実践 マタニティ診断 第5版
マタニティ診断を深く理解し実践できるようになるための書
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本書は助産診断とは何か、看護診断や医学診断とどのように関係するのかを概説したうえで、診断名や定義・診断指標のみならず、どのように妊産褥婦・新生児をとらえ診断しケアにつなげていくのかを示している。また、各章の最後には具体が理解できるよう事例を設けている。このたび『マタニティ診断ガイドブック』の改訂に合わせて本書も刷新。ガイドブックとともにご利用いただくことで、マタニティ診断の理解を促し、実践ができるようになる。
編集 | 日本助産診断実践学会 |
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発行 | 2021年04月判型:B5頁:288 |
ISBN | 978-4-260-04583-4 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
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序文
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第5版 序
今回,『マタニティ診断ガイドブック』の大幅改訂に伴い,本書も改訂することにいたしました。この2つの書籍の編集をこれまで務めてきた日本助産診断・実践研究会が発展的に解消され,新たに設立された日本助産診断実践学会が編集を引き継ぎました。今回,学会編集ということでもあり,根本的に大きく改訂をしました。その要点は3つあります。
1つ目は,産後1か月健診から4か月までを産後期とし,その診断名を追加したことです。母親の産後うつや子どもの虐待などが問題となっている昨今,母児が家庭に帰ってからのケアがいかに必要であるかが議論されており,助産師がこの産後期に母児の状態をしっかり診断してケアすることが求められています。そのため,産後期の診断名を開発しました。
2つ目は,経過診断の診断類型・診断名を見直したことです。具体的には,妊娠期と産褥期で母体の状態の類型をまとめて整理をしたことと,分娩期で骨産道の状態を含めた分娩3要素を明確に診断できるようにしたことです。
そして,3つ目は,妊娠期・産褥期の健康生活診断の診断名・診断指標を科学的根拠に基づいて整理したことです。
「ウエルネス型看護診断」としてのマタニティ診断の特徴は前版を踏襲しています。母性看護・助産領域の看護は対象者の健康の保持増進が狙いであり,よい状態や適切な状態を診断し,さらに強みを伸ばしていくケアを行うことです。その際の診断名はウエルネス型であることは母性看護・助産領域では共通した認識です。一方,昨今の周産期領域ではハイリスク妊産婦が増加しており,それに対応する診断名として要経過観察や要精査があります。これらの診断では,具体的な状況を診断の根拠として示し,リスク型や問題焦点型の診断名につなげます。
本書では,診断名の付け方,診断名から助産ケアの立案過程をわかりやすく例示しながら解説しています。また,今回の改訂では助産診断からみた臨床推論について追記しました。臨床推論をあたかも新しいことのようにとらえがちですが,診断という言葉を使用する前から,助産計画を立案する過程では予測としての臨床推論は必要でした。助産師にとって妊娠経過や分娩経過を診断する際には今後の予測が不可欠だからです。かつての助産計画を論じた書籍にも,「分娩予測」という言葉で,現状を分析して異常を予測する思考過程は記述されています。助産師がこれまで当然のように行ってきたことではありますが,それをあえて言語化する必要性があると判断し,今日認識されてきた臨床推論という思考過程の解説を加えました
本書が初心者である学生はもとより,臨床現場での事例のリフレクションなどにも活用いただけることを願っています。
2021年3月
執筆者代表
日本助産診断実践学会理事長 齋藤益子
目次
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第1章 マタニティ診断概論
I マタニティ診断の理解のために
1.マタニティ診断とは
1)マタニティサイクル
2)看護診断のタイプとマタニティ診断
2.看護診断と助産診断
1)診断
2)看護診断
3)助産診断
4)産科学的診断とマタニティ診断
5)医学診断と看護診断における共通診断と共同診断の違い
II マタニティ診断のプロセス
1.看護過程と助産過程(マタニティ診断過程)
2.マタニティ診断の診断・実践過程
1)課題・問題の把握(アセスメント)
2)診断名決定までのプロセス
3.共同診断について
4.共通診断における臨床推論の活用
III マタニティ診断の診断類型
1.看護診断分類におけるマタニティ診断の位置づけ
2.診断類型開発の経緯
3.マタニティ診断の分類(診断類型)
1)経過診断の診断類型
2)健康生活診断の診断類型
IV マタニティ診断の診断名
1.看護診断の構成要素
2.診断名とその表現
3.診断指標
V マタニティ診断とケアの実践・評価
1.診断とケア
2.実践評価
VI 今後の課題と展望
1.課題
2.展望
第2章 妊娠期のマタニティ診断
I 妊娠期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 妊娠期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 妊娠の確定
類型2 分娩予定日・妊娠時期
類型3 母体の状態
類型4 胎児の状態
類型5 胎児付属物の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 出産育児行動
III 事例にみる妊娠期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
・順調な経過をたどっている初妊婦(妊娠20週0日)のマタニティ診断とケア計画
・要経過観察・要支援と診断した初妊婦(妊娠34週0日)のマタニティ診断とケア計画
第3章 分娩期のマタニティ診断
I 分娩期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 分娩期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 分娩時期
類型2 分娩開始
類型3 分娩経過
類型4 分娩3要素
類型5 分娩機転(回旋)
類型6 母体の状態
類型7 胎児の状態
類型8 分娩予測
類型9 分娩直後の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 出産育児行動
III 事例にみる分娩期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
・分娩開始4時間後のマタニティ診断とケア計画(正常な経過時)
・陣痛が弱くなった時点のマタニティ診断とケア計画
・陣痛再来から分娩終了までの状態と分娩終了直後のマタニティ診断とケア計画
第4章 産褥期のマタニティ診断
I 産褥期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 産褥期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 産褥日数
類型2 母体の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 基本的生活行動
類型2 精神・心理的生活行動
類型3 社会的生活行動
類型4 出産育児行動
III 事例にみる産褥期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
・順調な経過をたどっている褥婦(産褥3日目)のマタニティ診断とケア計画
・要支援と診断した産褥期(産後2週間)のマタニティ診断とケア計画
第5章 新生児期のマタニティ診断
I 新生児期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 新生児期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 日齢
類型2 出生直後の状態
類型3 早期新生児の状態
類型4 新生児の経過
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 養護
類型2 環境
III 事例にみる新生児期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
・良好な経過をたどっている新生児の出生直後のマタニティ診断とケア計画
・乳頭吸着がうまくいかず要支援の診断となった新生児(日齢2日)のマタニティ診断とケア計画
・生理的変化で要経過観察(黄疸)となった新生児(日齢3日)のマタニティ診断とケア計画
第6章 産後期のマタニティ診断
I 産後期のマタニティ診断の特徴と着目点
II 産後期の診断類型と診断名のつけ方
1.診断に必要な情報
1)情報
2)情報源
3)経過診断に必要な情報
4)健康生活診断に必要な情報
2.経過診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 産後月数
類型2 母体の状態
類型3 児の月齢
類型4 児の状態
3.健康生活診断の診断類型と診断名のつけ方
類型1 精神・心理的生活行動
類型2 社会的生活行動
類型3 出産育児行動
III 事例にみる産後期のマタニティ診断の実際とケア計画
1.経過診断におけるケア計画
2.健康生活診断におけるケア計画
・要支援と診断した産後期(産後2か月)のマタニティ診断とケア計画
索引