脊髄損傷の看護 第2版
生活の再構築に向けて

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脊髄損傷は、治療法の進歩による軽傷化および患者の高齢化の時代へと変化してきています。本書はそのような変化を受け、『生活の再構築に向けて』をコンセプトに、脊髄損傷者の地域での生活再開と社会参加を目指す、個別性を重視した看護を解説しています。脊髄損傷者の援助に関わる病院看護師と地域で活躍する医療者、そして患者・家族の方へ。

編集 神奈川リハビリテーション病院 看護部脊髄損傷看護編集委員会
発行 2024年04月判型:B5頁:128
ISBN 978-4-260-05435-5
定価 3,520円 (本体3,200円+税)

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第2版 序

 脊髄損傷の看護に特化したわが国で初めての書籍である「脊髄損傷の看護──セルフケアへの援助」の初版が発刊されてから約20年が経過し,今回全面的な改訂に至りました。
 神奈川リハビリテーション病院は,1973年に「七沢障害・交通リハビリテーション病院」として設立され,1985年に現在の病院名に改めました。当初50床であった脊髄損傷病棟は,1998年の病院増築時には80床に拡張され,そこから四半世紀以上の時が流れた現在まで,私たち看護師はリハビリテーション看護の専門性の向上に取り組んできました。
 現在,日本は超高齢社会であり脊髄損傷者においても例外ではありません。高齢脊髄損傷者の疫学的特徴として,脊柱管狭窄症や後縦靱帯骨化症などを伴い,軽微な外力で不全四肢麻痺となる患者の増加が挙げられ,大きな課題となっています。また治療においては,脊髄損傷分野の再生医療などが登場し,劇的に変わりつつあります。近年のCOVID-19感染拡大により,労働環境が変化し,そこにIT関連,AIの発展が加わることにより,脊髄損傷者の社会参加面でも大きな変革が起こりつつあります。加えてパラリンピックをはじめとする障がい者スポーツの発展も脊髄損傷者の社会参加面において大きな意味をもち,多様性を認め,個性や能力を発揮し活躍できる機会となっています。
 初版は,受傷部位と障害レベルを切り口に脊髄損傷者のセルフケアを最大限に支援する視点でまとめていますが,このような時代の変化をふまえ,第2版は,タイトルを『脊髄損傷の看護──生活の再構築に向けて』とし,脊髄損傷者自身の未来を見据えた視点を強調しています。第1章では,初版と同様に脊髄損傷について解説し,完全麻痺と不全麻痺の違いに触れています。第2章では,本書のテーマである生活の再構築について述べ,「身体管理(合併症の予防と健康管理)」「ADLの拡大」「精神面への援助」「社会参加」を柱とし,これまでの人生で育んできた生活や価値観を尊重し,患者の個別性に合った看護を選択できるように書かれています。続く付章では,現在進んでいる再生医療とその後のリハビリテーションについて,看護師がどのようにかかわっていくことができるかを,わずかではありますが示しています。
 神奈川リハビリテーション病院では,医学書院から『脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版』をすでに刊行しており,そのなかでも「脊髄損傷の看護」について述べていますが,本書では事例を織り交ぜながら,当院で行っている実際の看護を伝えています。脊髄損傷の理解を深め,看護実践の手引き書となる本づくりができたと確信しています。本書が脊髄損傷看護の指針となり,多くの臨床現場や脊髄損傷者とそのご家族の方々の役に立つことができればと期待しています。併せて住み慣れた地域で脊髄損傷者が生活の再構築ができることの一助となることを願います。
 第2版は,初版の執筆を担当された宮内康子氏,本田裕子氏,渡辺美加子氏,幾田千代美氏,四元和代氏の意図を引き継ぎ,積み重ねてきたものを形にしています。先輩諸氏ならびに執筆担当者に深く敬意を表します。
 最後になりましたが,本書の発行にご尽力いただいた医学書院の金子力丸氏に心より御礼申し上げます。

 2024年3月
 神奈川リハビリテーション病院 看護部長 渡辺美和

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第1部 脊髄損傷の理解
 1章 脊髄損傷とは
   1 人間の脊髄と脊髄損傷
   2 外傷性脊髄損傷と非外傷性脊髄損傷
   3 麻痺の評価
   4 各損傷レベルの自立度の目標

第2部 生活の再構築
 1章 身体の管理
   1 褥瘡予防
   2 排便管理(コントロール)
   3 排尿管理
   4 継続的な健康管理
 2章 ADL(日常生活動作)の拡大
   1 移動・移乗
   2 食事動作
   3 排泄動作
   4 保清(入浴・洗面)
   5 更衣動作
 3章 外出・外泊訓練と家屋調査
   1 外出訓練
   2 外泊訓練
   3 家屋調査
 4章 精神面への看護
   1 急性期
   2 回復期
   3 ピアサポート
 5章 家族への看護
   1 家族を支援する目的
   2 家族が受ける影響
   3 家族像を捉える
   4 支援の実際
   5 看護者の姿勢
 6章 社会参加への道
   1 身体障害者手帳・介護保険
   2 その他の制度
   3 地域連携
   4 就労(復職)支援
   5 学校訪問
   6 スポーツ
 7章 小児の脊髄損傷
   1 身体的ケア
   2 精神的ケア
   3 社会的ケア
   4 長期休暇を利用した集中リハビリテーション

付章 脊髄損傷者に対する医療と看護の今後

索引

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