 縦隔と胸腺の病変
第13章 口腔・唾液腺
A 顔面・口腔の発生と発育異常
B 歯の病変
C 顎骨内病変
D 口腔粘膜病変
E 顎口腔領域の腫瘍
F 唾液腺の病変
G 顎関節症
H 口腔の加齢と老化
第14章 消化管
消化管の基本構造・機能・発生
食道
胃
十二指腸
小腸,大腸
A 正常構造と機能
B 形成異常
C 吸収不良症候群
D 循環障害性疾患,機械的障害
E 炎症性腸疾患
F 腫瘍および腫瘍類似病変
虫垂
第15章 肝・胆・膵
肝臓
A 構造と機能
B 肝臓の細胞障害と再生
C 代謝障害
D 循環障害
E ウイルス性肝炎
F その他の炎症性および感染性疾患
G 肝硬変
H 胆管の非腫瘍性疾患
I アルコール性肝障害
J 非アルコール性脂肪性肝疾患
K 薬物性肝障害
L 腫瘍
M 肝移植の病理
N 肝不全
肝外胆管および胆囊
A 構造と機能
B 胆石症
C 炎症
D 腫瘍類似病変
E 腫瘍
膵臓
A 解剖・組織・発生
B 先天異常
C 代謝障害
D 膵炎
E 腫瘍
第16章 腎
A 正常構造と機能
B 腎疾患の臨床
C 糸球体腎炎の発症機序
D 腎生検による糸球体疾患の診断,所見の取り方
E 原発性糸球体病変
F 二次性糸球体病変
G 尿細管・間質病変
H 囊胞性疾患
I 移植腎
J 腎腫瘍
第17章 尿路(尿管・膀胱・尿道)
A 尿路の概論
B 炎症性疾患
C 腫瘍性疾患および非腫瘍性増殖性疾患
D 形態異常性疾患
E その他の疾患
第18章 内分泌
A 下垂体
B 甲状腺
C 副甲状腺
D 副腎
E 膵臓(内分泌腺)
F その他の神経内分泌腫瘍
G 多発性内分泌腫瘍症
第19章 乳腺
A 構造・機能・発生とその異常
B 炎症
C 乳腺症およびその他の非腫瘍性病変
D 腫瘍
第20章 女性生殖器
A 発生・構造・機能・発生異常
B 外陰の病変
C 腟の病変
D 子宮頸部の病変
E 子宮体部の病変
F 卵管の病変
G 卵巣の病変
H 妊娠に関連する疾患
第21章 男性生殖器
A 精巣・性腺
B 精管・精索・精囊・射精管
C 前立腺
D 陰茎・陰囊
第22章 脳・神経
A 構造
B 先天異常
C 脳血管障害
D 頭部外傷
E 感染性疾患
F 神経変性疾患
G 脱髄
H 代謝・中毒性疾患
I 脳腫瘍
J 末梢神経疾患
K 神経筋接合部・筋疾患
第23章 軟部組織
A 非腫瘍性病変
B 腫瘍性病変
第24章 骨・関節
骨
A 構造・発生
B 発生と形態の異常
C 代謝性疾患
D 骨折
E 循環障害
F 感染症
G 骨腫瘍
関節
A 構造
B 変性疾患
C 炎症性疾患
D 代謝異常と関連する疾患
E 感染性関節炎
F 関節の腫瘍および腫瘍類似疾患
第25章 皮膚・感覚器
皮膚
A 正常組織
B 発疹学
C 炎症性疾患
D 皮膚の腫瘍性病変
感覚器
付録
1.病理実習のてびき
A 病理実習では何を学ぶのか
B 病理組織実習
C CPC型剖検例検討実習
2.セルフアセスメント
和文索引
欧文索引