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ジェネラリスト必携! この皮膚疾患にこの処方

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外来・病棟・在宅など診療の現場で出会うありふれた皮膚疾患の治療のコツをまとめた1冊。皮膚疾患治療の基本である外用薬の使い方やスキンケアのコツを丁寧に解説し、よく使われる薬剤は製品写真も掲載。各疾患の「第一選択」から「次の一手」まで、処方例も適宜示して解説した。本書を読めば最低限押さえておきたい皮膚疾患治療のスキルが身につくこと間違いなし!
編集 安部 正敏 / 宮地 良樹
発行 2019年03月判型:A5頁:242
ISBN 978-4-260-03681-8
定価 4,400円 (本体4,000円+税)

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 「正しい診断なくして,正しい治療なし」とは,特に皮膚科専門医が自らを戒めるがごとく口にする言葉である。無論,この言葉はこの世に数多存在するすべての疾病に当てはまるが,皮膚科学においては特に診断学と治療学が密接に関係する学問であることが,この言葉に端的に示されている。
 正しい診断がついていれば,皮膚科専門医同士が疾患名を口にすると,瞬時にその病態生理から治療,そして患者指導までもを理解しあえることも少なくない。たとえば,“接触皮膚炎”と“皮脂欠乏性皮膚炎”では,当然使用する外用薬が異なり,“脂漏性皮膚炎”では,“皮膚炎”とはいいながら抗真菌外用薬を用いる場合がある。皮膚を専門としない医師にとっては誠に厄介であろうが,逆にそのコツを習得すれば,少なくとも一般診療において,根拠ある皮膚疾患治療を行うことが可能となる。
 本書は,日本を代表する錚々たる皮膚科専門医に,できるだけ平易な記載で,従来の教科書にはないコツまでを網羅していただき,皮膚科専門医や若手皮膚科医だけでなく,幅広い疾患を網羅しなければならないジェネラリストの先生方に容易に読破し,スキルアップを図って頂ける内容を目指した。今編者として改めて本書を精読したが,期待以上の出来に自ら感激した。お忙しいなか,本書の“ねらい”をご理解いただきご執筆いただいた先生方,本書出版に並々ならぬ労力を割いていただいた医学書院の天野貴洋氏に深謝申し上げるとともに,師と仰ぐ先生と共同編集などというもったいない機会をご配慮いただいた他ならぬ宮地良樹先生(安部は宮地良樹先生が群馬大学教授となられた際の第一期生である!)に衷心より感謝する次第である。
 もう一度繰り返すが,「正しい診断なくして,正しい治療なし」である。本書は当然後半に主眼を置いている。前半は,本書と同時に発刊される『ジェネラリスト必携! この皮膚疾患のこの発疹』をご精読いただければカンペキであろう。ぜひ,生まれたてホヤホヤの双子の2冊をお手元に置いて,診療の合間,実験の待ち時間,移動中の車内で目を通していただき,このかわいい双子を育てていただきたい。双子が成長し,いつしか表紙にシミができ,ページにシワが目立つようになったとき,読者の皮膚科診療スキルは自ずと天よりも高く,海よりも深くなっているに違いない。無論,患者のシミ・シワのケアもオテノモノになっている……はずである。

 まだ雪深い北の大地にて
 編者を代表して
 安部正敏

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1.皮膚疾患治療のキホン
 対談 皮膚科治療のコツとピットフォール
 外用薬総論
 外用薬各論
  ステロイド外用薬
  保湿薬
  抗真菌薬
  抗ヘルペスウイルス薬
  抗菌薬
  免疫抑制薬
  レチノイド
  活性型ビタミンD3外用薬
  サンスクリーン剤
  ドレッシング材
 皮膚疾患の治療によく用いられる全身治療薬
  抗ヘルペスウイルス薬
  経口抗真菌薬
  抗ヒスタミン薬
 スキンケア

2.湿疹・皮膚炎群
 アトピー性皮膚炎
 接触皮膚炎
 脂漏性湿疹
 皮脂欠乏性湿疹
 手湿疹
 乳児湿疹
 汗疹性湿疹
 異汗性湿疹
 自家感作性皮膚炎

3.蕁麻疹・痒疹・皮膚瘙痒症
 蕁麻疹
 皮膚瘙痒症
 結節性痒疹
 虫刺症

4.紫斑・血管炎
 慢性色素性紫斑
 スキン-テア

5.物理化学的皮膚障害
 熱傷
 凍瘡(しもやけ)
 褥瘡
 日光皮膚炎(日焼け)

6.膿疱症
 掌蹠膿疱症

7.炎症性角化症・角化症
 胼胝・鶏眼
 毛孔性苔癬
 乾癬
 扁平苔癬

8.色素異常症
 尋常性白斑
 老人性色素斑(日光黒子)

9.代謝異常症
 眼瞼黄色腫

10.付属器疾患
 ニキビ(尋常性痤瘡)
 酒皶
 円形脱毛症
 巻き爪・陥入爪

11.皮膚腫瘍
 炎症性表皮嚢腫
 脂漏性角化症・アクロコルドン
 日光角化症

12.皮膚感染症
 口唇ヘルペス
 帯状疱疹
 尖圭コンジローマ
 尋常性疣贅
 水いぼ(伝染性軟属腫)
 丹毒・蜂窩織炎
 伝染性膿痂疹
 足白癬
 爪白癬
 疥癬
 梅毒
 シラミ症
 マダニ刺咬症

COLUMN
 保湿用入浴剤
 保湿薬入り洗浄剤
 美白剤
 抗真菌薬含有シャンプー

索引

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皮膚科を専門としない医師のためのわかりやすい入門書
書評者: 三森 経世 (医仁会武田総合病院院長)
 医師にとっては,皮膚科医ならずとも,日常診療で発疹を見る機会は多い。総合病院であれば皮膚科にコンサルトに出せば済むことであろうが,一般医家であれば迷いながらも一応の診断をつけて対処するのではないだろうか。しかし,その結果発疹が長引いたり悪化したりして焦ることも少なくない。皮疹の診断はまず「発疹を自分の目でよく読む」ことに始まる。その発疹を読む力を高めるためには多くの症例を経験することが必須であるが,皮膚科医でなければなかなか症例を積み重ねることはできない。世の中に皮疹のイラスト集は数多く出版されているが,多くは皮膚科専門医をめざす医師のためのものであり,一般医家向けの入門書は少ないように思われる。

 京大名誉教授の宮地良樹先生と札幌皮膚科クリニック院長の安部正敏先生の編集になる『ジェネラリスト必携! この皮膚疾患のこの発疹』と『ジェネラリスト必携! この皮膚疾患にこの処方』の2冊は,必ずしも皮膚科を専門としない一般医家をターゲットとする皮膚疾患診療の入門書である。

 『この発疹』は皮膚疾患の診断のためのポケット図鑑である。日常診療で遭遇する機会の多い発疹について典型的な写真を豊富に提示し,「なぜ一目で診断できるか」が箇条書きで簡潔にわかりやすく解説されている。さらに「診断における留意点」と「診断がついた時の対処法」にも言及し,発疹診断のコツとツボを懇切に解説してくれる。

 もう1冊の『この処方』は皮膚疾患の治療のためのコンパクトなガイドブックである。治療薬の総論とともに,さまざまな皮膚疾患の基本的な治療法を「処方のスタンダード」として第一選択と次の一手がわかりやすく解説されている。さらには難治例の「専門医への紹介のタイミング」も記載されている。

 これら2冊はそれぞれ皮疹の診断と治療の解説書であり,姉妹書として一対をなすものであるが,必ずしも内容が1対1対応しているわけではない。『この処方』に取り上げられている皮膚疾患は『この発疹』の項目よりもずっと少なくなっているが,これは疾患によってはジェネラリストが手を下すよりも速やかに皮膚科専門医の手に渡したほうがよいものがあるためであろう。逆に言えばこの本で取り上げている疾患くらいは専門外であろうと診断して治療をしてほしいということになる。

 皮膚科を志す研修医や,皮膚は専門外だが皮疹を見る機会が多いという先生方にぜひお薦めしたい。
皮膚科の先生も皮膚科以外の先生も手にとっていただきたい「宮地本」の最高傑作!
書評者: 大塚 篤司 (京大特定准教授・外胚葉性疾患創薬医学兼皮膚科学)
 私が京大皮膚科に入局を決めたのは,当時主任教授であった宮地良樹先生の影響が大きい。というより,宮地先生と面談をして「京大で働こう」と思った。宮地先生の皮膚科学と皮膚科診療に対する圧倒的な情熱に感動し,京都から松本に帰る特急電車で悩むことなく決断した。宮地先生はとにかく話がお上手。日本全国をまわり,どんなテーマでも一流の講演をされる。併せて,本屋には「宮地良樹先生コーナー」ができるほど沢山の教科書を編集されている。ここまでたくさんの本を出されるには,もちろん理由があるはず。

 「先生,どうやってこんなに教科書をつくっているんですか?」
 書籍を量産するテクニックをこっそり伝授していただこう。そういう魂胆の私に,宮地先生の答えはシンプルだった。
 「いろんな学会や講演会に参加して勉強しているからだよ」

 いやはや,聞いた自分が恥ずかしくなった。皮膚科を何十年も愛し,貪欲に勉強してきた当然の結果が数々の「宮地本(みやちぼん。宮地先生が書いた本たちの俗称)」という当たり前のことを私はまざまざと思い知らされた。

 研修医のころから,私は宮地チルドレンとして「宮地本」のほぼ全てに目を通している。ありがたいことにいくつかは分担執筆させてもらっている。その200冊を超える「宮地本」の中で,『ジェネラリスト必携! この皮膚疾患のこの発疹』と『ジェネラリスト必携! この皮膚疾患にこの処方』の2冊は間違いなく最高傑作だと断言する。各項目をおなじみの有名専門家が担当し,難しい専門知識をジェネラリストに向けてわかりやすく解説している。「粟粒大の淡紅色紅斑がびまん性に散在」などと皮膚科医にしか通用しない解説だけが乱暴に並んでいる教科書とはわけが違い,「これでもか」と臨床写真が掲載されている。そして,視覚的に理解を助ける図も多い。皮膚科医の私にとっては眺めているだけで楽しい,そんな教科書になっている。

 さて,個人的には,巻頭に掲載されている宮地先生と群馬大時代の宮地チルドレンである安部正敏先生の対談が最高に面白い。京大時代の宮地チルドレンの私としては,宮地先生の知識を十二分に引き出した安部先生に軽く嫉妬を覚えるほどの充実した内容であった。これはぜひ,皮膚科の先生も皮膚科以外の先生も,実際に本を手にとって読んでいただきたい。私が「京大皮膚科に入局したい!」と思った十数年前の当時の気持ちを共有していただけるのではないかと期待している。2冊の本をパラパラとめくりながら,あのとき,京大皮膚科に即断した私を褒めてあげたいと思った。超えることができない師匠をもった私はとても幸せな皮膚科医だと思う。

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