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第3036号 2013年7月22日


第19回日本看護診断学会開催


 第19回日本看護診断学会が6月22-23日,上田順子大会長(旭川医大病院)のもと「チーム医療と看護診断」をテーマに,旭川市民文化会館(旭川市)他で開催された。

 本紙では,臨床と教育の立場からそれぞれ演者が2人ずつ登壇し,実践に向けた看護診断教育の取り組みについて議論されたシンポジウム「看護診断をいかに個別性のある看護実践につなげるか」(座長=札医大・大日向輝美氏,高知医療センター・田鍋雅子氏)のもようを報告する。


個別性を見いだす力は看護診断教育の充実から

上田順子大会長
 看護診断の深化には教育とその継続が欠かせない。最初に登壇した佐々木純子氏(札医大病院)は,2003年に院内に看護診断を導入して以来,看護診断研修を継続してきた経過を報告。現在では,院内外の研修や自院の教育プログラムで経験を積んだファシリテーターとともに,臨床での実在事例をグループで検討するまでに至っているという。小グループで看護診断過程を検討することで,時間をかけて看護について語り合い,看護診断の個別性を見いだせていると語った。

 同様に,金田豊子氏(旭川医大病院)も看護診断導入21年目という長年の実績を踏まえ,スタッフ育成の取り組みを列挙した。その上で,個別性のある看護実践へのつなげ方については,「同じ診断名でも診断指標と関連因子が異なる場合があり,一人ひとりの看護介入に違いが出る点に個別性を表現できる」とし,診断の根拠となる両者の用い方がポイントになると解説。さらに電子カルテのコメント入力を使うことで診断を補い,より詳細まで個別性を表すという独自の工夫を紹介した。

 では,基礎教育における看護診断教育はどのように行われているのだろうか。「自分の考えで判断し,記述できる看護師を養成したい。主体性をもって学ぶ看護師でないと患者さんの個別性はわからない」。こう語った渡邉順子氏(聖隷クリストファー大)は,基礎看護学分野の講義・演習・実習のなかに看護診断を組み込んだ自校のカリキュラムを紹介。実習は短期集中型ではなく,定期開講の「分割型実習」を採用し,講義・演習・実習をセットとして週単位で繰り返し進む構成にしている。講義や演習で得た診断の知識をすぐに現場で体験でき,看護をより現実的にとらえられるなどのメリットがあると述べた。

 同じく教育の立場から成人看護学で扱う看護診断教育について紹介したのは河原田榮子氏(日赤北海道看護大)。教育において学生に達成感を与えることは大事。苦労してアセスメントをした結果,診断,介入,計画につなげられることで学生は達成感を得られる。「患者さんから“ありがとう”と言われることもある」と述べ,看護診断を基礎教育課程で教授することの意義を語った。

 総合討議では,看護診断の院内教育に実績のある病院が,これから取り組む病院に積極的に情報提供していくことや,看護基礎教育の中で継続的に看護診断を教えていくことを求める声があがった。座長の大日向氏は「対象者をきちんと見つめることが個別性のある看護診断の実践につながる」と述べ,本シンポジウムを締めくくった。