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第3206号 2017年1月9日


医師は自分の感情にどう向き合うか


 『総合診療』誌主催のセミナー「『平静の心』塾」(講師=諏訪中央病院・山中克郎氏,臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄・徳田安春氏,徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター・平島修氏)が2016年12月8日,医学書院(東京都文京区)にて開催された。医学生から60代の医師まで42人が参加し,臨床医が経験し得る感情の動きについて,参加者同士での意見交換や,講師との議論が繰り広げられた。

自分の感情と日頃から向き合うことが重要である!

感情が診療に及ぼす影響について,参加者と熱く語り合う平島氏。
 最初のレクチャーを行った徳田氏は,本セミナーの主題「平静の心」を説いたオスラーの生涯を概説した。医師として持つべき最大の資質は「沈着な姿勢」であるとの教えを紹介し,もともとオスラーが医学生に向けた講演によるとの背景から,医学生にこそ知ってほしい教養だと語った。

 続いて,「患者に対して湧く感情と,その感情が診断・治療に及ぼす影響」について平島氏が2つの事例を挙げた。1つ目は,江戸時代の患者が押し寄せる無料診療所の様子を描いた映画『赤ひげ』(東宝)に登場する2人の医師を題材とした。①医師への不信感を示す患者に服薬を拒否された若手医師と,②患者に向き合い,薬を飲んでもらうに至った指導医の感情の違いについて問い掛けた。参加者からは,①は「患者のことを思っているにもかかわらず,“なぜだ?”という怒り」,②は,「諦めない心」など,活発に意見が挙がった。2つ目は平島氏自身が経験した例を紹介。動けなくなるほど重症であっても病院に行くことを拒んだ患者に対して,入院を勧めるか在宅で診るかで心が揺れた瞬間があったと回想し,重大な判断時には医師も患者も一時の感情に流されがちだと話した。このような感情を揺さぶられる事例は突然やって来ることから,医師として自分の感情と日頃から向き合うことが適切な診療につながると述べた。

 最後に山中氏が,オスラーの講演の中で最も有名な「平静の心 Aequanimitas」〔日本語訳『平静の心――オスラー博士講演集(新訂増補版)』,医学書院,2003より〕を参加者と一緒に朗読し,セミナーを締めくくった。参加者からは,「医師としての態度を考える良い機会となった」といった感想や,「どんな患者が来ても対応できる医師になりたい」との意気込みが寄せられた。

※『総合診療』誌では,2017年1月号から本セミナー講師の3氏による連載「こんなときオスラー――超訳『平静の心』」が始まります。こちらもぜひご覧ください!