医学界新聞

連載

2009.09.21

【Pictogram】

いのちを見守るコミュニケーションデザイン
――医療看護支援ピクトグラム

■飲み物編
 飲み物制限
 服薬時水分可/飲み物計量中

横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)


前回よりつづく

うちで飲んでいるいつもの番茶だよ。ほら,香りがそうでしょ。
本当だ。家の匂いがする。ほっとするなぁ。

 赤いラインは,飲み物に制限があることを示しています。ラインが1本入っただけで「制限」の意味が出てくるところなど,デザインってすごいなと思います。また,当初は水面が直線だったのですが,キャビネットや跳び箱にも見えてしまうということで波形ラインになりました。

 

 「飲み物制限」は飲み物の量だけではなく,種類も含みます。最近は,飲み物にもさまざまな種類があります。病気の方に対して少しでも栄養のあるものを摂取してほしいと,差し入れを持参される面会の方々は少なくありません。何か回復の役に立つものはないかと考えてのことです。患者さんにとってありがたいのはもちろんですが,私たち看護職にとっても非常に心強い存在です。

 ただ,用意していただいた物がその患者さんに合わないこともあるのは事実です。だからといって,「お見舞いには飲食物を持ってこないで」と決めつけてしまうのもどうかと思います。実際,口にできなくても好物の香りや色,形状で食思が湧くこともあります。

 「食べたい」「飲みたい」は患者さんの「元気になりたい」につながるものです。好物を持参しようと考えている面会の方々は,私たち看護職と同じ患者の支援者なのです。そのことを再認識して,ご家族や面会の方々へ上手に制限を伝えて,その制限内で患者さんの「元気になりたい」を維持できる支援を一緒にしていけたらと思います。

研究会のホームページ
http://www.lab.toho-u.ac.jp/project/kango/healthcare_pict/

ベッドまわりのサインづくり研究会(横井)
E-mail:care_pict@med.toho-u.ac.jp
電話:03-3762-9881(東邦大医学部看護学科代表)

医療看護支援ピクトグラム
(社団法人日本サインデザイン協会推奨)

つづく

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