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第3339号 2019年9月23日


第45回日本看護研究学会開催


泊祐子学術集会長
 日本看護研究学会第45回学術集会(学術集会長=大阪医大・泊祐子氏)が8月20~21日,「研究成果をためる つかう ひろげる――社会に評価される看護力」をテーマに大阪府立国際会議場(大阪市)で開催された。本紙ではシンポジウム「診療報酬につながる研究成果の示し方・つかい方」(座長=日本福祉大・山口桂子氏,阪大病院・越村利惠氏)の模様を紹介する。

 診療報酬は2年に1回,厚労省中央社会保険医療協議会総会にて審議され,改定が行われる。少子高齢化や2025年問題等の人口動態変化や医療技術の進歩など,社会の変化に合わせて医療の提供体制は対応し続けなければならない。患者に提供される看護技術やケアが正当に評価され,その実践の質を高めるために,看護研究の成果をどのように示していくべきか議論が行われた。

臨床と研究の協働でめざす診療報酬の改良

 厚労省診療報酬DPC評価分科会の委員を務め,診療報酬を審査した経験のある箕浦洋子氏(関西看護医療大)は,近年の診療報酬改定の概要について説明した。診療報酬の評価では,提供する医療の効率化や質向上,新たなシステムの構築に,限られた財源を充てる必要がある。その中で必要な診療報酬の獲得に向けた研究成果の示し方として氏は,①国の動向を視野に入れた研究の切り口を考える,②研究の過程と成果を具体的に示す,③医療への貢献度を明確化する,④チーム医療を意識する,の4つのポイントを紹介。これらの実現には,「研究者と臨床看護師の協働や研究成果の効果的な宣伝,学会等を通じたロビー活動が必要」と訴えた。

 渡邉眞理氏(横市大)は,日本がん看護学会のがん看護技術開発委員会の活動を通し「がん患者指導管理料」等の保険収載にかかわった。氏は,保険収載されるには,普及性のある技術に関してその必要性を明らかにする必要があると指摘。そのため社会のニーズを把握した上で,科学的根拠に基づいたデータの提示が求められると主張した。一方で,看護の成果を数値で表す難しさを課題として示し,今後は臨床と研究が協働しながら改善に取り組む必要があるとの見解を示した。

 日本看護研究学会将来構想検討委員会看護保険連合ワーキングメンバーの叶谷由佳氏(横市大)は,自身がかかわった重度障がい児と家族の支援に関する診療報酬改定の取り組みを紹介した。氏は,訪問看護基本療養費の乳幼児加算において従来の500円から1500円への増額を達成した経験から,診療報酬の改定要望に必要な条件を考察。看護の実態を調査し改定を要するエビデンスを明確にすることが重要とし,「エビデンス蓄積には現場で活躍する専門職と,多面的に検討できる研究者が議論する場の構築が必要だ」と締めくくった。

シンポジウムの模様