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第2794号 2008年8月25日


中範囲理論はなぜ必要なのか
第14回日本看護診断学会の話題から


 第14回日本看護診断学会が7月5-6日,中木高夫会長(日赤看護大)のもと,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された。今大会のテーマは「看護診断をささえる中範囲理論」。「看護プロブレムを見抜くためには,その背景にある理論を知る必要がある」と述べた会長講演のほか,中範囲理論に関する教育講演や,臨床での活用についてのシンポジウム,今回新しい試みとして導入されたケース相談など,多彩なプログラムが組まれた。本紙では,2000-02年の北米看護診断学会(NANDA)の理事長であり,中範囲理論の活用・普及などによりNANDAの改革を牽引してきたケイ・C・アーヴァント氏(テキサス大サンアントニオ校)による招聘講演2題のもようを報告する。


 「看護実践のための知識の開発――中範囲理論と看護診断」では,“根拠に基づく実践”(EBP)と“実践に基づく根拠”(PBE),そして中範囲理論について,それぞれの関係性や役割が語られた。

 アーヴァント氏はまず基本的な前提として,看護診断は普遍的に有効であるために,理論的中立でなければならないと述べた。その上で,看護理論の構築は,解決する必要のある重要な問題を,自分たちの問題として内側から認識できる看護職によって行われるべきだと主張。そして,EBPとPBEの相互作用に触れ,「看護師は,自分の実践となぜそれを行ったのかについて,省察的であるべき」と説いた。

 さらに,看護診断はPBEの1つであり,新しい中範囲理論の源泉であると言及。中範囲理論からも看護診断を生み出せると説いた。そして,これらのサイクルがうまく機能することにより,看護専門用語や研究の促進・発展,ひいては看護実践を裏づける科学的根拠の生成につながると結論づけた。

研究成果から看護診断の開発につなげる

 「家族看護ケア領域のマッピング――看護診断の抱える問題点」では,アーヴァント氏の臨床専門領域である母児看護学にかかわる家族看護ケア領域の看護診断の問題点について語られた。家族にはさまざまな形態があり,それぞれ異なるニーズを持っているにもかかわらず,それらのニーズやプロブレムなど,家族看護の現象を捉えるための看護診断は十分でないという。

 これらの問題に対処するためには,まず家族看護領域を「ウィメンズ・ヘルス」「思春期保健」などいくつかの構成要素に分け,それらをさらに小さく分割する必要があると強調。そうすることで,根拠基盤としての看護研究を活用した新たな看護診断の開発が可能になると述べた。

 なお次回は,2009年6月27-28日,福岡国際会議場で山勢博彰会長(山口大大学院)のもと,「アセスメント能力を高める看護診断」をテーマに開催予定である。