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第3355号 2020年1月20日


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『病院』セミナー2019
生き残る病院の経営戦略

去る2019年11月23日(土・祝)に医学書院(東京都文京区)で「『病院』セミナー2019 生き残る病院の経営戦略」が開催されました。月刊誌『病院』編集委員が多角的に新しい時代の病院経営の指針を示したセミナーの模様を報告します。


病院の殻を破れるか
中小病院の柔軟性を生かす経営改革

神野 正博 氏(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)

 2040年を視野に入れると,病院は少子高齢化・人口減少・労働力不足という社会の変化と,地域医療構想・医師偏在対策・医師/医療従事者の働き方改革という「三位一体」の制度改革を生き残らなくてはなりません。神野氏は,全ての病院がこれまで同様の機能を維持することは不可能であると喝破し,病院を人生全体をみるLife産業と捉えた「病院医療の守備範囲の再構築」,医療従事者任せから患者が主体的に参加する「医師と患者の関係の再構築」,業務の効率化や生産性向上の観点から「最新技術導入と民間企業との協働の促進」をポイントとして掲げ,実際に恵寿総合病院が構築・運用する「けいじゅヘルスケアシステム」や医療・介護の境目のないサービスを支えるコールセンターのしくみ,カルテコによる患者情報の自己管理,生活支援サービスなど多彩なイノベーションを紹介しました。

本セミナーの関連記事が雑誌『病院』2020年2月号に掲載予定です。ぜひご覧ください。

データをこう読む,こう対応する地域医療構想

松田 晋哉 氏(産業医科大学公衆衛生学教室教授)

 医療と介護のニーズが複合化する超高齢社会では,客観的なデータの現状分析に基づいて地域を診断し,各医療機関がそれぞれの地域における自院のあり方を考える必要があります。松田氏はそのための検討の視点として,高度急性期・急性期機能はがん・救急・手術がカギとなること(そもそも急性期・回復期・慢性期という区分そのものが傷病構造の変化に合わなくなっていること),今後急増する慢性期(療養病床・介護施設・在宅)の高齢患者を地域ごとの医療資源・介護資源を踏まえてどのように地域で受け入れるのか,SCR(年齢調整標準化レセプト出現比)の分析による当該地域の医療提供体制の課題,入退院経路による自院の病床機能,医師・看護師の状況から考える妥当な病床機能の選択など,実際のデータを用いてわかりやすく解説しました。

本セミナーの関連記事が雑誌『病院』2020年1月号に掲載されています。ぜひご覧ください。

消費税増税を踏まえた経営指標

川原 丈貴 氏(株式会社川原経営総合センター代表取締役社長)

 川原氏は,病院の経営に大きな影を及ぼしてきた控除対象外消費税問題の解説はもちろん,医療経済実態調査や病院経営管理指標などのデータの見方を紹介し,自院の経営指標を把握して対応する重要性と,経営戦略を立案・実行していく必要性を説きました。また,「医療施設の経営改善に関する調査研究」に携わった立場から,経営改善病院の共通項として「世代交代を機としたリーダーシップの発揮」「出口・入口戦略を意識した垂直統合戦略」「自院の明確な位置づけを意識した事業展開」「病院の将来像の明確化によるスタッフの活性化と募集のメリット」「内部人材の育成と外部コンサルタントの有効活用」を挙げ,今後の病院経営の課題として「三位一体改革」「給食」「入院預かり金の連帯保証」「会計監査」「キャッシュレス」など注目すべき動向を示唆しました。

本セミナーの関連記事が雑誌『病院』2019年3月号に掲載されています。ぜひご覧ください。

質疑応答

 会場からは「病院が生活までみる場合,法人内での連携はどうしたらうまくいくでしょうか」「データ分析のできる人材をどのように育成したらよいでしょうか」「地域医療構想に向けて今後の対策をご教示ください」「当院の救急は大学病院からの医師派遣に頼っていますが,働き方改革の影響で今後は派遣してもらえなくなるのでしょうか」など,多くの質問が寄せられ,活発なディスカッションが展開されました。