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教科書では教えてくれない! 私の消化器内視鏡Tips
とっておきの“コツ”を伝授します

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消化器領域にかかわる医療関係者のためのWebサイト「gastropedia~ガストロペディア」で大好評連載中「教科書では教えてくれない! 私の内視鏡Tips」がついに書籍化されました! 実際の現場で活躍中の100名を超える新進気鋭の内視鏡医たちが「本当は教えたくなかった、とっておきのコツ―140個」を公開します! ぜひ本書の内容を日常診療に取り入れて、内視鏡レベルを1ランクアップさせてください!
編集 小野 敏嗣
発行 2018年11月判型:A5頁:164
ISBN 978-4-260-03642-9
定価 3,300円 (本体3,000円+税)

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    2023.11.30

  • 序文
  • 目次
  • 書評
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はじめに

“若手内視鏡医が読みたくなるような企画ないかな?”
 医学書院の医学雑誌編集室に勤める旧友O君からの相談を受けたのは2015年の夏のことでした.既にさまざまな精錬された雑誌や教科書がある中で,若手の興味を惹くような企画といわれても難しいように思いましたが,名だたる重鎮の先生方が確固たるエビデンスに基づいて纏められた教科書とは異なるスタイルで気楽に読める企画はできないものかとも考えました.電子書籍全盛時代の中,ネット配信を中心としたWebサイトを立ち上げるとのことでしたので,とりあえず某百科事典サイトにあやかって「gastropedia」と命名したのはよいのですが,肝心のコンテンツが思いつきません.O君と打合せを重ねる日々が続きましたが,そんなとき,その前年に終了したお昼の長寿番組のことを思い出しました.毎回登場するゲストが次回のゲストに直接電話で出演依頼して「いいとも!」といわせて半ば強引に繋げていくあのトーク番組です.結局,その番組のトークのユルさをそのまま持ち込むように,日常臨床におけるちょっとしたコツを紹介してもらってはどうだろうか,ということになりました.
 かくして始まった若手内視鏡医によるリレー企画「教科書では教えてくれない! 私の内視鏡Tips」は多くの先生方のご厚意に甘えながらなんとか継続することができまして,今回無事に書籍化の運びとなりました.
 全国津々浦々,実に総計89施設の先生方からいただいた玉稿はgastropedia未公開記事を含め140本にのぼり,そのいずれもが明日からの診療に生かせるものばかりです.もちろん,そのほとんどはエビデンスを伴うものではありませんが,これから検証されるかもしれないもの,検証は難しいかもしれないが皆さんが直感的に有効と感じるものなど,いわば「エビデンスのタネ」ともいえるものです.日々多忙な内視鏡臨床の中で生まれたこのタネの中には,3年後5年後に輝かしい「エビデンスの花」を咲かせてくれるものも含まれているかもしれません.そしてその花を育ててくれるのはこの本をお読みになられる若い先生方なのかもしれません.そんな夢想をせずにはいられないような一冊に仕上がりましたことを,本企画にご協力いただいた全国の先生方に改めて感謝いたします.

 2018年8月
 小野 敏嗣

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観察のTips Observation Tips
 No. 1 優しい内視鏡のための右手の使い方
 No. 2 “前回より楽だった”といわれる上部消化管内視鏡検査とは…
 No. 3 患者さんを「苦」ではなく「く」に 内視鏡で喉をより楽に通過させるには
 No. 4 鎮静スコアで快適で安心な内視鏡をしていますか?
 No. 5 “検査したの?”といわれる内視鏡鎮静法
 No. 6 上部内視鏡においてゲップを抑えるセリック手技
 No. 7 スコープが抜けるときは,おなかと左手首を使え!
 No. 8 「ぬるぬる」スコープを握っていませんか?
 No. 9 左右アングルを上手に使えていますか?
 No. 10 フードの上手な使い方
 No. 11 “病変が見えない…”でも,ちょっと工夫すればスッキリー!
 No. 12 クリアッシュ®をご存知ですか?
       レンズの汚れや水滴付着が劇的に改善!
 No. 13 拡大内視鏡検査時の意外な盲点 自分がESD術者という気持ちで!
 No. 14 拡大観察って難しい? スコープ固定法のちょっとしたコツ
 No. 15 NBI拡大観察時に大リーグボール養成ギプス?
 No. 16 拡大観察のコツ ちょっとした汚れに「送水ボタン」?
 No. 17 咽頭癌,頸部食道癌を見落とさないために
 No. 18 食道洗浄のポイント“右向いて! 入れて戻す!”
 No. 19 喉の違和感は逆流性食道炎?
 No. 20 食道・頭頸部癌のリスクはヨード色素内視鏡で評価を!
 No. 21 「染色ムラ」の少ない食道ルゴール撒布法
 No. 22 体位変換で大彎を観察する!
 No. 23 胃の観察は萎縮性胃炎の診断から
 No. 24 胃癌の境界診断や同定に迷ったら,L-メントール製剤や
       ペパーミントオイルを胃癌自体に撒いてみるべし!
 No. 25 馬場と猪木では育て方が違う 緊急内視鏡検査のお作法
 No. 26 黄色調の胃癌を探せ!
 No. 27 意外に忘れる白色光観察のポイント
 No. 28 白色光観察で大切なこと
 No. 29 通常観察,見落としなく観察できていますか?
 No. 30 通常観察,見落としなく観察できていますか? パート2
 No. 31 インジゴカルミンはなくならない 拡大内視鏡? その前に!
 No. 32 内視鏡観察は基本が大事 侮るなかれインジゴカルミン
 No. 33 シリンジ1本で胃全体にインジゴ撒布する方法
 No. 34 インジゴカルミンの前に酢酸を撒布してみよう
 No. 35 胃癌範囲診断で酢酸+インジゴカルミン撒布観察を行う場合には…
 No. 36 今日のEUSは画像が悪いなぁ~(T_T) そんなときはここをチェック!!
 No. 37 LCIで見えないものが見えてきます!
 No. 38 軟性鏡は釣竿と同じ 胃の拡大内視鏡観察 ベストポジションへの
       アプローチの極意
 No. 39 胃の拡大内視鏡のコツ
 No. 40 胃の拡大観察における浸水法はシリンジ2本がお勧め!!
 No. 41 NBI併用拡大内視鏡観察(浸水法)のフルズームのコツ
 No. 42 拡大観察困難症例のフルズームのコツ(充満法)
 No. 43 穴と溝の奇妙な関係 拡大内視鏡イメージ
 No. 44 十二指腸表面型腫瘍を見つけたら
 No. 45 5年に2回の大腸内視鏡検査 適正な大腸内視鏡検査頻度は?
 No. 46 前処置が不十分な下部消化管内視鏡施行時の工夫
 No. 47 大腸内視鏡検査 足を組んで検査していませんか?
 No. 48 ちょっと得する大腸内視鏡のjet活用法
 No. 49 無痛大腸内視鏡が「イタイ」検査にならないように
       屈曲部はあえてのプッシュも悪くない,全ては患者さんのために
 No. 50 大腸内視鏡挿入 いつもと違う…そんなときは
 No. 51 S状結腸でループを作らない大腸内視鏡挿入 浸水法による短縮法の実現
 No. 52 浸水法による大腸内視鏡挿入
 No. 53 横行結腸γ-loop解除方法の必須ポイント
 No. 54 大腸内視鏡挿入や治療における意外なワナ 腸間膜遺残症例に対する対応
 No. 55 大腸内視鏡の拡大内視鏡観察で役立つアングルロック
 No. 56 大腸拡大内視鏡,「押さえ棒?」があれば怖くない?!
 No. 57 「ねじれ対策」備えあれば憂いなし
 No. 58 SBE挿入時にはスライディングチューブにテンションを掛けよう
 No. 59 胆道狭窄,膵管狭窄をうまく突破するには乳頭との距離が大事!
 No. 60 超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)の肝は第3の手にあり!
 No. 61 EUS-FNA 腫瘍はこの部分を狙って刺せ!
 No. 62 EUS-FNAの穿刺ルートに血管があるときは「クランク法」を用いるべし!

診断のTips Diagnosis Tips
 No. 63 意外と身近で遭遇しているかもしれない「食道アカラシア」
 No. 64 食道アカラシアの内視鏡診断には,STショートフードの装着を!
 No. 65 深達度診断にはコツがある!
 No. 66 早期胃癌 深達度診断の基本中の基本
 No. 67 胃病変 生検するか悩むときの一手 MCDLを知っていますか?
 No. 68 “先生! この胃NET,ESDしていいですか?” 胃NET診療で
       知っておきたいこと
 No. 69 たかが生検,されど生検,生検を侮ることなかれ
 No. 70 内視鏡治療後の検体は転写シールみたいに楽チン固定
 No. 71 お金をあまりかけずに好きな場所できれいに標本写真を撮る方法
 No. 72 進行癌を見つけたら
 No. 73 微小胃癌に対する診療の問題点とコツ
 No. 74 胆管ブラシ細胞診のひと工夫

治療のTips Treatment Tips
 No. 75 局注はソフトクリームのイメージで
 No. 76 局注「命」
 No. 77 あえて腫瘍を貫く局注
 No. 78 ステロイド局注はナイフのwater jetで楽しく!
 No. 79 知らないと損する! 食道ESD後狭窄予防のコツ 狭窄とステロイドによる
       狭窄予防のメカニズムを細胞レベルで理解しよう!
 No. 80 グローブMサイズ以上限定!? two-fingers method
       “誰かスコープ持って!”といいたくなる方に
 No. 81 手が小さい人のためのアングル活用術
 No. 82 ESDでは,右手はスコープを持つべきか,デバイスを持つべきか?
 No. 83 左手の薬指に仕事をさせるべし!
 No. 84 ESDはペダルワークが重要!
 No. 85 飛べないペンギンでも…
 No. 86 イスに座って大腸ESDをしてみませんか?
 No. 87 胃ESD 近づきにくいときはおなかを押してみよう! 腹部圧迫近接法
 No. 88 内視鏡先端の動きをイメージできていますか?
 No. 89 病変とスコープの位置関係を意識していますか?
 No. 90 ESDなど内視鏡治療のための日常診療でできる簡便なトレーニング
 No. 91 ESDのスタートでつまずかないために プレカットは慎重に
 No. 92 きれいなマーキングで快適な食道ESDを!
 No. 93 大腸ESD時の周辺切開は局注の穴をマーキング代わりに
 No. 94 スピーディーな大腸ESDを目指して
 No. 95 先端先細りタイプの透明フードの装着がESDの難易度を下げる!?
 No. 96 ESD後出血の潰瘍底に付着した血餅をいかに剥がすか
 No. 97 大腸ESD初学者のための安全なカウンタートラクション
       リング糸を用いて
 No. 98 大腸ESD標本の新たな回収法「TED法」
 No. 99 病変を吸引回収できない! そんなときに助かるひと工夫
 No. 100 大腸EMRで病変の口側を残さないスネアリングのコツ
 No. 101 Tip-in EMR simply modified EMR 大型大腸腫瘍を一括摘除するための
       ひと工夫
 No. 102 私が行っている cold snare polypectomyを紹介します!
 No. 103 Cold polypectomyを行うときに拡大内視鏡を使っていますか?
 No. 104 お得なESTと砕石術 「くの字」にしてストレスフリーなESTを
 No. 105 “ESTでうまく切れない…” そんなときは乳頭の位置を再確認!
 No. 106 非乳頭部十二指腸腫瘍の内視鏡治療は大腸用スコープを使ってみませんか?
 No. 107 ガイドワイヤーは指の腹で回せ! 助手のスペシャリストを目指そう
 No. 108 バルーンカテーテルは180(one-eighty)methodで簡単に調節できる!
 No. 109 初めての超音波内視鏡下嚢胞ドレナージ(EUS-CD)はトラブル続き
 No. 110 スタートでつまずかない! プラスチックステント抜去の2ポイント
 No. 111 胆管マルチステンティングのコツ
 No. 112 憩室出血は憩室内部の観察が重要
 No. 113 憩室出血を現行犯で押さえたら,留置スネアで結紮しましょう!
 No. 114 “うまい!”といわれるクリップ止血術
 No. 115 大腸憩室出血の出血点に対するクリッピングのコツ
 No. 116 クリップ締め直し三段階法で成功率UPを
 No. 117 大きな創面のクリップ縫縮は,面作りが鍵
 No. 118 “ナイス!”な介助のために 止血クリップの向き
 No. 119 新しい経鼻イレウスチューブ挿入法「先端バルーン法」

心構えのTips Mental Attitude Tips
 No. 120 カメラはともだち
 No. 121 治療手技は,いかにイメージできるかが大切
 No. 122 私の心に残った三つの言葉
 No. 123 内視鏡の「軸」
 No. 124 術者観察のコツ 技は見て盗め?!
 No. 125 皆さんは看護師と情報共有していますか?
        「ブリーフィング」導入のすゝめ
 No. 126 米国でESDを実践するためのコツ
 No. 127 癌を一つ見つけたら二つ目を探そう!
 No. 128 あえて精神論も 大腸内視鏡の心構え
 No. 129 下部消化管内視鏡の上達のコツ

他科からのアドバイス&メッセージ Advice & Message
 No. 130 【病理科】消化管専門病理医は内視鏡医が育てる
 No. 131 【病理科】病理医にとってうれしい病理検査依頼書
 No. 132 【神経内科】神経内科医から内視鏡医へ,ちょっとだけ
        前向きなメッセージ
 No. 133 【精神科】ベンゾジアゼピンで奇異反応を起こしたら
 No. 134 【麻酔科】内視鏡の鎮静は難しい!
 No. 135 【循環器内科】抗血栓薬投与中の患者さんへの内視鏡前の対応の変遷
 No. 136 【内分泌内科】安全な検査のために
 No. 137 【腎臓内科】まじめな人のまれな話?
 No. 138 【放射線科】たかが憩室出血,されど憩室出血
 No. 139 【大腸肛門科】大腸内視鏡検査時の肛門部視診・指診・肛門観察のススメ
 No. 140 【産婦人科】拡大内視鏡が子宮頸癌の早期診断に役立つ!?

索引
 数字索引
 欧文索引
 和文索引

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内視鏡医の手元において,ぜひとも日常の内視鏡診断や治療に活用していただきたい
書評者:道田 知樹(埼玉医大教授/総合医療センター消化器・肝臓内科)

 消化器にかかわる医療関係者のためのWebサイト「gastropedia~ガストロペディア」の人気コンテンツ「教科書では教えてくれない! 私の内視鏡Tips」がついに書籍になって登場した。このコンテンツは,執筆した内視鏡医が次に執筆する内視鏡医を紹介する「笑っていいとも!」のような形式の企画である。

 本書の企画編集に携わられた小野敏嗣先生とは,東大病院消化器内科で内視鏡治療に従事されていた関係でお近づきになった。「目立たぬようにはしゃがぬように」をモットーとされている小野先生の第一印象は,東大のイメージ通り,抗凝固薬関連の多施設内視鏡研究などを企画する学術肌の先生であった。その後マラソンを趣味とされていることを知り,プライベートでは2015年には壱岐へ,2016年には小野先生の故郷の大分・湯布院への一泊旅行をご一緒することとなり,その穏やかなお人柄に大変惹きつけられた。

 そのような小野先生のお声掛けで始まったこの企画は,「友達つながり」の形式で,全国89施設から,お互いが一目を置く若手内視鏡医が集結し,140本の記事が集められ完成した。1本1本のTipsはA5判サイズ1ページに収められている。簡潔明瞭で写真や図表が多く,検査の合間でも気軽に読めるし,QRコードで動画も視聴できる。「ここまでやるか」というくらいのこだわりのTipsが紹介される中,臨床現場での熱意と苦悩が垣間見え,各著者の人柄さえ強く感じられる。一読すれば,内視鏡医でなくとも内視鏡が好きになって楽しくなるのではないだろうか。

 若手の内視鏡医や消化器内科を学ぼうとする先生にはぜひご一読いただきたい。単に細かい内視鏡スキルだけでなく,多くの若手内視鏡医のたゆまぬ工夫やあくなき挑戦と,その根底にある「自分たちの技術で患者さんを幸せにする」という熱い思いがひしひしと伝わってきて,その「友達の輪」の中で,明日からの内視鏡診断や治療へのモチベーションが飛躍的に高められる一冊である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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    2023.11.30