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第3281号 2018年7月16日


第23回日本緩和医療学会開催


木澤義之大会長
 第23回日本緩和医療学会学術大会(大会長=神戸大・木澤義之氏)が6月15~17日,「緩和ケアとEOLケアの質を見直す」をテーマに,神戸国際展示場,他(神戸市)にて開催された。高齢者の増加に伴って心不全患者が増えると見込まれる中で,心不全患者への緩和ケアをどう進めていくか。シンポジウム「心不全緩和ケアのこれから」(座長=広島大・木原康樹氏,飯塚病院・柏木秀行氏)では,4人のシンポジストが取り組みを発表した。

循環器内科医と緩和ケア医の連携体制をつくる

 2017年に統合・改訂された急性・慢性心不全診療ガイドラインに緩和ケアの重要性が明記され,2018年度診療報酬改定で緩和ケア診療加算に末期心不全が追加されるなど,がんだけでなく心不全領域の緩和ケアの必要性が認識されつつある。

 循環器内科医の大石醒悟氏(兵庫県立姫路循環器病センター)は,循環器専門病院の同院で2011年から続けてきた緩和ケアの取り組みを発表した。2015年に緩和ケア医の支援のもと患者支援・緩和ケアチームを構築し,循環器内科医と緩和ケアチームの協働体制を整えたという。氏は,「緩和ケアニーズに応える体制は各施設に求められる」として,病院や地域の事情を踏まえた循環器内科医と緩和ケア医の体制構築を訴えた。

 がん等とは異なり,心不全診療の大半は大病院ではなく中小医療機関で行われる。循環器内科医を中心とする研究会「九州心不全緩和ケア深論プロジェクト」の共同代表を務める柴田龍宏氏(久留米大)は,心不全では緩和ケア医だけでなく,循環器内科医やプライマリ・ケア医も緩和ケアの担い手になるべきとの見解を示した。緩和ケアの非専門医が基本的なスキルを習得する場の確立を課題に挙げ,日本緩和医療学会等による講習の他,氏らが提供するプログラムHEPTを紹介した。

 心不全は急性増悪と寛解を繰り返し,治療が症状緩和も兼ねる特性から,心不全はがんとは異なる緩和ケア体制が必要となり得る。総合診療の経験を持つ緩和ケア医の大森崇史氏(飯塚病院)は,循環器内科医,総合診療医,緩和ケア医,緩和ケア認定看護師などから構成される同院ハートサポートチームの活動を紹介。緩和ケア導入や外来でのアドバンス・ケア・プランニング(ACP)は循環器内科医,入院時の緩和ケアは緩和ケア医,地域での継続的な診療に向けては総合診療医を中心にチームで取り組み,勉強会等により地域の他病院とも連携し合う体制を築いているという。

 慢性心不全の診療の質指標とACPのプログラム開発を目的としたAMED事業「循環器緩和ケアにおける診療の質評価に関する研究」(2016~17年度)を踏まえて発表したのは,同研究主任研究者の安斉俊久氏(北大大学院)。緩和ケアチームが存在する施設でも,再入院心不全患者へ多職種が介入した症例は27%にとどまり,患者の苦痛に対する評価や緩和目標が不十分な場合が多いという。ACPに関しては,①定期外来により1年ごと,②症状増悪時や薬物療法の変更時など,節目となるタイミングでの実施を呼び掛けた。