医学書院

検索
HOME週刊医学界新聞 > 第3257号 2018年01月22日



第3257号 2018年1月22日


『系統看護学講座』創刊50周年


 医学書院の看護学テキストシリーズ『系統看護学講座』の創刊50周年を記念したセミナー「看護教育の未来をみすえて」が2017年11月25日に大阪(新梅田研修センター),12月2日に東京(全社協灘尾ホール)にて開催された。同シリーズ著者の波平恵美子氏(お茶の水女子大名誉教授)と任和子氏(京大大学院),看護教員として同シリーズを長年活用してきた池西靜江氏(Office Kyo-Shien代表/日本看護学校協議会会長)の3人による講演が行われた。本紙では東京会場の模様を報告する。

 最初に文化人類学者の波平氏が「看護教育との関わりのなかで学んだこと――豊かになった私の医療人類学的思考」と題し講演した。医療人類学は文化人類学の一領域で,健康,病気,死などに関する文化の多様性や普遍性を研究する学問である。氏は,米国を中心に成立した医療人類学が日本に紹介される以前から看護学校で文化人類学の教鞭をとっていた。日本の医療人類学を長年けん引してきた経験から得られた,「看護という営みは患者の社会的・文化的背景への配慮なしには行えない」という気付きや,患者に最大限寄り添う看護実践に役立つ医療人類学的思考について語った。

 続いて任氏が「臨床の変化をみすえた基礎教育の未来」と題し講演。看護教員が意識すべきこととして,臨床現場を取り巻く社会の変化や技術の進歩に敏感になること,看護の価値や目的を基礎教育から学生に伝えることを挙げた。また,学生が実習で直面した患者の表情や言葉を「ケアの瞬間」として印象付けることが,学生の自信と誇りを生み,成長につながると述べた。

 「実践的思考力を育む教材・発問づくり」について話したのは池西氏。学生の看護実践能力を養うには,基礎知識を教えてから看護場面に応用させる教え方ではなく,看護場面を先に提示し,そこで必要な知識や技法を考えさせる方法が効果的だと述べた。授業の目的に合わせた適切な看護場面の選定や,学生の思考を促し学びをつかみ取るための問い掛けのコツが具体的に解説され,参加者は熱心に聞き入っていた。

参加者からの質問に答える講師(左から池西氏,任氏,波平氏)