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医療福祉総合ガイドブック 2023年度版

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医療福祉サービスを利用者の生活場面に沿って解説したガイドブックの2023年度版。最新情報のフォロー、解説の見直しによりさらに理解しやすい内容に! 医療保険、生活保護、年金保険、介護保険、障害者総合支援法、子どものいる家庭への支援、自然災害に対する支援等、全国共通で利用頻度の高い制度から地域によって異なるサービスまで幅広く網羅、コロナ禍で利用できるサービスも解説! 医療福祉関係者必携の1冊。

編集 NPO法人 日本医療ソーシャルワーク研究会
発行 2023年04月判型:A4頁:328
ISBN 978-4-260-05243-6
定価 3,630円 (本体3,300円+税)
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はじめに

本書の紹介
 本書は医療ソーシャルワーカーの実践から生まれました。
 筆者ら医療ソーシャルワーカーは,日々の患者さんや家族からの相談で「それは,私の管轄外です」とたらい回しをすることなく,保健,医療,福祉制度全般にわたって幅広く収集した情報を,よりよい問題解決のために活用します。制度改革が猛烈なスピードで実施される時代にあって,個人の努力だけで情報を収集することは不可能であると思われ,研究会をスタートさせました。そして,その情報の集積を出版へと踏み出すきっかけとなったのは,研究会のメンバーである民生委員の「こんな知識が私にあれば,あの人にもこの人にも,もっと力になってあげられたのに」という言葉でした。社会資源が困った人の手に届かない不幸を思い知った場面です。
 執筆者一覧にあるように,幅広い分野のソーシャルワーカーたちが,本書の出版を社会活動(ソーシャルアクション)と位置づけ,創刊以来,20余年にわたりネットワークを重ねることにより年鑑本として発行を継続できています。

本書の制作過程
 本書を貫いているのは,あくまで「利用者主体」という点です。「本書の工夫」でも記述していますが,役所からの説明ではなく,利用者の立場から執筆しています。例えば「~してもらう」とは恩恵的視点の言葉ではないか,利用者が権利として請求する意味を表現する言葉は何かなど議論してきました。
 また,制度改定の際には,その改定がくらしにどのような影響をもたらすのか,相談現場の実態から改善なのか改悪なのか,考えを「column」「ミニ知識」でアピールしています。

本書の構成
 人は生まれて死に至るまで様々なイベントに遭遇します。必要な社会保障制度もその都度変わります。まず,表紙裏でライフステージごとの社会保障を示しました。
 I章ではこのガイドブックの屋台骨を示すために,社会保障が私たちのくらしにどのようにかかわり,権利として保障されるか,あり方を述べています。制度活用の際の視点として大切だと考えるからです。
 II章以降は分野ごとに最新情報をまとめています。また,高齢者,障害者(児),児童などの権利擁護,虐待,DVに関しても記述しています。

今年度版で「物語」を新設
 人の生活課題は世帯全体に及びます。例えば「がんと診断された」「治療はどこで? 費用は? 介護者は? 介護者の就労は? 後遺症は? 子どもたちへの配慮は? 一家の生計は?」と課題は複合的に現れます。一人の人,家族の生活課題にパズルを埋めていくように,個々の制度活用を図っていく必要があります。「物語」では各制度を組み合わせるプロセスをイメージして表しました。

願い
 本書の出版は,1つの運動だと思っています。日本の社会福祉・医療制度を,国民を支える制度として活かしていくための忍耐強い運動だと思っています。地域によって,制度の質も量も異なる場合があります。本書が,各地域において「おらが地域」の医療福祉制度の比較,点検のためのウォッチングガイドブックとなり,権利に基づく提言の根拠のツールにしていただければと願っています。

本書の工夫
 本書では,より読みやすく,利用しやすいように以下の点に留意しています。

本書の編集は,「もし,自分が利用するならば……」と自問しながら,進めています。
1)  法律や役所から示されている説明文を載せるのではなく,すべての解説を利用者にわかりやすく言い換えました。
2)  制度をひとことで説明する見出しをつけました。
3)  「内容」「利用できる人」「利用者負担」「利用の方法」「コメント」など見出しをつけて,各項目はできる限り箇条書きで表記しました。
4)  医療ソーシャルワーカーが相談に用いる図,表,イラストをふんだんに使いました。
5)  医療ソーシャルワーカーの視点から全体を構成して,「物語」「column」「ミニ知識」などを通じて医療・福祉を総合的に補足しています。


 現場で実践しながら,本書の出版を継続させるため長きにわたり情報を収集し続け,わかりやすく伝えるために創意工夫しながら執筆に携わっているソーシャルワーカーの仲間たちの存在を心強く思います。そして,本書の発行に向け,私たち執筆者とともに編集制作作業を続けてくださっている,医学書院の吉田拓也さん,加藤寛之さんに深謝いたします。
 執筆者らの心の底に流れる「利用者のために意を尽くそう」という思いをくみ取っていただければ大きな喜びです。

 なお,本書編集の「NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会」では,本書の印税を医療福祉の広報,普及活動や医療ソーシャルワーカーの研修に役立てておりますことをご報告しておきます。

 2023年3月
 執筆者一同


  • 本書は2023年2月末日までに把握できた情報をもとに構成しております。本書の発行後にも法律の改正や制度の変更が行われる場合があるため,あらかじめご了承ください。

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I くらしと社会保障
 くらしと社会保障
  ① 権利(社会権)としての社会保障
  ② 社会情勢と社会保障
  ③ 社会保障制度の概要
  ④ 社会保険と民間保険
  ⑤ 社会保障と新型コロナウイルス感染症
  ⑥ 拡大・深刻化する生活問題
 地域包括ケアシステムと地域共生社会の実現
  ① 「地域共生社会」の実現 ~「地域包括ケア」概念を含む包括的な支援体制
   A 生活保障の機能低下 ~「地域共生社会の実現」の背景
   B 「地域生活課題」の位置づけと「地域づくり」 ~市町村と地域住民に求められる役割
   C 市町村の包括的支援体制の構築 ~「重層的支援体制」
  ② 社会保障の後退,地域が肩代わりしないために
  ③ 社会保障の課題と医療福祉

II 医療サービス
 医療提供のしくみ──適切な医療を受けるために
  ① 医療機関の構成
   A 医療法による区分
   B 医療対策・医療関連各法等による分類(拠点病院等)
  ② 病棟・病床の種類
   A 病棟・病床の機能・特徴(診療報酬上の病棟・病床区分)
  ③ 在宅生活を支える地域資源
  ④ 精神科における医療サービス
   A 精神科の相談,受診
   B 入院形態
   C 退院請求・処遇改善請求
   D 病棟・病床の機能
   E 退院に向けて
   F 地域生活
 医療に関する諸制度
  ① 医療保険制度や諸制度
  ② 医療費自己負担を軽くするために
   A 高額療養費制度
   B 医療費の軽減制度
   C 自治体によって異なる医療費補助
   D 被害者救済医療
   E 税制上の軽減制度

III 生活(費)としごと
 生活と生活費
  ① 公的扶助
  ② 生活困窮者自立支援制度
  ③ 住居確保困難者の支援
  ④ 刑余者への支援
  ⑤ さまざまな相談支援の窓口
  ⑥ 資金貸付制度
  ⑦ 年金保険制度
   A 国民年金(老齢基礎年金)
   B 厚生年金(老齢厚生年金)
   C 障害年金
   D さまざまな年金
  ⑧ 公共料金等の減免・割引
 しごと
  ① 最低賃金制度
  ② 雇用保険制度
  ③ 労働者災害補償保険制度
  ④ 就職支援
  ⑤ 労働法等

IV 高齢者サービス
 高齢者サービスのガイド
  ① 介護保険のしくみと手続き
  ② 相談するところ
 高齢者サービスの実際
  ① 介護保険サービスの費用
  ② サービス提供事業所
 住まい
 暮らすところで利用するサービス
 出向いて利用するサービス
 介護しながら働く人のために
 税制上の軽減制度
 高齢者の権利擁護

V 障害者・障害児サービス
 障害者・障害児サービスのガイド
  ① 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
  ② 手帳で利用できる制度
 障害者・障害児サービスの実際
  ① 相談するところ
  ② サービスのしくみ
  ③ サービス・事業の種類
   A 自立支援給付
   B 障害児に対するサービス
   C 地域生活支援事業
   D 地域生活支援拠点等事業
  ④ 障害者・障害児の費用負担
   A 障害者の費用負担
   B 障害児の費用負担
   C 費用負担の軽減措置
  ⑤ 障害福祉サービスと介護保険
 住まい
  ① 共同生活するところ
  ② 居住サポート
  ③ 公営住宅への入居
  ④ 住宅の改造
 暮らすところで利用するサービス
  ① 介護サービス
  ② 暮らしを豊かにする用具
  ③ 活動支援のサービス
 外出するときに利用するサービス
  ① 外出支援サービス
  ② のりもの
  ③ 自動車に関する制度
 難病患者への支援
 しごと
  障害者雇用
 子どもが利用するサービス
  ① 障害児通所支援
  ② 障害児入所支援
 手当
 自助グループ(セルフヘルプグループ)
 障害者の権利擁護

VI 子ども・家庭のために
 子ども・家庭のために
  相談するところ
 医療費助成制度
 手当
 住まい
 暮らすところで利用するサービス
  ① 妊娠・出産後の支援
  ② 子育てサポート
  ③ ひとり親家庭支援
   A 子育て・生活支援
   B 経済支援
   C しごと
  ④ 就学のための支援
 育児をしながら働くために利用できる制度
 子どもの権利擁護
 配偶者などからの暴力(DV)への対応と支援

VII 自然災害等にあった人のために
 自然災害等にあった人のために
  ① 大規模自然災害等の保障
  ② 医療サービス
  ③ 生活と住まい・しごと
   A 生活
   B 住まい
   C しごと
  ④ 高齢者サービス
  ⑤ 母子・父子(ひとり親),乳幼児,児童のために
  ⑥ その他の支援
 原子力災害にあった人のために
  ① 医療サービス
  ② 住まい
  ③ その他の支援

資料編
索引

column
 心不全とともに自分らしく生きる
 ご存知でしょうか? 脳卒中相談窓口
 高次脳機能障害の理解とサポート体制の充実を
 変われる? 日本の精神科入院医療
 AYA世代のがん患者の妊孕性(にんようせい)温存療法に関する治療費の助成,在宅療養生活支援事業について
 資力(資産)があっても生活保護が可能(生活保護法第63条)
 大学等への進学支援
 現在使用されている健康保険証が廃止!?
 職場でのパワーハラスメントに気を付けよう!
 デジタル給与支払いの運用が始まる!
 地域,収入格差をあらためて考える
 高齢者の運転免許への取り組み
 障害福祉サービス受給者証にこんな活用方法が!?
 困難女性支援法が制定されました
 なぜ逃げないのか? 被害者のおかれている状況

ミニ知識
 医療福祉にかかわる主な相談窓口
 診療契約
 包括払いと出来高払い
 オンライン診療
 メンタルヘルスと相談支援の窓口
 労災保険のメリット制
 犯罪被害者の支援
 扶養援助
 生活保護の相談・開始・適用に関する厚生労働省通知
 生活保護手帳と別冊問答集
 民生委員
 不服申立て(審査請求)
 生活保護の内容で知っておきたいこと
 食糧支援
 保護司
 「初診日」と「初診日を証明する書類」に注意してください
 障害認定日以降に症状が重くなった場合にも請求できます
 労働条件通知書の様式
 自宅以外の住まいを考えるとき,こんなことを聞かれます
 介護者のつどい
 障害者控除対象認定
 障害支援区分認定調査時のポイント
 アルコール依存症の人がたどるプロセス
 円ブリオ基金
 特別児童扶養手当等の給付(生活保護受給家庭の場合)
 産休・育休中の保険料の免除について
 配偶者暴力防止法の改正および関連通知

物語
 突然の発症から生活が一変。
 制度を活用し新たな生活を
 「どこにも行かない」と言う母
 住み慣れた地域で! がんばる1人暮らし
 医療的ケア児Nちゃんへの医療ソーシャルワーク

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