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呼吸器病レジデントマニュアル 第6版

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研修医・専攻医に必要な呼吸器疾患の基本的知識を網羅する好評書。今回は内容を全面的に見直し、診断指針・知見をアップデート、全項目に全体像をつかむ「ポイント」欄も新設、さらにページ数を3/4にスリム化し、情報の濃さはそのまま格段に読みやすくなりました。今版から文献情報をWeb掲載し、論文データベースへのアクセスも容易です。COVID-19も新設。研修医、呼吸器専門医をめざす若手内科医におススメです。

*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
監修 藤田 次郎
編集 石田 直 / 近藤 康博 / 喜舎場 朝雄
発行 2021年04月判型:B6変頁:520
ISBN 978-4-260-04592-6
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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第6版 序

 このたび医学書院から,「呼吸器病レジデントマニュアル 第6版」を出版する運びとなった.第5版が,2015年に出版されていることから,6年ぶりの改訂となる.
 私自身,このレジデントマニュアルには執筆者として長年かかわってきた.また第4版からは,3名の編集者(石原亮介先生,谷口博之先生,および私)の1人としてより深くかかわらせていただいている.また第5版は,公立陶生病院の谷口博之先生と2人で編集させていただいた.本書のルーツ,および本書のコンセプトは,京都大学名誉教授の泉 孝英先生と,群星沖縄臨床研修センターの宮城征四郎先生の「レジデントに役立つ実践マニュアルを」というお考えからスタートしている.私が琉球大学に勤務するようになったことから,宮城先生から引き継ぐ形で,また谷口先生は泉先生から引き継ぐ形で編集者としての役割を果たすことになったものと理解している.
 さて改訂本を出版するに当たり,まず新編集者として谷口先生の後を引き継ぐこととなった近藤康博先生と何度か電話でお話しした.近藤先生自身,本書に強い愛着をもっておられ,特に実践的な本にすることを目指しておられると感じた.さらに広い視点で執筆者の選定を進めるため,沖縄県立中部病院の喜舎場朝雄先生と,倉敷中央病院の石田 直先生に新たに編集者に加わっていただき,私は監修者に回ることとした.私および新編集者の4名で本書のコンセプトを再確認したうえで,執筆者を広く選定させていただいた.本書のコンセプトは,若き医師が,呼吸器疾患に関する基本的な知識の習得を可能とすることを目的としている.このため,実際にレジデントを指導している先生方に執筆をお願いした.
 さて第6版を企画する際に心掛けたことは,第5版からのスリム化であった.ポケット版のレジデントマニュアルであることから,ボリュームを減らしつつも呼吸器疾患全般における臨床的疑問を手軽に解決できるよう目次を工夫した.表紙についても言及したい.医学書院のレジデントマニュアルシリーズは,表紙のレイアウトに統一感をもたせている.ただし今回もその統一感を維持しつつ,第5版同様,琉球紅型の図柄を用いた.
 今回,第6版を無事出版できたのは,本書に長年かかわってこられた,医学書院中根冬貴さまのご尽力によることが大きかった.この場を借りて深謝したい.また本書が若い呼吸器科医,および多くの研修医にとって有用であり,かつ広く活用されることを心から願っている.

 令和3年4月
 監修 藤田次郎

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略語一覧

1 呼吸器疾患診断へのアプローチ
 A 問診と身体所見の取り方
  1 呼吸器疾患における問診と身体所見の取り方
  2 典型的な聴診所見
 B 呼吸器疾患と自覚症状
 C 呼吸器疾患診断に必要な検査
  1 X線検査
  2 動脈血液ガス分析
  3 喀痰検査
  4 胸腔穿刺・胸水検査
  5 気管支鏡検査
  6 胸腔鏡検査
  7 超音波検査
  8 呼吸機能検査
  9 血液化学検査
  10 MRI・血管造影・核医学検査
  11 呼吸器感染症の迅速診断法
  12 呼吸器腫瘍における腫瘍マーカー

2 呼吸器救急の実際
 A 主要な呼吸器救急疾患への対応
  1 大量喀血
  2 喘息発作
  3 COPDの増悪
  4 急性呼吸促迫症候群
  5 急性肺血栓塞栓症
  6 気胸
  7 溺水
  8 急性上気道閉塞
  9 胸部外傷・血胸
  10 高地肺水腫
 B 呼吸器救急での基本的治療
  1 初期酸素療法
  2 人工呼吸器の初期設定
  3 循環管理(カテコールアミンの使用法)
  4 気管支鏡を用いた治療
  5 胸腔ドレナージ

3 主な呼吸器疾患の診断と治療
 A 肺感染症
  1 かぜ症候群・上気道炎,インフルエンザ
  2 市中肺炎
  3 COVID-19
  4 院内肺炎(日和見肺炎を含む)
  5 HIV感染症に合併する肺病変
  6 肺結核
  7 肺非結核性抗酸菌症
  8 肺真菌症
  9 膿胸
  10 ワクチン
 B 気道疾患
  1 慢性咳嗽
  2 喘息
  3 喘息発作
  4 COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  5 COPDの急性増悪
  6 びまん性汎細気管支炎/気管支拡張症
  7 禁煙指導
 C 肺腫瘍
  1 肺癌
  2 癌の緩和ケア
  3 転移性肺腫瘍,癌性胸膜炎
  4 良性肺腫瘍(前癌病変・頻度の少ない悪性腫瘍・鑑別を要する病変を含む)
  5 縦隔腫瘍
 D 胸膜疾患
  1 胸膜炎
  2 悪性胸膜中皮腫
 E 肺血管疾患
  1 急性血栓塞栓性肺高血圧症
  2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
  3 肺動静脈瘻
  4 肺高血圧症(肺動脈性肺高血圧症,呼吸器疾患に伴う肺高血圧症など)
 F びまん性肺疾患
  1 特発性間質性肺炎(原因不明の間質性肺炎)
  2 好酸球増多性肺疾患
  3 サルコイドーシスとその他の肉芽腫性疾患
  4 薬剤性肺障害
  5 放射線による肺障害
  6 肺血管炎症候群
  7 膠原病関連肺疾患
  8 職業性・環境性肺疾患
  9 肺胞蛋白症
  10 リンパ脈管筋腫症
  11 喫煙関連間質性肺炎
  12 進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)
 G 睡眠呼吸障害

4 慢性呼吸不全の診断と治療へのアプローチ
  1 慢性呼吸不全の診断と治療
  2 肺高血圧症・右心不全への対応
  3 在宅酸素療法と在宅人工呼吸療法
  4 呼吸リハビリテーション

5 呼吸器疾患と社会とのかかわり
  1 地域福祉資源との提携
  2 呼吸器関連の申請書を作成するのに必要な資料

索引

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紅くなった定番マニュアル
書評者:徳田 安春(群星沖縄臨床研修センターセンター長)

 1988年。『呼吸器病レジデントマニュアル』初版が出た年はちょうど私は医学部を卒業した年だった。沖縄の研修病院で1年目の研修医として呼吸器内科をローテーションした私は,先輩研修医たちがこのマニュアルを持って診療に当たっているのをみて,私も早く知識をアップデートしたいと思い,医学書店に駆け込み購入した。迅速購入の理由はもう一つあった。その頃の私は,このマニュアルの初代編集者の宮城征四郎先生(現群星沖縄臨床研修センター名誉センター長)の教育回診でのケースプレゼンテーションと質疑応答の用意をする必要性もあったからだ。このマニュアルを見ながら準備していたおかげで宮城先生の教育回診に何とか対応できた。

 その後,呼吸器病を持つ患者さんのケアではこのマニュアルにとてもお世話になった。呼吸器内科病棟や集中治療室,救急,内科外来での診療ではもちろん,外科系診療科をローテートしている間でも,基礎疾患として呼吸器病を持つ患者さんは多かったからだ。尋ねるべき病歴,取るべき身体診察,見ておきたい検査項目,代表的な画像診断のポイント,代表的な処方の例など,このマニュアルを繰り返し参照することによって呼吸器病を持つ患者さんの標準的な診療の型が身についたのではないかと思う。

 2021年。第6版が世に出た。レジデントマニュアルシリーズの先駆的存在だ。現監修者の藤田次郎先生は沖縄の歴史と文化に造詣が深く,鮮やかな琉球紅型を表紙に採用されている。今回は沖縄の伝統的なアートを生かし紅いマニュアルとなった。世代を超えた定番マニュアル。内容はアップデートされており,各項目の冒頭には,最重要ポイントとして数個のセンテンスが置かれ,学習者をやさしく招いてくれる。もちろん,これまでの版での良い特徴も引き継がれている。コンテンツは基本的に読みやすい箇条書きスタイル。疾患各論では,ガイドラインや疾患定義の最新バージョンを提供。現場で役に立つ処方例は,最新エビデンスに基づいており,日本人に合った投与量で,かつ保険適応も考慮されている。図表も多くてわかりやすく,全体として読みやすい。

 新型コロナウイルスのパンデミックで呼吸器診療のニーズは高まった。また,マルチモビディティ時代の診療では,呼吸器病ケアは診療科を超えた基本的診療能力に組み込まれている。このマニュアルを,レジデントだけでなく,一般医家や全ての医療者にもお薦めしたい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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