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看護教員ハンドブック 第2版

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授業や実習指導、研究において、看護教員に最低限必要となる情報・知識・技法を、コンパクトで簡潔な記述スタイルでまとめたハンドブック。今版では、2022年度施行の看護教育新カリキュラムに対応して改訂。第1章では最新の法令などを反映。第2~4章では、教員の各業務で使える、より実践的な内容を加筆した。第5章では、指導の際に留意しなければならないパワーハラスメントについても触れている。
編集 古橋 洋子
発行 2020年09月判型:A5頁:160
ISBN 978-4-260-04304-5
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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  • 目次

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第2版のまえがき

 人工知能(AI)やビッグデータと呼ばれる革新的な技術が社会構造そのものを変える時代を迎えることから,初等教育の学習指導要領が大きく変わった.プログラミングや英語教育が必須となり,順次中学・高校とカリキュラムが変化し,その教育を受けた発想豊かな学生が入学してくる時代がすぐそこまで来ている.看護師を目指す学生が,我々がこれまで経験したことがなく予想もつかないほど多様化した教育を受けて入学してくる時代を迎える.
 一方,近年の看護教育は,医療の高度化に伴い社会の情勢に合わせて複雑に発展し,看護師に求められる能力や技術・技能が多岐にわたって発展してきている.それに合わせ総合大学の3校に1校が看護学部を新設し,看護教員の需要が増加し教員の質充実が必須の課題として指摘されている.
 そのため,看護教員に求められる基本をしっかり自覚し学生指導にあたる必要がある.その基本をこのハンドブックを活用して学習し,現実の教育に生かしながら,時代の先を見据えて取り組んで欲しい.
 看護教員になるために,厚生労働省管轄の看護専門学校(専修学校)では都道府県で行われている専任教員養成課程講習会を受講することが条件になっている.また,文部科学省管轄の短期大学・大学では学士課程を卒業後,修士・博士を取得し,研究業績を積んだうえで,各大学の公募で就職することが多い.その後は,所属大学で教育全般についてオリエンテーションを受けた後,配属先の教授が指導を行うこととなる.勤務先が専門学校であるか,大学であるかによって,新任時期の教員教育には差異があるのが現状である.
 本書は,教員業務の流れに沿って各章を構成し,特に新任教員が知っておきたい基本的な知識を整理している.手軽に持ち運べ,いつでもさっと調べられることを意識し作成したため,簡潔な記載にとどめている.より深く学びたい方に向けて,それぞれの記述の根拠となる法令や指針,理論を多く掲載するように努めた.また,適宜コラムを配置し,各章に関連した事項についても押さえられるようにした.
 どのような要件・背景であったとしても,新任教員は入職後すぐに一人前の教員としての実践が求められる.本書をおおいに活用し,日々の業務につなげていただけることを期待している.この本の作成にあたって,医学書院看護出版部の材津遼さん・近江友香さん・北原拓也さんには大変お世話になった.ここに感謝の意を記したい.

 2020年8月
 古橋洋子

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第1章 教員の組織と役割
 1.教員の組織と役割
 2.大学における教員組織と役割
  • 大学の目的
  • 教員組織と役割
  • 教員になるための要件
  • 教員組織の編制
  • 大学教員の3つの使命
  • 大学の機能遂行のための組織運営
  • 助教の役割と心得
  • 助手の役割と心得
 3.専修学校(専門学校)における教員組織と役割
  • 専修学校の目的
  • 教員組織と役割
  • 教員になるための要件
  • 専任教員の役割
 4.資格試験
  • 看護師国家試験(「保健師助産師看護師法」第21条)
  • 准看護師試験(「保健師助産師看護師法」第22条)

第2章 カリキュラムから授業の実施まで
 1.カリキュラムとは
 2.看護師教育におけるカリキュラム
 3.カリキュラムの立案
 4.カリキュラムマップ
 5.カリキュラムの要素
  • 教育目標
  • 学習方略
  • 評価
 6.教育目標の分類
 7.教育目標の記述方法
  • 原則
  • 一般目標(GIO)の記述
  • 行動目標(SBO)の記述
  • 教育目標のもつべき性格
 8.シラバス(授業計画書)
  • 役割
  • 基本設計とフォーマット
 9.授業設計
  • どのようなときに学生は学ぶか
  • 授業設計の意義
  • 授業までの流れ
  • 授業案の作成
 10.学習方略
  • 学習方略の種類
  • 教育資源
 11.授業(講義)の展開
  • 導入
  • 展開
  • まとめ
 12.テスト(客観試験)
  • テストの利点と欠点
  • 問題作成の流れ
 13.成績評価
  • 評価の種類
  • 評価の方法
  • 評価の基準
  • 評価結果の通知・報告

第3章 看護学実習を指導するための基礎知識
 1.実習の目的・目標の確認
  • 所属する大学や専修学校の実習の目的・目標の確認
  • 看護学実習構成の確認
  • 実習科目の目的・目標の確認
 2.担当学生の情報収集
 3.実習施設との打ち合わせ
 4.実習施設の把握
 5.受け持ち対象者への協力依頼
  • 学生の受け持ち対象者・家族への依頼
  • 学生が受け持ち以外の対象者に看護援助を行う場合
 6.受け持ち対象者の情報収集
 7.実習指導案の作成
  • 実習の位置づけ
  • 実習の考察
  • 週案
  • 日案
  • 評価計画
 8.オリエンテーション
  • 実習科目のオリエンテーション
  • 実習施設別のオリエンテーション
  • 実習グループのオリエンテーション
 9.実習指導
  • 実習状況の確認と把握
  • 指導方法
  • 看護過程の展開と指導のポイント
 10.実習評価
 11.診療情報・実習記録の取り扱いについて
  • 診療情報について
  • 実習記録について
 12.臨地実習指導者の実践
  • 学生を受け入れる準備
  • 受け持ち対象者の選定と協力依頼
  • オリエンテーション
  • 実習指導
  • 評価
 13.事故発生時の対応および報告手続き
  • 主な事故の種類と事故発生時の応急処置の流れ
  • 報告の流れ
  • 事故報告書の作成・提出
  • 事故負担への対応
 14.大学と実習施設との関係

第4章 看護教員にとっての研究
 1.看護教員としての自己研鑽
  • 自己研鑽の必要性
  • 自己研鑽の方法
 2.看護研究とは
  • 看護研究の意義および必要性
  • 研究のステップ
 3.看護研究における倫理
  • 看護倫理とは
  • 倫理的配慮とは
 4.看護教員としての研究実施上の留意点
  • 学生を研究対象とした場合
  • 患者および一般の人々を研究対象とした場合
  • 利益相反(COI:conflict of interest)とは
 5.学生への研究指導上の留意点

第5章 授業に使えるコミュニケーションの技法
 1.なぜ,コミュニケーションの技法が大切なのか
 2.コミュニケーションの技法
  • 初対面で人の心をつかむ方法
  • 常にアイコンタクト
  • 反応を見ながら対応する
  • 会話のきっかけになる話題
  • 場の雰囲気を読む
 3.講義を魅力的にするための工夫
 4.話し方の工夫
  • 話す速度
  • 声と間のとり方
  • 抑揚と強調
  • そのほかのテクニック
 5.道具(視聴覚教材など)を上手く使う
  • 黒板・ホワイトボード
  • PowerPoint・スライド
 6.学生を指導するうえでのポイント
  • 指導技術の多くは集中化の技術
  • 学生の意欲を引き出す指導のための「あいうえお」
  • 学生自身による目標の確認
  • 望ましいフィードバック
 7.臨地実習指導の工夫
  • 教員の指導パターン
  • 実習の進度に合わせた指導
  • 学び方の癖に合わせて指導パターンを選択する
 8.グループワーク(小集団討議法)
  • グループ・ダイナミックス(group dynamics)
  • グループワークの手法
  • ブレイン・ストーミング
  • KJ法
 9.カンファレンス(conference)の運営の仕方
  • カンファレンスのコツ
  • 会議録の作成方法
 10.プレゼンテーションのコツ
 11.コメント力を身につけるためのコツ
 12.質問力を身につけるためのコツ
 13.さまざまなクレームとその対応
  • クレームに発展する可能性が高いケースとその対応
  • 電話によるクレームとその対応
  • 保護者からのクレームへの対応
  • 職場のパワーハラスメント(power harassment)
 14.教員が身につけておきたいビジネスマナー
  • 実習施設への訪問時など,初対面での挨拶における注意事項
  • 伝言メモの書き方
  • 依頼文書(公文書)の書き方
  • E-mailの書き方

巻末資料
 資料1 学校教育法(抜粋)
 資料2 大学設置基準(抜粋)
 資料3 専修学校設置基準(抜粋)
 資料4 保健師助産師看護師法(抜粋)
 資料5 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       第5 教員に関する事項(抜粋)
 資料6 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       別表3 看護師教育の基本的考え方,留意点等(改正案)
 資料7 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       別表3─2 看護師教育の基本的考え方,留意点等
       〔2年課程,2年課程(定時制),2年課程(通信制)〕(改正案)
 資料8 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       別表4 准看護師教育の基本的考え方,留意点等(改正案)
 資料9 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       別表9 機械器具,模型及び図書(看護師養成所)(改正案)
 資料10 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       別表10 機械器具,模型及び図書(准看護師養成所)(改正案)
 資料11 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
       別表13─2 看護師教育の技術項目と卒業時の到達度(改正案)
 資料12 看護教員に関する講習会の実施概要(抜粋)
 資料13 看護教員の教育実践力と講習会終了時の到達目標(抜粋)
 資料14 臨地実習において看護学生が行う基本的な看護技術の水準
 資料15 看護教員の向上すべき資質と求められる能力(抜粋)
 資料16 学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標(抜粋)
 資料17 看護者の倫理綱領(前文,条文)

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