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第3194号 2016年10月10日


【視点】

卒後臨床研修センター業務に生かす「産業・組織心理学」

江村 正(佐賀大学医学部附属病院卒後臨床研修センター専任副センター長・准教授)


 2004年の医師臨床研修制度必修化に伴い,臨床研修病院には研修の統括部門が必要となり,以来,卒後臨床研修センターが多くの病院に設置されることになった。筆者は,そこでさまざまな仕事を行ってきたが,内容があらゆる方面におよび,従来の臨床医の仕事とは全く異なるものばかりであった。

 着任して10年が過ぎ,後進の育成も考え今までの活動を振り返ってみたが,なかなか活動内容を体系づけて整理することができずにいた。

 卒後臨床研修センターの業務について模索する中,「産業・組織心理学」との出合いがあった。産業・組織心理学とは,心理学を産業領域に応用したもので,「組織とかかわりを持っている人々の行動を記述し,理解し,予測することによって,人間と組織との望ましい,そして,あるべき関係の仕方を見出すことを目的とした科学」1)と言われている。組織行動,人事心理学,作業心理学,消費者行動の4つの研究領域に分類することができる。産業・組織心理学の体系をもとに卒後臨床研修センターの業務をあらためて振り返ってみると,種々の活動がうまく分類されることに気付き,それぞれに関連付けてまとめることができた()。研修医教育に携わる者がこのような体系を把握しておくことで,内容によっては業務がより円滑に進められるのではないかと考える。

 産業・組織心理学の体系から分類した卒後臨床研修センターの業務

 産業・組織心理学の体系に,卒後臨床研修センターの活動が当てはまったのは,医学教育の世界に産業が,言い換えると,市場原理が導入されたためかもしれない。今まで以上に競争が求められる大学や病院において,産業・組織心理学という枠組みを知っておくことは,教育に携わる者の活動指針として有用と思われる。今まさに,卒後臨床研修センターの業務の在り方に苦心している方は,ぜひ一度参考にされるとよいだろう。

参考文献
1)高橋浩,他.社会人のための産業・組織心理学入門.産業能率大学出版部.2013.


江村 正
1987年佐賀医大卒。一般内科の研修後,98年より総合診療部助手。2004年に卒後臨床研修センターに着任し,08年より現職。日本医学教育学会認定医学教育専門家。