第2回へき地・地域医療学会開催
2008.09.29
第2回へき地・地域医療学会開催
社団法人地域医療振興協会主催による第2回へき地・地域医療学会が,さる8月23-24日,海運ビル(東京都千代田区)を会場に開催された。先ごろ,厚労省から医学部定員の増員が発表されたが,この効果が表れるのはまだ少し先のこと。医師不足が特に深刻なへき地・地域で当面の危機をどう乗り越えていけばよいのだろうか。今学会の開催テーマは「地域医療崩壊――再生への道」とされ,現在各地でスタートしている地域で働く医師を育てるための卒前・卒後の教育的取り組みの検証を軸にプログラムが展開された。
開催テーマと同タイトルで2日目に実施されたシンポジウム(座長=山田隆司・同協会地域医療研究所長)では,地域医療に携わる各氏が再生への方策について論考を行った。このなかで阿部昌彦氏(江別市立病院)は12名の内科医全員の退職という事態を「専門分化した内科の“アポトーシス”」と捉え,総合診療科を病院機能の中核に衣替えし,教育の場としても活用することで乗り越えた経緯を紹介した。また近年,QOLをもじった新語QOML(Quality of My Life)を重視する若手医療者が急増しているといわれる。これに対し邉見公雄氏(赤穂市民病院,全国自治体病院協議会)はよい病院の条件のひとつは“働きたい病院”であると述べると同時に,地方勤務者への何らかのメリット付与も必要だと指摘した。真栄城優夫氏(ハワイ大卒業後臨床研修事業団)は現在の初期・後期研修の問題点について論考。現在の専門医制度は地域病院のニーズに無関心であるなどと指摘し,より幅の広い,地域に根ざした総合専門医の育成に向け,担当症例数や診療実績の評価の厳格化が必要であると述べた。
この後のパネルディスカッションでは,患者・地域住民に対する教育・啓発活動に向けた課題,認定制度創設論議がなされる「総合医」の定義づけや,地域の公立病院の運営主体の適格性などについて話し合われた。
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