総合リハビリテーション Vol.50 No.5
2022年 05月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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変形性関節症・変形性脊椎症の保存療法を究める

 ロコモティブ症候群に対する社会的関心も高まり,変形性関節症・変形性脊椎症の保存的療法が早期から積極的に導入される例,また超高齢化に伴い重度の変形性関節症・脊椎症を抱えながらも保存的に加療される例も増えています.保存療法で症状をコントロールすることや身体活動を保つことは本人の健康寿命の延伸や生活の質の向上のみでなく,社会的にも重要性を増していると考えられます.そこで本特集では,保存療法についての新しい知見や,臨床実践上の工夫などについて,ご解説いただきました.

変形性関節症・変形性脊椎症に対する包括的なアプローチ 矢吹 省司氏
 変形性関節症・変形性脊椎症は,関節痛や肩こり,腰背部痛など有症者率の高い症状の原因となっている.痛み治療には,薬物療法,心理療法,インターベンショナル治療,装具・物理療法などがあり,本稿では,運動療法,心理療法,集学的治療を解説した.運動療法は,慢性疼痛,腰痛に有用であるとそれぞれガイドラインで推奨されており,その疼痛軽減機序として, エンドカンナビノイド・システムなどのexercise-induced hypoalgesiaが考えられている.疼痛には心理的な要因も関与していることが多く,心理療法や認知行動療法も行われる.そして,これらを組み合わせた集学的治療はより効果が高いと期待され,推奨される.

変形性膝関節症・股関節症の運動療法 太田 進氏ら
 変形性膝関節症の運動療法では,下肢伸展挙上(straight leg raising:SLR)運動がコアとなる.また関節可動域を維持することも重要である.歩行時の膝関節内転(内反)モーメント(knee adduction moment:KAM)を減少させる歩行練習(toe—in gaitやドロ―イン歩行など)も変形性膝関節症の予防や治療に有用である.変形性股関節症の運動療法では,疼痛場面(深屈曲時か歩行時か)により,動的ストレス改善に必要な関節運動は異なるため,症状に合わせた可動域練習,筋力トレーニングを行う.手術を控えた症例では,術前に関節可動域や筋力を維持・改善させることが,術後機能の改善にも影響する.

変形性脊椎症の保存療法――運動療法と装具療法 木村 竜太氏ら
 変形性脊椎症に対しては,体幹筋力,特に背筋力の維持・強化を目的とする運動療法が推奨されている.腹臥位での等尺性運動の効果が報告されているが,立位・座位でも行うことができる.脊柱後弯のような脊柱変形の進行を予防し正常アラインメントを維持するためにも,背筋訓練や大腰筋・腹筋の筋力訓練が有効である.変形性脊椎症に対する装具としては,頸椎症における頸椎カラー,特に夜間カラー装着が頸椎症性神経根症に効果的と報告されている.腰痛のみの変形性腰椎症におけるコルセットや腰部固定帯の腰痛に対する有効性のエビデンスは低いとされるが,腰椎機能改善には有用な可能性があるとされ,臨床でもよく用いられており,今後のエビデンス構築が望まれる.

骨粗鬆症と変形性関節症の関係――地域住民コホートの追跡調査より 吉村 典子氏
 運動器疾患は要介護の原因になりやすく,その予防対策は喫緊の課題である.一次予防のためには有病率や発生率などの疫学指標を明らかにすることが必要であり,2005年より大規模住民コホート(Research on Osteoarthritis/ osteoporosis Against Disability:ROAD)スタディが開始された.そのベースライン調査によると,骨粗鬆症(大腿骨頸部の場合)の有病率は男性12.4%・女性26.5%であった.変形性膝関節症の有病率は男性42.6%・女性62.4%,変形性腰椎症は男性81.5%・女性65.5%であった.コホート調査により,腰椎・大腿骨頸部のいずれかに骨粗鬆症があった場合,他の部位に骨粗鬆症が生じてくるリスクが有意に高いことが示され,早期の治療介入の必要性が示唆された.

変形性関節症・変形性脊椎症に対する栄養療法――減量と栄養サポート 堀尾 佳子氏
 変形性関節症は,年齢が高くなるにつれ有病率が上がり,関節への直接的な負荷因子として肥満,関節外傷,過度な反復使用などが挙げられる.肥満患者に対して,疼痛軽減,身体機能向上のために体重コントロールを行う必要があるが,自己コントロールが必要となるため行動変容のための認知行動療法が有効である.栄養療法では,エネルギー摂取量を設定する.脂肪を1 kg減らすためには約7,000 kcalエネルギー収支を負にする必要があり,摂取量を減らすか活動量を増やす必要がある.脂質や炭水化物は控えるが,良質のたんぱく質を摂取すること,ビタミン,ミネラルを補充することは必要であり,適度な運動も取り入れる.個人の生活や性格に合わせた指導をするため,多職種で情報を共有し,連携することで確実な減量につなげられる可能性がある.

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特集 変形性関節症・変形性脊椎症の保存療法を究める

変形性関節症・変形性脊椎症に対する包括的なアプローチ
矢吹 省司

変形性膝関節症・股関節症の運動療法
太田 進,他

変形性脊椎症の保存療法――運動療法と装具療法
木村 竜太,他

骨粗鬆症と変形性関節症の関係――地域住民コホートの追跡調査より
吉村 典子

変形性関節症・変形性脊椎症に対する栄養療法―減量と栄養サポート
堀尾 佳子


●巻頭言
プロフェッショナルな人とは?
村山 明彦

●入門講座
住環境整備の基礎知識 ①
移動・移乗
鈴木 基恵

●実践講座
ケースレポート:神経筋疾患の在宅リハビリテーション ③
筋ジストロフィー
井上 貴美子

●症例報告
大脳基底核部ジャーミノーマによる上肢麻痺例への作業療法の経験
城之下 唯子,他

内反尖足凹足を有するCharcot‒Marie‒Tooth病
1症例の足部矯正術前後の歩行解析――前額面の変化を中心に
松尾 祐香,他

●第50巻記念 特別連載
「総合リハビリテーション」の50 年 ――印象に残った記事から読み解く ⑤
職業リハビリテーション・先天性筋ジストロフィー・脳性麻痺の加齢現象・言語療法士
上田 敏

●国際標準化機構(ISO)規格の動向 ⑤
福祉施設におけるISOの活用
鈴木 康之,他

●障害者の災害支援 ⑤
逆境に備えたresilient lifeの実現
清水 兼悦

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
渋沢栄一の『青淵回顧録』――高齢社会の予言的体現者
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「だれもが愛しいチャンピオン」――知的障害者の視座から人間と社会を批評する
二通 諭

●私の3冊
佐藤 ゆう子

●学会印象記
第5回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会
濱田 全紀

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