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第3033号 2013年7月1日


第54回日本神経学会開催


 第54回日本神経学会学術集会が5月29日-6月1日,水澤英洋大会長(東京医歯大大学院)のもと,「神経学――新しい時代への挑戦」をテーマに東京国際フォーラム(東京都千代田区)にて開催された。本紙では,パーキンソン病(PD)の非薬物療法に焦点を当てたシンポジウムのもようを報告する。


水澤英洋大会長
 PD治療において,薬物療法では数多くのエビデンスが確立されている。一方で,非薬物療法は有効性が示された研究はあるものの,二重盲検による臨床試験を実施することの困難さから評価が難しく,十分にエビデンスがあるとは言いがたい。シンポジウム「パーキンソン病の非薬物療法とエビデンス」(座長=京大大学院・高橋良輔氏,順大病院・服部信孝氏)では,リハビリテーション(以下,リハ),反復経頭蓋磁気刺激(rTMS),脳深部刺激(DBS)など,PD治療における非薬物療法に焦点を当てた議論がなされた。

非薬物療法の有効性を探る

 運動療法のほか,発声や嚥下のリハの有効性を示す報告も数多くあり,PDによる運動症状改善をめざす上で,リハは欠かせないものになっている。林明人氏(順大浦安病院)は,『パーキンソン病治療ガイドライン2011』で示されたエビデンスに加え,最新の研究・報告を解説。リハのエビデンスづくりの難しさを指摘しながらも,内科的・外科的治療とリハを組み合わせることで,運動症状のさらなる改善が期待できると強調した。また,携帯歩行計(加速度センサー)を利用した,歩行障害の機能評価法を紹介。歩行リズム,歩行加速度,歩行リズムの1日の変化,すくみの回数,睡眠時の体動などの項目を計測することで,患者がつける日誌では把握しきれない,運動障害の24時間にわたる定量的な評価が可能になると有効性を訴えた。

 モデル動物を用いた基礎研究や,メタアナリシスによる分析から,一定の運動症状改善効果が示唆されるrTMS療法。代田悠一郎氏(東大病院)は,補足運動野rTMSの臨床効果を探った多施設共同無作為プラセボコントロール二重盲検並行群間比較試験をはじめとした,日本の臨床試験・研究を解説。また,L-ドパ誘発性ジスキネジアやうつ症状といった特定の症状の改善をめざす補助的な活用法や,頻度や回数などの刺激パラメータに工夫を加えたrTMS療法の開発が進められていることにも言及した。

 北里大の佐藤澄人氏は,自施設での取り組みを中心に,DBS療法に関する知見を解説した。PDの主要運動症状に対するDBSのターゲットには,淡蒼球内節(GPi)や視床下核がともに有効とされているが,どちらをターゲットとするかは議論を残すところだ。北里大では,術前に,ウィスコンシンカード分類課題,トレイルメイキングテスト,HIV Dementia Scale (日本語版)などを用いて認知機能を評価し,機能低下高リスク群と判断された場合にGPi-DBSを推奨すると説明。術後,認知・情動機能に対する副作用も少なく,良好な結果が得られていると報告した。

 藤本健一氏(自治医大)は,治療効果が科学的に認められていない健康食品,運動器具の使用実態を提示した。外来受診患者300人を対象に行った聞き取り調査の結果,「何も使ったことがない:94人」「健康食品のみ使用経験あり:43人」「運動器具のみ使用経験あり:78人」「両方使用経験あり:85人」と回答が得られたという。サプリメント,特定保健用食品,栄養機能食品,電位治療機やマッサージチェアなどの使用に際して,「PDに対する効果・効能を期待する患者は少なくない」と氏は指摘。PDに対する効果・効能が公式に認められた健康食品・運動器具は存在しないことや,継続的に使用している人は少ないことを,医師から患者に注意喚起する必要もあると呼びかけた。