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第3359号 2020年2月17日


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広がる! ポケットエコーの可能性


 2019年9月21日に医学書院にてポケットエコー活用セミナー「Point-of-Care超音波ベーシックス」(主催:医学書院,共催:GEヘルスケア・ジャパン株式会社)を開催しました。ご登壇いただいたのは,Point-of-Care超音波(以下:POCUS)の第一人者である亀田徹先生(安曇野赤十字病院救急科)です(写真1)。ご著書の『内科救急で使える! Point-of-Care超音波ベーシックス[Web動画付]』(医学書院)をテキストにPOCUSの基本から,内科救急の現場でよくみる呼吸器・腹部・循環器疾患への活用のための実技をレクチャーいただきました。本稿ではセミナーの模様と臨床での活用がますます広がるPOCUSについてご紹介します。

写真1 エコーの当て方を指導する亀田先生(左上)


POCUSの対象となりうる部位と病態・疾患

 ベッドサイドで行われるPOCUSは,病歴と身体所見による臨床推論に基づき,関心部分を絞って短時間で行うのが特徴です。同じ超音波検査を何度も検査室に依頼することはできませんが,POCUSは刻々と変化する病態の経過を観察するために,1日に何回も行うことが可能です。近年コンパクトな超音波装置が登場し,院内外を問わずさまざまな場所で活用できるようになりました。本セミナーではGEヘルスケア・ジャパン株式会社様のご協力でポケットエコーをお借りして実技を学びました(写真2)

写真2 ポケットエコーによる実技の様子

 POCUSでは全身の全ての部位が対象になり,解剖学的評価だけでなく,生理学的評価も可能です。特に内科救急では,エビデンスが示されている腹部,心臓,肺・胸腔が主な対象になります(表)。ポケットエコーを活用すれば院内外を問わずさまざまな場所で施行できます。

内科救急で使える! Point-of-Care超音波ベーシックス[Web動画付]』医学書院,2019,p5より引用

臨床推論の重要性

 POCUSを施行するにあたり,病歴,バイタルサイン,身体所見に基づいた臨床推論によって観察範囲が絞られますが,臨床推論が適切でなければ病変を捉えることはできません。POCUSの活用には臨床推論を行う力がカギとなります。さらに,POCUS施行中は身体所見と超音波所見をリアルタイムで対比し,超音波で観察しながら問診も繰り返すことで,臨床推論を深めることも可能です。自分の立てた臨床推論をもとに自らの手で体内を確認できるのがPOCUSの魅力のひとつです。病歴,バイタルサイン,身体所見に続き,診察の一環としてPOCUSを行うことで質の高い診療を実現することができます。

呼吸器,腹部,循環器への活用

 セミナーでは,呼吸器,腹部,循環器の部位に分けて疑わしき疾患を確かめるためのPOCUSの活用について詳しく解説がありました(写真3)。呼吸器では,肺水腫,肺炎,胸水を疑ったとき,どこを見て何を確かめればよいか説明がありました。コツは基本画像を覚え,見るべきとっかかりを探し,スライド走査で位置関係を確認し,傾け走査で全体像を把握することとのこと。

写真3 部位ごとに見るべきポイントを指導する亀田先生(左上)

 腹部はプローブの動かし方が特に重要で,走査によって描出のされ方が大きく変わるので,スライド,回転,傾け,ロッキング走査をうまく組み合わせて描出する必要があります。循環器疾患の描出は,複雑で専門性が高い領域ですので修練が必要です。

 循環器領域においては,近年,評価項目を簡便化したFoCUS(Focused Cardiac Ultrasound)という概念が普及しています。FoCUSとは,ベッドサイドにおいて,臨床医自身が短時間でポイントを絞って行う心エコーです。基本のプローブの走査とFoCUSを活用しながら精度の高い所見を描出していきます。

これからの広がりについて

 海外ではPOCUSの活用が日本よりも進んでおり,医学部の卒前教育でも導入されています。日本でも緊急入院時における病棟での再評価や日々の経過観察,院内急変時の迅速な対応で活用が見込まれます。近い将来POCUSは臨床医をはじめ,患者さんのケアに直接かかわる医療従事者の基本的なスキルとして認知されるようになるでしょう。特にコンパクトで持ち運びが簡単なポケットエコーは医療資源の限られる病院前救急や在宅医療ではさらに利用価値が高まると予想されます。今回,亀田先生には,より多くの医療者に活用していただけるように,超音波を専門にしない臨床医を対象として内科救急等で役立てる方法を解説いただきました。セミナーに参加された多くの先生方から「明日から活用できる実用的な情報を得ることができた」と好評をいただきました。

 本セミナーの構成は亀田先生著の『内科救急で使える! Point-of-Care超音波ベーシックス[Web動画付]』になぞらえています。POCUSに興味を持たれた方,セミナーに参加したかったけれど行けなかった方,新たな技術を習得したい先生,超音波診断初学者,研修医,看護師他医療スタッフ大勢の先生にぜひこの魅力を知っていただきたいと思います。