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第2938号 2011年7月25日


第17回日本看護診断学会開催


 第17回日本看護診断学会が6月19-20日,本郷久美子会長(三育学院大)のもと,「看護診断とスピリチュアルケア――全人的なアセスメント・介入能力を高めるために」をテーマに,神戸国際会議場(神戸市)で開催された。看護診断の妥当性や診断用語をめぐる議論にとどまらず,東日本大震災について各プログラムでさまざまな形で言及されるなど,大会テーマのスピリチュアルケアも時宜を得たものとなった。

◆教育課程の中に「スピリチュアルケア」を

本郷久美子会長
 会長講演「スピリチュアルニーズを持つ人への看護診断――介入 全人的看護の中のスピリチュアルケア」で本郷氏は,スピリチュアリティは人間の真髄にかかわる言葉でありながら,訳語の限界もあり日本人の感覚としてわかりにくいものとなっていることを指摘。そういった現状はありながらも,1998年,スピリチュアリティが注目される一因となったWHO憲章の「健康」定義を見直す動きを機に,これ以降は国内外においてスピリチュアリティやスピリチュアルケアに関連する研究が増加傾向にあると分析し,これらの重要性が認識されつつあると述べた。

 また,核家族化の進行と高齢社会の確実な到来により,病院で死を迎える人が圧倒的に増えている現状において,患者のスピリチュアリティに寄り添い,人生の意味や希望を見いだすようなかかわりのできる看護職者が求められていると考察。自身の大学においてスピリチュアルケアの授業を設けた例を挙げながら,全人的に患者をみる上で欠かせないスピリチュアルケアについて,基礎教育の段階から準備をする必要性を強調した。

◆自身の「スピリチュアリティ」を考える

 『スピリチュアルケア 看護のための理論・研究・実践』(医学書院)の著者,エリザベス・ジョンストン・テイラー氏(ロマリンダ大)による招聘講演では,「看護におけるスピリチュアルケアの研究――個人および専門職のモチベーションを考察する」をテーマに,なぜ看護師の見地からスピリチュアリティを研究することが重要なのかが語られた。

 氏は,スピリチュアリティや信仰心が身体的well-beingや精神的well-beingに関連することを踏まえた上で,「ナースはwell-beingを促進させるために努力する者であるのならば,これらのwell-beingに関係する要因を知っておかなければならないし,自分の意見を持っているべきである」と述べた。また,内省的な洞察を行うきっかけにしてほしいとした上で,「自分のスピリチュアルな信条は,自分が行うスピリチュアルケアにどのように影響を与えているか。それは,ベッドサイドでどのように表れているか」「目先の仕事に気をとられ,患者との会話を避けてはいないか」など,参加者らに問いかけて講演を締めくくった。なおこの講演の翌日には,「スピリチュアル・アセスメント」をテーマに,前日の講演から一歩踏み込んで,二階層型アプローチによるスピリチュアル・アセスメントをテイラー氏が紹介。情報収集のための具体的な質問の仕方について注目が集まった。