医学界新聞

2016.06.27



NANDA-I 2016年大会開催


 NANDA International(以下,NANDA-I)の2016年大会が5月19~21日,メキシコ・カンクンにて開催された。大会のテーマは「変化する国際的な看護知の展望(Changing Perspectives on International Nursing Knowledge)」。北米・中南米を中心に欧州・アジア・アフリカも含む26か国から約200人が参加した。この大会では,看護診断の審査を学会の委員会活動から,新たに設ける大学の研究所で行うという組織改編についての計画発表や,看護診断分類法についての議論と投票が行われた他,上鶴重美氏(看護ラボラトリー代表)が正式にNANDA-Iの理事長に就任した。


看護診断分類法はタキソノミーIIを継続

 開会式では,昨年4月に逝去したマージョリー・ゴードン氏の追悼ビデオがこの日のために作成され,流された。氏が唱えた機能的健康パターンにちなみ,200枚を超える写真が「11パターン」に分類され,その人柄と看護診断の発展への貢献が紹介されるという凝ったもので,参加者全員でその足跡の大きさをあらためて回想しながら氏への感謝がささげられた。また,開会式に続く看護診断分類法についての議論では,①現行のタキソノミーIIを継続,②新たに提案されているタキソノミーIII〈『NANDA-I看護診断――定義と分類2015-2017』(医学書院)に掲載〉を採用,③ゴードンの機能的健康パターンの使用,の3つの選択肢が示され,参加者が各国の状況を紹介しながら意見交換を行った。

特別貢献賞受賞の藤村龍子氏
 大会2日目には,ヘルスプロモーション型の定義変更について意見を求めるセッションや,2015年に削除された「エネルギーフィールド混乱」の有効性についての研究発表など,看護診断の開発と洗練に向けた活発な議論が終日交わされた。夕暮れ時のカリブ海を望むホテルのプールサイドにて開催されたガラディナーでは,参加者が交流を深めるとともにリンダ・J.カルペニート氏〈『看護診断ハンドブック』(医学書院)原著者〉の司会による大会恒例のチャリティオークションが行われ,売上が研究助成基金に寄付された。あわせて,表彰式では,日本看護診断学会理事長を務めるなど看護診断の普及に貢献したとして藤村龍子氏(慈恵医大客員教授)が特別貢献賞(Unique Contribution Award)を受賞した。

 大会3日目の総会では,看護診断分類法についての投票が行われ,現行のタキソノミーIIの継続が決まった。また,総会の終盤では理事長の役割を象徴する小づちが前理事長のジェーン・ブローケル氏から上鶴新理事長に手渡された。2020年までの4年間で大規模な組織改編のかじ取りを担うこととなった上鶴氏は,学会と看護診断の安定的発展をめざす長期計画を発表後,小づちを打ち鳴らして総会の終了を告げた。

ユーモアあふれる就任あいさつを行う上鶴新理事長(左端)。壇上は歴代理事長

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