経験から学ぶ看護師を育てる
看護リフレクション

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経験から学べる看護師を育てることは、人材育成に携わる看護師の共通課題。著者は、経験学習モデルを取り入れて、実践の振り返り(リフレクション)を通して気づきを促すことで、卓越した実践家としての看護師を育てる試みを長く行ってきた。看護師長をはじめとする看護管理者が、看護リフレクションを通じてスタッフの成長を支援するための方法論を示す。

東 めぐみ
発行 2021年03月判型:A5頁:220
ISBN 978-4-260-04172-0
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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まえがき

 本書は,雑誌『看護管理』の連載「ファシリテーターのための看護リフレクション――経験から学べる看護師を育てる」(2017年4月号〜2018年2月号)をもとに加筆と修正を加えてまとめたものです。
 Part 1とPart 2の2部構成であり,Part 1は「看護リフレクションを通して『経験から学ぶ』ことを支援するために」,Part 2では「看護リフレクションにおけるファシリテーターの役割と実践」について述べています。主に,看護の現場でリフレクションを推進するファシリテーターの皆さんに読んでいただきたいと考えています。

リフレクションへの変わらない思い
 看護師1人ひとりがリフレクションを行うためには,それを支援する看護管理者やファシリテーターの存在が必要である,という考えから上記の連載は始まり,本書につながりました。本書におけるファシリテーターとは,看護管理者や教育的立場にある皆さんのみならず,これまでリフレクションの大切さに気がついてこられた方,全てであると考えています。
 前述の連載中は,リフレクションやファシリテーションの事例だけでなく,リフレクションに関わる学問的な潮流を整理しつつお伝えしたいとの思いがありました。しかし,本書を読み直してみますと,学問的な潮流も概念も整理しきれなかったという思いが湧いてきます。教育学や経営学,そして看護学の専門家の方々から見ると,私はあまりに初心者で,ルサンチマンな内容として目に映ると思います。恥ずかしい思いでいっぱいなのですが,勇気を持って本著を皆さんに届けようと思っています。なぜなら,臨床家として長く臨床現場にいた私にとって,今も変わっていない核心ともいうべき思いが存在するからです。
 その核心の1つ目は,看護師が日々真摯に患者と向き合う中で時として沸き起こる,「私はどうしたらよかったのか」という問いを大切にしたいとの思いです。これまで,その問いの多くは,看護師の心の中にしまわれてきました。
 2つ目は,看護師が専門職として提供したケアが,患者にとってどういういう意味や価値があるのかが見えにくくなっていることが悔しいという思いです。
 3つ目に,現場で看護師同士がお互いから学ぶ機会があるにもかかわらず,その大切さがあまり意識されていないことがもったいないという思いです。
 そして4つ目に,看護の実践や経験から学ぶことへの支援方法が明確ではないことが残念だという思いです。看護管理者や教育的役割にある看護師にその重要性が認識されていないため,内省的支援が起こりにくいのです。
 これらの思いから,リフレクションを推進するファシリテーターの支援があれば,看護師が日々の実践を言語化しその意味や価値を考えることが促され,「私の実践はこれでよかったんだ」との思いにつながり,次の実践に向き合っていくことが可能になると考えました。私のこれまでの経験から,看護師がリフレクションを行うことで,新たな対話が生まれ,自己を成長に導く突破口になると信じているからです。

本書が目指すもの
 以上のことから,本書を通じて私が目指しているのは,実践現場での看護師の日常のやりとりの中にリフレクションとしての対話が生まれ,その対話を通して看護師が学び合うことです。
 業務のちょっとした合間にも,「患者のAさんがこう言っていて,私はこう返事をしたんだけれども,それについてどう思う?」「それって,Aさんにとってはこういうことではないかしら」「こういう考えもできるよね」「ナイチンゲールはこう言っているけど,それに近いのでは?」「じゃあ,次はこうしてみよう」というように,看護師の間で対話が行われることを期待しています。
 臨床現場では目に見える成果が優先されることも多く,看護師の置かれている状況は厳しいと感じています。だからこそ,よいか悪いか,AかBかではなく,仲間とともにリフレクションを行い,さまざまな見方を取り入れて,うまくいったこともそうではなかったことも学びにして成長を実感することが,看護の質の向上につながります。ぜひ,そのプロセスを共有してほしいと願っています。
 前著『看護リフレクション入門』(ライフサポート社,2009)を出版以降,全国の多くの臨床家の皆さんとの出会いがあり,共にリフレクションを行ってきました。本書にはその中で皆さんから提供していただいた事例も形を変えて掲載されています。この場を借りてお礼を申し上げます。
 最後になりましたが,私は,リフレクションの大切さに気が付き実践している多くの方に支えられてきました。本書も医学書院の編集者の小齋愛さんと伊藤恵さんの尽力によって上梓することができました。皆様に心より感謝の意を表します。

 東めぐみ

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まえがき

PART 1 看護リフレクションを通して「経験から学ぶ」ことを支援するために
 1.1 リフレクションとは何か
 1.2 実務経験を通じた専門家としての学びの特性
 1.3 リフレクティブな実践家とは何か
 1.4 リフレクションによって経験を知恵に結実させる
 1.5 リフレクションのスキルとしての「自己への気づき」
 1.6 看護リフレクションに必要な理論と枠組み

PART 2 看護リフレクションにおけるファシリテーターの役割と実践
 2.1 リフレクティブな実践家を育成するファシリテーターの役割
 2.2 看護リフレクションの構造①「6ステップ」によるリフレクションの支援
 2.3 看護リフレクションの構造②「10ステップ」による事例分析の支援
 2.4 看護リフレクションを用いた研修の計画と実施
 2.5 看護リフレクションに必要なスキル「ファシリテーション」
 2.6 生涯成長し続ける看護師を支えるリフレクション

あとがき
索引

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