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第3203号 2016年12月12日


看護経済・政策研究学会第25回研究会


Crystal Oldman氏
 看護経済・政策研究学会は,看護経済・政策・経営に関して研究者と実践家の連携・協働を促進し,社会の福祉向上に寄与することを目的に設立された。同学会は年1回の学術集会と,年4回の研究会を開催しており,本紙では,2016年11月22日に開催された今年度第1回目の研究会(会場=東京都港区・東大医科研病院)の模様を紹介する。

地域中心の医療の実現に向け,看護師の役割はますます重要に

 今回講師として登壇したのは,英国の地域看護師コミュニティThe Queen's Nursing Institute(QNI)で最高責任者を務めるCrystal Oldman氏。日本と同様,「施設中心」から「地域中心」へと医療の転換が進む英国の現状を紹介した。

 QNIは英国の地域で活動する看護師の教育訓練を目的に設立された組織で,その活動はNHSよりもさらに60年以上前にさかのぼるという。氏は,高齢化の進展や在院日数の短縮,病床数の削減に伴い,地域看護の重要性は今後ますます高まっていくと指摘。英国の地域看護の専門領域を複数紹介した上で,現在英国が抱える課題を列挙した。こうした課題に対応していくために,①政策への関与,②エビデンスに基づくデータの提示,③イノベーションの推進,④ロールモデルの提示,⑤教育・実践のためのスタンダードの作成,⑥地域で働く看護師の支援,というQNIの6つの活動領域について,具体的な取り組みを紹介した。

 氏は最後に,「技術革新や遠隔医療の普及によって地域看護の在り方は大きく変わっていくことが予想される。しかし,地域で人々のニーズに応えていくためには,優れた地域看護を実践できる人材の育成・確保がやはり欠かせない」と訴え,講演を締めくくった。