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第3227号 2017年6月12日


第28回「理学療法ジャーナル賞」


川端悠士氏
 第28回「理学療法ジャーナル賞」授賞式が4月22日,医学書院本社にて行われた。本賞は,前年の1年間に『理学療法ジャーナル』誌に掲載された投稿論文の中から優秀論文を編集委員会が顕彰し,理学療法士の研究活動を奨励するもの。2016年は,総投稿数80本のうち13本が受賞対象となり,準入賞に川端悠士氏(JA 山口厚生連周東総合病院)らの論文が選ばれた。

【準入賞】川端悠士,他:人工股関節全置換術例の自覚的脚長差に対する補高は下肢荷重率の均等化に有用か?(第50巻8号掲載,報告)

 本研究は,人工股関節全置換術後の自覚的脚長差に対する補高に着目し,術後2週の段階で5 mm以上の自覚的脚長差を有する人工股関節全置換術例28例を対象に,ランダム化クロスオーバーデザインを用いて行われたもの。快適立位姿勢における30秒間の術側下肢荷重率を測定し,自覚的脚長差に対する補高の使用は荷重率の均等化に有用であると結論付けた。洗練された研究デザイン,臨床での観察から生まれた研究,臨床に有益な結論を得たことの3点が評価された。川端氏らは,一定数のデータを取った段階で,2群間の科学的検定に必要な対象者数をあらかじめ算出。編集委員の内山靖氏(名大大学院)は,「臨床研究では,適切な対象者数の決定は重要でありながら,難しい点でもある。川端氏らの研究手法は先行研究が乏しい中でも,対象者への過度な負担を避けながら有効な結果を導いており,参考となるものだ」と高く評価した。

 川端氏は,「従来3 cm以内の脚長差に補高の必要はないと考えられてきたが,私の臨床経験上,それ未満でも調整したほうがその後の経過がよいという印象を持っていた。本研究は,臨床経験からの仮説を証明でき,補高の有効性を考える上で意義のある結果だと考えている」と語り,「今後も臨床ならではの視点で,理学療法の発展に貢献できるような研究を行っていきたい」と抱負を述べた。

 『理学療法ジャーナル』誌では本年も,掲載された投稿論文から第29回「理学療法ジャーナル賞」を選定する。詳細については『理学療法ジャーナル』誌投稿規定を参照されたい。