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社会活動支援のためのリハビリテーション医学・医療テキスト

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障害者の学校生活、就業、地域行事、スポーツなど「社会での活動」を支援するのはリハビリテーション医学・医療の重要な役割です。障害者福祉法から介助犬まで、「社会での活動」を支援するために必要な知識を網羅的にまとめた唯一のテキスト。障害のある方が社会で生き生きと輝くためのリハビリテーション支援を本書で学ぼう。

監修 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 / 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
総編集 久保 俊一 / 佐伯 覚
編集 三上 靖夫 / 高岡 徹 / 中村 健
発行 2021年04月判型:B5頁:160
ISBN 978-4-260-04619-0
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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はじめに

 Rehabilitationという言葉が医学的に使用され始めたのはおよそ100年前のことである.第一次世界大戦によって生じた膨大な数の戦傷者を,いかに社会に復帰させるかが大きな課題となった.この課題に応えるべく,米国では陸軍病院にphysical reconstruction and rehabilitationというdivisionが設けられた.これが最初の事例であるとされている.そのとき,rehabilitationは医学的治療と並行して進めるものであるという位置づけであった.そして,第二次世界大戦でさらにその有用性が認められ,1949年,米国でAmerican board of physical medicine and rehabilitationとして独立し,重要な診療科となった.
 日本にrehabilitationという概念が導入されたのは1950年代で,1963年に日本リハビリテーション医学会が設立された.日本ではphysical medicine and rehabilitationがリハビリテーション医学として総括された.国際リハビリテーション医学会の名称はInternational Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM)であり,physical medicine とrehabilitation medicineがセットになっている.日本ではこの2つを合わせて「リハビリテーション医学」としている.Physical medicineにあたる部分は名称として入っていないが,当然それも含めていることを念頭におくべきである.
 超高齢社会となった日本において,リハビリテーション医学・医療の範囲は大きく広がっている.小児疾患や切断・骨折・脊髄損傷に加え,脳血管障害,運動器(脊椎・脊髄を含む)疾患,循環器・呼吸器・腎臓・内分泌代謝疾患,神経・筋疾患,リウマチ性疾患,摂食嚥下障害,がん,スポーツ外傷・障害などの疾患や障害が積み重なり,さらに周術期の身体機能障害の予防・回復,フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームなども加わり,ほぼ全診療科に関係する疾患,障害,病態を扱う領域になっている.しかも,疾患,障害,病態は複合的に絡み合い,その発症や増悪に加齢が関与している場合も少なくない.リハビリテーション医学・医療の役割は急速に高まっている.
 リハビリテーション診療を担うリハビリテーション科は2002年,日本専門医機構において18基本診療科(現在19基本診療科)の1つに認定され,臨床における重要な診療科として位置づけられた.その専門医育成が2018年度からスタートしている.Physical medicineが含まれているリハビリテーション医学をしっかりとバランスよく教育していくことはきわめて重要な事柄になっており,そのために体系立ったテキストとして『リハビリテーション医学・医療コアテキスト』『急性期のリハビリテーション医学・医療テキスト』『回復期のリハビリテーション医学・医療テキスト』『生活期のリハビリテーション医学・医療テキスト』『総合力がつくリハビリテーション医学・医療テキスト』が発刊されている.本書は,それらに続いて企画されたものである.
 日本リハビリテーション医学会では2017年度から,リハビリテーション医学について新しい定義を提唱している.すなわち,疾病・外傷で低下した身体・精神機能を回復させ,障害を克服するという従来の解釈のうえに立って,ヒトの営みの基本である「活動」に着目し,その賦活化を図る過程がリハビリテーション医学であるとしている.「日常での活動」としてあげられる,起き上がる,座る,立つ,歩く,手を使う,見る,聞く,話す,考える,衣服を着る,食事をする,排泄する,寝る,などが有機的に組み合わさって,掃除・洗濯・料理・買い物などの「家庭での活動」,就学・就労・余暇などの「社会での活動」につながっていく.ICFにおける参加は社会での「活動」に相当する.
 リハビリテーション医学という学術的な裏づけのもとエビデンスが蓄えられ根拠のある質の高いリハビリテーション医療が実践される.リハビリテーション医療の中核がリハビリテーション診療であり,診断・治療・支援の3つのポイントがある.ヒトの活動に着目し,急性期・回復期・生活期を通して,病歴,診察,検査,評価などから活動の予後を予測する.これがリハビリテーション診断である.そして,その活動の予後を理学療法,作業療法,言語聴覚療法,義肢装具療法など各種治療法を組み合わせ最良にするのがリハビリテーション治療である.さらにリハビリテーション治療と相まって,環境調整や社会的支援の有効利用などの活動を社会的に支援していくのがリハビリテーション支援である.
 リハビリテーション診療において,「社会での活動」を育むリハビリテーション支援は重要なポイントであり,これらを網羅的に理解できる適切なテキストが必要である.本書は,日本リハビリテーション医学教育推進機構と日本リハビリテーション医学会が企画して,法律を含む「社会での活動」に対する支援の概要をまとめたテキストである.手続きなども含めて,バランスよく実用的に記載することをこころがけた.
 編集および執筆は「社会での活動」への支援に精通した先生方に担当いただいた.本書の作成に献身的に携った先生方に深く感謝する.医師・専門職をはじめとしてリハビリテーション医学・医療に関係する方々にぜひ活用していただきたいテキストである.リハビリテーション医学・医療の発展と普及に役立つことを心から願っている.

 2021年3月
 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 理事長
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 理事長
 久保 俊一
 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 理事
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 理事
 佐伯  覚

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I.「社会での活動」を促進するために!
 1 「社会での活動」におけるリハビリテーション医学・医療の役割
  1 リハビリテーション医学・医療の意義─活動を育む医学─
  2 活動を育むとは
  3 社会活動支援とリハビリテーション医学・医療
 2 障害受容のプロセス
 3 「社会での活動」に関する評価
  1 「社会での活動」とその特徴
  2 「社会での活動」の評価はなぜ必要か
  3 「社会での活動」に関する評価法にはどのようなものがあるか
  4 日本語版を使用するときの参考文献
 4 障害者施策と関連法規
  1 医療・介護・福祉サービス
  2 障害者福祉制度と関係する法体系
  3 障害者基本法
  4 障害者総合支援法
  5 身体障害者福祉法
  6 障害者差別解消法
  7 障害者雇用施策(障害者雇用促進法)
  8 介護保険制度と障害者施策との関係
 5 自立支援における多職種連携
  1 自立訓練における多職種連携
  2 就労支援における多職種連携
  3 自立支援に対する関連職種間の連携
  4 自立支援の質の向上
 6 社会活動支援のための環境整備
  1 環境整備の意義と背景
  2 公共交通機関などの社会基盤の整備
  3 福祉用具の活用と開発
  4 情報バリアフリー環境の整備
 7 重度障害者の「社会での活動」
  1 重度障害者の「社会での活動」の意義
  2 重度障害者の「社会での活動」への支援方法
 8 レクリエーション(文化活動)
  1 レクリエーション(文化活動)の意義
  2 文化活動・スポーツの効果
  3 スマートフォン,コンピュータなどのICT機器の活用
  4 社会資源の活用
 9 患者会・患者支援団体
  1 患者会・患者支援団体の概要
  2 患者会・患者支援団体の役割
  3 代表的な患者会
  4 患者会・患者支援団体の課題

II.障害と就学・就労支援の進め方
 1 障害児・者の「社会での活動」
  1 障害者権利条約
  2 障害児・者数
  3 障害児の教育
  4 障害児の通所支援
  5 就労
  6 スポーツ・文化活動
  7 リハビリテーション支援におけるポイント
 2 職業リハビリテーション
  1 職業リハビリテーションの定義と目的
  2 就労の意義と職業リハビリテーションの役割
  3 職業リハビリテーションに関する法制度
  4 リハビリテーション医学・医療における職業リハビリテーション
 3 就学支援
  1 インクルーシブ教育システム
  2 特別支援教育
  3 就学先の決定
  4 就学・復学支援の実際
  5 その他の留意点
 4 復職支援,一般就労支援
  1 中途障害者の復職支援
  2 産業医学・保健との連携
  3 両立支援と両立支援コーディネーター
 5 就労支援(訓練等給付)
  1 概要
  2 利用までの流れ
  3 就労移行支援事業
  4 就労継続支援A型事業
  5 就労継続支援B型事業
  6 就労定着支援事業
 6 障害者の職場適応
  1 概要
  2 障害者の適正配置
  3 障害管理
  4 健康管理
 7 自動車運転再開の手順
  1 自動車運転と「社会での活動」
  2 自動車運転再開の手順
  3 運転再開に際して
  4 復職・就労に際して
  5 運転再開のための訓練

III.障害者とスポーツ
 1 歴史と意義
  1 障害者のスポーツ,障がい者スポーツ組織の歴史
  2 障害者におけるスポーツの意義
 2 競技スポーツ
  1 概要
  2 パラリンピックで行われる主な競技
 3 生涯スポーツ
  1 生涯スポーツとは
  2 障害者と生涯スポーツ
  3 障害者の生涯スポーツ定着へ向けて
 4 医学的管理
  1 合併症
  2 クラス分け
  3 ドーピング

IV.疾患・障害別アプローチのポイント
 1 脳血管障害
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 関連諸制度の活用のポイント
  3 就学・就労の支援のポイント
  4 症例
 2 外傷性脳損傷(高次脳機能障害)
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 就学・就労の支援のポイント
 3 脊髄損傷
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 就学・就労の支援のポイント
  3 スポーツ活動の支援のポイント
 4 切断
  1 「社会での活動」と関連した切断の特性,義肢の特徴
  2 関連諸制度の活用のポイント
  3 就学・就労の支援のポイント
  4 スポーツ活動の支援のポイント
 5 脳性麻痺
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 就学・就労の支援のポイント
  3 スポーツ活動の支援のポイント
 6 神経・筋疾患
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 就学・就労の支援のポイント
  3 スポーツ活動の支援のポイント
 7 循環器疾患
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 就学・就労の支援のポイント
 8 がん
  1 「社会での活動」と関連した疾患・障害特性
  2 就学・就労の支援のポイント
 社会活動支援のためのリハビリテーション医学・医療便覧
  1 用語解説
  2 リハビリテーション診療における評価法

索引

コラム
 ノーマライゼーション
 インクルーシブ・インクルージョン(包摂・共生・寛容)
 ユニバーサルデザイン
 両立支援コーディネーター
 介助犬
 がんサバイバー

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