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末梢病変を捉える
気管支鏡“枝読み”術 [DVD-ROM(Windows版)付] 第2版

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CT画像から気管支分岐を正確に捉え肺末梢病変に至るルートを同定する――長年の経験により磨かれたその手法を惜しみなく伝授する。第2版では特に水平枝に対する考え方をバージョンアップ。5つのStepで枝を読む力を着実に高めることができる。付属DVD-ROMには本書掲載症例のCT、気管支鏡映像を収載したほか、著者による枝読み術のレクチャー、「臨床画像と切除標本の対比」のビデオが加わった。

栗本 典昭 / 森田 克彦
発行 2021年08月判型:A4頁:232
ISBN 978-4-260-04690-9
定価 14,300円 (本体13,000円+税)

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  • 序文
  • 目次
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第2版 はじめに

 この“枝読み”術の初版を出版させていただき,約6年が経過した。この間多くの先生方に手に取って読んでいただいたことを感謝している。またこの6年の間に,国内・海外の先生方に枝読み術の説明を繰り返す経験から,水平枝に対する考え方・説明の仕方に改善を加えてきた。水平枝に対しては,最も中枢側の水平枝の長軸,視点の位置に注目し,水平枝から覗き込みながら枝読みをしており,この考え方をぜひ組み込みたいと考え,第2版の出版に至った。
 第2版では,第1部に追加したその3D気管支樹,第2部での水平枝において改訂した記述,第4部の臨床画像と切除標本の対比で追加した症例,DVDの内容などに改訂を加えた。ぜひこの第2版を臨床の場で活用していただきたい。
 また,枝読み術に基づき末梢病変の正確な位置から生検し,気管支鏡医自身が顕微鏡を覗き込み生検組織の病理組織所見を確認することを習慣にしていただきたい。いつもと違う画像所見を見たときに何が見えているのか病理に答えを求める習慣は,気管支鏡の手技を改善する意欲につながるであろう。この習慣を多くの気管支鏡医が継続することで,日本の気管支鏡検査が世界をリードし続けるものと確信している。
 第2版の刊行にあたり,初版に続き出版にご尽力いただいた医学書院の林裕氏に感謝申し上げる。

 2021年5月
 栗本 典昭

第2版 序

 2015年6月に初版が上梓されて約6年が経過した。チーム医療を実践し,他職種のスタッフと話す機会が増えた。“枝読み”が呼吸器内視鏡検査に携わる医師に必須であるだけでなく,仮想気管支鏡の作成をサポートしている診療放射線技師にも重要な技術であることを知った。当院の診療放射線技師によると仮想画像を作る際にCT画像から枝の有無をまず確認し,“枝読み図”を作成してからでないと仮想画像はうまく作れないという。でき上がったものはいかにも“デジタル画像”であるが,その作成過程はかなりの“アナログ作業”であったのである。
 ちょうど6年前に当院に移り,新しく取り入れたことは,①極細径気管支鏡で最大限末梢まであらかじめ観察し,枝の確認を行い,細径気管支鏡でEBUS-GS法により生検すること,②末梢気道の視界をよくするために少量の生食を注入すること,③摘出肺の気管支鏡観察と関与気管支にガイドワイヤーを挿入してホルマリン固定すること,の3つである。後日ガイドワイヤーに沿って切り出し,気管支が病変とどのような関係にあるのかを臨床画像と対比しながら考えるようになった。正確に枝を同定し,極細径気管支鏡で末梢気道,末梢病変のきれいな画像を撮ることがこれらの作業を可能にしていると思われる。より正確な枝読みを示し,病変近傍から病変内の気管支走行までの理解が可能になった症例が増えてきたことから改訂が必要と思われた。
 今回の改訂に際して多くのスタッフに感謝したいと思う。呼吸器系常勤医が1人という状況で,検査や手術の応援をしてくれた院内外の医師,特に教室の先輩でほとんどの手術をご指導いただいた内山哲史先生の応援がなかったら手術の継続は無理でした。多くの症例の診療に協力してくれた看護師,診療放射線技師,臨床工学技士,病理・微生物部門の臨床検査技師,クラーク,薬剤師の方々,細かい質問に丁寧に対応していただいた病理診断科部長の瀬戸口美保子先生,改訂出版に尽力された医学書院の林裕氏,すべての方に深謝いたします。

 2021年5月
 森田 克彦

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気管支外観図
本書の読み方・使い方
本書における枝読み記載上の注意点
付属DVD-ROMの使い方

第1部 気管支分岐を正確に読むために
 気管支の命名法
 CT撮影条件
 CT画像を用いた枝読みの方法
  基本的な準備
  枝読み術の5 Steps
 枝読み術での視点,視線について
  水平方向に走行する気管支からの分岐を考える
  各領域での“最も中枢側の水平枝”
  “最も中枢側にある水平枝”の長軸と視点の決め方
  まとめ 枝読み術の5 Steps
 3D気管支樹からの枝読み図作成トレーニング
  3D気管支樹と枝読み図の相互作成
  3D気管支樹の解釈での注意点
 肺末梢病変の内部構造解析――EBUS画像によるType分類について
 気管支分岐の形態――側枝(娘枝)について
 EBUS-GS法
  EBUS-GS法に用いる超音波プローブ(探触子)
  EBUS-GS法の概略図

第2部 気管支分岐の同定(枝読み)の実際
  第2部のページ構成について
 右上葉
 右中葉
 右S6
 右底区
 左上区
 左舌区
 左S6
 左底区

第3部 肺末梢病変に対するEBUS-GS法
 I.咽頭・喉頭麻酔
 II.ガイドシースの準備
 III.超音波観測装置の設定
 IV.気管支鏡の挿入
 V.ガイドシース/超音波プローブを末梢気管支へ誘導
 VI.EBUSの描出
 VII.プローブが病巣に入らない場合の解決法
 VIII.ガイドシースの留置
 IX.ガイドシースからの細胞・組織採取
 X.ガイドシースの抜去
 XI.合併症と対策

第4部 臨床画像と切除標本の対比
 摘出標本の伸展固定
 切り出し
 対比

文献
索引

Column
 気管支鏡検査上達のためのコツ
 気管支鏡手技の基本7か条
 気管支鏡検査で何ができるのか
 次のstepは何か
 手技の定型化の必要性
 病理組織所見に答えを求める

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気管支分岐を立体的に把握する秘術を惜しみなく伝授
書評者:森谷 浩史(大原綜合病院放射線科・副院長/画像診断センター長)

 栗本典昭先生に初めてお会いしたのは日本気管支学会(現在の日本呼吸器内視鏡学会)だったと思います。超音波を用いた気管支壁構造や縦隔リンパ節の研究内容を教えていただき,その緻密さに感銘を受けました。私がX線CTを使った仮想内視鏡の検討を行っていた頃です。あの時見せていただいた超音波画像に匹敵するような微細形態をCTでも描出できないかと今でも夢想しています。

 先日,栗本先生の『気管支鏡“枝読み”術』を拝読し,とても懐かしく感じました。私は,1982(昭和57)年から2年間,坪井栄孝先生が開発した坪井式末梢病巣擦過法を習得するために郡山市の坪井病院で研修を受けました。当時の研修方法は,複数枚の断層写真からトレーシングペーパーに気管支走行をトレースして,立体的なトレース像を作成することでした。情報が足りなければ気管支造影を行いました。そうやって分枝名を記載した詳細な気管支樹を作成した後に実手技を行っていました。「枝読み術」はこのトレース作業を気管支内に視点を置いて行うことに他なりません。トレース像が画像診断医にとって肺の立体的把握に役立ったように,「枝読み術」は呼吸器内視鏡医にとって気管支分岐の立体的把握に大いに役立つでしょう。

 近年,画像枚数の増加とコンピュータ技術の進歩を言い訳にして,自分の頭で立体構築するという基本をおろそかにしているように感じます。本書でも繰り返し述べられているように,コンピュータを使わずに紙と鉛筆で立体構築する訓練はとても貴重な経験であると思います。手作業を通して対象患者の気管支分岐を頭の中に構築できるのです。

 小学生の頃,「ミクロの決死圏」というSF映画がありました。医師たちがミクロ化して患者体内に入り,治療を行うというストーリーです。「枝読み術」は自分をミクロ化してCT画像の中に入り込む秘術です。このような秘術を惜しげもなく公表する栗本先生に敬意を表します。しかも,豊富な画像とDVD-ROMでとにかく平易に普及させたいという工夫が満載です。呼吸器内視鏡医はこの秘術を習得し,実践することで,自分の技術の向上をすぐに実感できるでしょう。画像診断医は気管支というキーワードで知識のブラッシュアップを行えるでしょう。放射線技師は診療医がどのような気管支画像を求めているかを知ることができるでしょう。現在のマルチスライスCTであればどこでも実践できますので,施設ごとに気管支描出に適したCT条件を工夫してみることも面白いと思います。

 

 

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