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All About 開放隅角緑内障 第2版

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緑内障の標準病型である「開放隅角緑内障」について、臨床に必要な基礎研究・疫学の最新知識から、実地診療の最前線までを網羅。「緑内障診療ガイドライン」は最新の「第5版」に準拠。最新の治療薬、白内障/緑内障同時手術、AIとビッグデータなど最新トピックスも満載。第一線で活躍する執筆陣による単独執筆。エキスパートならではの経験、洞察、哲学を存分に披露した、緑内障診療の新しいスタンダードテキスト。

シリーズ 眼科臨床エキスパート
シリーズ編集 𠮷村 長久 / 後藤 浩 / 谷原 秀信
編集 山本 哲也 / 谷原 秀信
発行 2022年04月判型:B5頁:512
ISBN 978-4-260-04933-7
定価 19,800円 (本体18,000円+税)

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第2版 序

 『All About 開放隅角緑内障(第2版)』をお届けいたします.《眼科臨床エキスパート》シリーズの嚆矢をなす企画として本書の第1版は,2013年に出版されましたが,今回,9年ぶりに大幅な改訂を行って,第2版として,新たに刊行するものです.新しい治療薬や手術治療などを含めて,この9年間でアップデートされた情報を最大限取り入れていただくためにも,緑内障診療の最前線で活躍し,緑内障診療の進歩を牽引するオピニオンリーダーとなっておられるエキスパートを執筆陣としてお迎えしました.今回の改訂にあたっては,例外なく,執筆者ご自身の単独執筆としていただくことで,エキスパート各自の経験と見識をよりダイレクトに踏まえた内容になったものと思います.さらに直近で発表された「緑内障診療ガイドライン(第5版)」の内容と考え方に準拠していただいたことも,第2版としての価値を高めてくれています.
 シリーズの編集方針である,「臨床現場で要求される知識を,エキスパートの経験・哲学とエビデンスに基づく新スタンダードとして解説する」ことは堅持させていただきました.編集者の強い要望として,サイエンスとしての緑内障学を踏まえつつも,日常診療の現場に役立ち,一人でも多くの緑内障患者を重篤な視機能障害から救うことができるような実践的な情報の整理を目指しております.ご多忙の中,編集者の期待に十分に応えていただいた執筆者の先生方に感謝申し上げます.また第1版の特徴となった開放隅角緑内障の診療概論に関する総説に加えて,緑内障診療の近未来に関する展望を掲載できたことは大きな意義を有するものと思います.
 「All About」という表現を冠したように,緑内障診療の基本となる開放隅角緑内障の疫学,診断から治療に至るまでを網羅しつつも,過不足なく日常診療に必要な情報を整理した形で一読いただける本書であるからこそ,ぜひとも繰り返し精読していただくことで,我が国における中途失明原因の首位に位置する“緑内障” の本質に迫っていただけると思います.第1版の序文にて,版を重ね,長い歳月での評価に耐えることのできる新スタンダードとして本書が続いていくことを願っておりました.幸いなことに,第1版が好評であったことで,新たに版を重ねることが可能となりました.そして執筆陣のご尽力で,第2版となる本書は,編集者の我々と共に,読者の期待に添える素晴らしい内容であることを自負しております.本書が,読者の日常診療において,少しでもお役に立てるものであることを強く願います.
 最後となりましたが,本書制作にあたっては,医学書院の関係者の皆様に大変にお世話になりましたことを付記させていただきます.

 2022年2月
 編集 山本哲也,谷原秀信

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第1章 総説
 I 開放隅角緑内障の診療概論アップデート
   I. 緑内障管理の目標
   II. 眼圧下降治療を正当化するいくつかのエビデンス
   III. 開放隅角緑内障の予後と予後因子(自験成績)
   IV. 開放隅角緑内障の基本的治療戦略
   V. 検査法と解釈の要点
   VI. 診断,管理
 II 緑内障診療の近未来
   I. 診断の近未来
   II. 治療の近未来
   III. 長期管理の近未来

第2章 疫学と基礎
 I 開放隅角緑内障の分類と考え方
  A 開放隅角緑内障の疫学的特徴
   I. 疫学調査における緑内障の診断基準
   II. 開放隅角緑内障の有病率
   III. 開放隅角緑内障のリスクファクター
  B 原発開放隅角緑内障
   I. 基本病態
   II. 眼圧上昇機序
   III. 臨床像
   IV. 高眼圧症
  C 正常眼圧緑内障
   I. 正常眼圧緑内障における乳頭陥凹の成立機序
   II. 原発開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障の相違
   III. 正常眼圧緑内障における視野進行とその危険因子
   IV. 正常眼圧緑内障の鑑別
   V. 視神経乳頭部の血流評価
   VI. 眼血流と緑内障の関連
  D 前視野緑内障
   I. PPGの診断の意義
   II. PPGの診断方法
   III. PPGの鑑別診断
   IV. PPG治療についての考え方
  E 続発開放隅角緑内障
   I. 続発開放隅角緑内障の分類
   II. 代表的な原因疾患とその特徴
 II 開放隅角緑内障のリスクファクター
  A 眼圧異常
   I. 眼圧と緑内障
   II. 眼圧の疫学
   III. 眼圧変動の原因
   IV. 緑内障発症のリスクファクターとしての眼圧
  B 高齢者
   I. POAGの有病率と高齢者
   II. POAGの発症率と高齢者
   III. 疫学研究におけるPOAGの定義と落屑緑内障の扱い
   IV. 落屑緑内障と高齢者
   V. 高眼圧症からのOAG発症と高齢者
   VI. OAGの進行と高齢者
   VII. 加齢がOAGの発症・進行を促進するメカニズム
  C 近視
   I. 緑内障と近視についての疫学
   II. なぜ近視眼に緑内障が生じやすいか
   III. 近視における視神経乳頭の構造変化
   IV. 近視と眼循環障害
   V. 近視を有する緑内障の診断
   VI. OCT画像診断における注意点
   VII. 近視を有する緑内障の視野変化
   VIII. 近視型緑内障と視野進行について
   IX. 鑑別を要する先天性視神経乳頭異常
  D 乳頭出血と乳頭周囲網脈絡膜萎縮
   I. 乳頭出血
   II. 網膜神経線維層欠損
   III. 乳頭周囲網脈絡膜萎縮
  E 開放隅角緑内障の遺伝要因と遺伝相談
   I. 眼科領域の遺伝学的解析
   II. 単一遺伝子異常によって発症するOAG
   III. 多因子疾患としてのOAG
   IV. 緑内障に関係する表現型と遺伝子多型の関連
   V. DTC遺伝子検査の現状
   VI. 眼科診療における遺伝子診断の意義
   VII. 遺伝カウンセリング
 III 基礎の裏付け
  A 房水流出の解剖と生理
   I. 房水流出路と流出量の割合
   II. 房水流出路の構造
   III. Schlemm管内皮の房水流出メカニズム
   IV. 房水流出量の調節
  B 緑内障眼における房水流出異常
   I. 緑内障眼における房水流出路の特徴
   II. 線維柱帯細胞の異常
   III. 細胞外マトリックスの異常
   IV. 遺伝子の異常:ミオシリン
   V. Schlemm管内腔以降の異常
   VI. 緑内障における房水内生理活性物質の測定
   VII. 緑内障における房水内生理活性物質の異常
   VIII. 続発開放隅角緑内障
  C 視神経の解剖学的,生理学的特殊性と視神経症との関連
   I. RGC軸索の走行
   II. 眼内RGC軸索の特殊性
   III. 眼内の軸索投射の多様性
   IV. 視神経乳頭部の血管支配の特殊性
   V. 視索障害における交叉線維と非交叉線維の非対称性の割合と機能障害との解離ならびにGONとの関連
  D 緑内障性視神経症の病態と軸索輸送
   I. GONの基礎知識
   II. 機械障害説
   III. 乳頭循環障害説
   IV. 軸索輸送障害説
   V. GONにおけるBDNF,ミトコンドリアの意義
   VI. RGC機能障害の検出を目指した軸索輸送ライブイメージング

第3章 開放隅角緑内障の診断
 I 眼圧測定・管理のコツと落とし穴
   I. 眼圧の性質
   II. Goldmann圧平眼圧計の測定法と原理
   III. Goldmann圧平眼圧計以外の眼圧機器と原理
 II 隅角と前眼部
   I. 正常の開放隅角所見
   II. 隅角の異常所見
   III. 隅角の画像診断装置
   IV. 前眼部所見
 III 眼底所見の画像診断
   I. OCT
   II. 眼底写真
   III. OCTA
  Topics
   新世代OCTの展望
   緑内障診療におけるAIとビッグデータ
 IV 視野の評価と進行判定
   I. 治療開始を判断する視野の評価
   II. 治療の変更や追加を考える視野の進行判定
  Topics
   新しい視野検査,特殊な視野検査:両眼開放視野計(imo vifa)

第4章 開放隅角緑内障に対する治療
 I 開放隅角緑内障の治療原則
   I. 緑内障治療の目的
   II. 治療の原則
   III. 眼圧下降の有効性と緑内障発症あるいは緑内障進行の危険因子
   IV. 眼圧下降以外の緑内障治療
   V. 新たに緑内障と診断された患者の診療手順
   VI. 眼圧下降薬1剤で眼圧下降が目標眼圧を達成しないとき
   VII. アドヒアランスからみた点眼処方の原則
   VIII. レーザー療法
   IX. 手術療法
 II 薬物療法
  A ガイドラインに準拠した薬物治療の考え方
   I. 緑内障薬物治療のパラダイムシフトと緑内障診療ガイドライン改訂
   II. わが国で利用可能な緑内障点眼薬の現状
   III. 薬物治療の原則
   IV. 第1 選択薬で目標眼圧に満たない場合
   V. 高眼圧症や前視野緑内障に対する薬物治療
   VI. 非薬物治療に切り替えるタイミング
   VII. アドヒアランスの重要性
   VIII. 眼圧下降以外に期待される薬効は?
   IX. 周産期・授乳期のPOAG患者の薬物治療
  B 新しい緑内障治療薬の展望
   I. 既存作用機序の緑内障治療薬で今後期待される薬物(新規配合剤)
   II. 新規作用機序の緑内障治療薬で今後期待される薬物
   III. 新規ドラッグデリバリーシステムで期待される薬物開発
  C 単剤治療の考え方
   I. 単剤治療の原則
   II. 薬物各論
  Topics
   上眼瞼溝深化(DUES)―PG関連薬の副作用
  D 多剤併用と合剤の考え方
   I. 緑内障薬物治療導入時について
   II. プロスタノイド受容体関連薬に追加する点眼薬は何か
   III. β遮断薬に追加する点眼薬は何か
   IV. 3つ目の点眼薬は? 点眼ボトルは?
   V. 4つ目の点眼薬は?
   VI. 多剤併用療法の問題点
   VII. 配合剤の位置付け
   VIII. FP作動薬とβ遮断薬の合剤
   IX. β遮断薬とCAI点眼薬の合剤
   X. β遮断薬とα2作動薬の合剤
   XI. CAI点眼薬とα2作動薬の合剤
  E アドヒアランス改善を目指した工夫と生活指導
   I. コンプライアンスから,アドヒアランスとコンコーダンスへ
   II. 緑内障におけるアドヒアランスと予後
   III. アドヒアランスに影響する因子
   IV. アドヒアランスの評価方法
   V. 患者の行動変容を促すLEARNのアプローチと患者教育の基本姿勢
   VI. 患者の行動変容ステージモデル
   VII. アドヒアランスを向上させるための工夫
   VIII. アドヒアランス向上のための生活指導と医療チームの構築
 III レーザー療法
  A レーザー線維柱帯形成術の適応,術式,成績
   I. 適応と禁忌
   II. 術前処置
   III. 手技の実際
   IV. 術後管理
   V. 合併症と対策
   VI. 術後成績
 IV 手術療法
  A トラベクレクトミーの適応と術式
   I. トラベクレクトミーの歴史
   II. トラベクレクトミーの適応
   III. 術式
   IV. 術後管理
  B トラベクレクトミーの合併症とトラブルシューティング
   I. 術中合併症
   II. 術後早期合併症
   III. 術後晩期合併症
  C チューブシャント手術
   I. チューブシャント手術の適応と実施の留意点
   II. チューブシャント手術の分類
   III. チューブシャント手術(プレートのあるもの)の原理と適応
   IV. バルベルト緑内障インプラント
   V. アーメド緑内障バルブ
   VI. チューブシャント手術(プレートつきのもの)の合併症
   VII. バルベルトとアーメドの手術成績比較
   VIII. バルベルトとアーメドの使い分け
   IX. チューブシャント手術(プレートのないもの)―エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイス(エクスプレス®
  D トラベクロトミー(流出路再建術)の適応,術式,手術成績
   I. トラベクロトミーの奏効機序と術式の確立
   II. トラベクロトミーの手術手技
   III. トラベクロトミーの合併症
   IV. トラベクロトミーの手術成績
   V. MIGS による流出路再建術
   VI. 各術式の特徴と手術成績
  E 白内障/緑内障同時手術
   I. 濾過手術と白内障同時手術
   II. 流出路再建術と白内障同時手術
   III. 低侵襲緑内障手術と白内障手術
   IV. 難症例が多い緑内障患者の白内障手術
  F 毛様体凝固術の適応,術式,手術成績
   I. 毛様体の構造
   II. 毛様体凝固術の歴史
   III. 各種毛様体光凝固術の特徴と手術手技

第5章 開放隅角緑内障の生活指導とロービジョンケア
 I 緑内障とQOV/QOL
   I. 緑内障とQOV
   II. 緑内障とQOL
  Topics
   緑内障患者の自動車運転
   身体障害者の判定について
   緑内障と転倒事故
 II 緑内障眼の視機能障害とそのケア
   I. 緑内障の視覚障害の特徴
   II. 緑内障の視野障害部位の見え方
   III. 視野障害部位と日常生活
   IV. 緑内障患者のロービジョンケア
   V. ロービジョンケア(ロービジョン外来)
   VI. ロービジョンケア(視覚補助具選定)
   VII. 新しい視覚補助具
   VIII. ロービジョンケア(医療的支援以外)
 III 緑内障患者に対する生活指導
   I. 眼圧下降の原則とアドヒアランスの臨床的な重要性
   II. 眼圧の評価と変動要因
   III. 眼圧に影響を与える生活習慣
   IV. 緑内障発症リスクと生活習慣
   V. 緑内障進展リスクファクター

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