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第2883号 2010年6月14日


MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


腹部のCT 第2版

平松 京一 監修
栗林 幸夫,谷本 伸弘,陣崎 雅弘 編

《評 者》大友 邦(東大大学院教授・放射線医学)

多様な臓器・病態を網羅した腹部領域CTに関する教科書

 古来中国で人間の内臓全体を言い表すために用いられた“五臓六腑”のうちの三臓五腑(肝・脾・腎と胆・小腸・胃・大腸・膀胱)が腹部にあることからも明らかなように,腹部の画像診断の最大の特徴は,多様な臓器が存在することにある。もちろん病態のスペクトラムも非常に広く,腫瘍,炎症,外傷,先天性疾患など極めて多岐にわたる。これらの特徴は“急性腹症”の鑑別診断に含まれる多数の病態に象徴されているとも考えられる。

 このような腹部の画像診断において,“最も頼りになる検査を一つ選ぶ”としたら,放射線科医に限らず臨床に携わっている方々の多くはCTを選択するはずである。とすると,当然“腹部領域のCT”に関する教科書の必要性は極めて高いことになる。またその教科書には,多様な臓器・病態を網羅することが求められる。

 このたび出版された『腹部のCT』(第2版)は,この高い必要性に応えるとともに,高いハードルを克服するために慶應義塾大学医学部放射線診断科およびその関連施設の方々が総力を挙げて取り組まれた成果である。2001年に刊行された初版をベースにして,画像を最新のものに差し替えるとともに,新たに「MDCT時代の3次元画像表示」「IVRとCT」の2章で,VR・MPR・仮想内視鏡・CT angiographyとIVR-CT・CTガイド下生検・ドレナージについて解説されている。もちろん,肝・胆<56CA>/胆管・膵・消化管にとどまらず,脾・副腎・腎・上部尿路/膀胱・前立腺・陰<56CA>・子宮・卵巣・腹膜腔・後腹膜/血管のそれぞれの臓器ごとに,多くの疾患について解説が加えられ,典型的あるいは非典型的な画像が提示されている。必要に応じてわかりやすい図表が掲載され,要点がBOX欄に網掛け・箇条書きで表示されている点は,読者への細かい配慮を感じさせる。

 教科書を作成することは容易な作業ではないが,いったん刊行された教科書を改訂するにはより多くの労力を要する。困難な作業に挑戦し第2版を完成させた栗林幸夫先生,谷本伸弘先生,陣崎雅弘先生をはじめとする執筆者の方々に心からの敬意を表するとともに,腹部領域のCT診断に携わるすべての方々に最適な教科書・参考書として本書を強く推薦する。

B5・頁626 定価13,650円(税5%込)MEDSI
http://www.medsi.co.jp/

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