総合リハビリテーション Vol.50 No.3
2022年 03月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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脳卒中のリハビリテーション治療──新ガイドラインに基づく臨床実践

 脳卒中は,治療の選択肢が増えてそれぞれのエビデンスも確立し,2021年7月には,脳卒中治療ガイドラインが全面改訂され公表された.脳卒中・循環器病対策基本法の下での適正な実施体制の構築も進められ,リハビリテーション医療においても,新しい内科的・外科的治療法・体制に対応する,新しいリハビリテーション治療を取り入れることが必要となっている.そこで今回は,リハビリテーション医療の適切な実践につなげていくことをめざし,ガイドラインの改訂部分の紹介を中心にご紹介・ご解説いただいた.

脳卒中急性期血管内治療の進歩とリハビリテーションの実践 桑島 淳氏氏ら
 脳梗塞超急性期に推奨される機械的血栓回収療法について,治療適応時間や適応病態の拡大,ステント型脳血栓回収機器に加え血栓吸引カテーテルを用いたcontact aspirationにおける血管内治療の推奨などについて解説する.早期リハビリテーション治療に関しては,病型や治療方法を把握したうえで24~48時間以内に計画を立て安全に配慮して行う.特に,機械的血栓回収療法後は,24時間以内の高血圧がアウトカムを悪化させるため,血圧コントロールに留意が必要である.

脳卒中治療ガイドライン2021にみる再発予防・合併症管理 小川 太郎氏
 非心原性脳梗塞に対する抗血小板療法はこれまでと同様推奨され,抗血小板薬2剤併用に関しての記載などが追加された.脳出血に関しては,再発リスクが高い場合にはより厳しい血圧管理が求められるようになった.合併症については,脳卒中後痙攣について,虚血性・出血性にかかわらず,適切な診断ののち,抗てんかん薬の投与が勧められるようになった.亜急性期以降の服薬アドヒアランスを高く保つことも新たに推奨され,行動変容を促し維持させる,効果が高い介入が期待される.

運動障害・歩行障害に対するリハビリテーション治療の進歩と実践 中谷 知生氏
 脳卒中後の運動機能回復を目的としたリハビリテーション治療では,病態や機能などを評価しその予後予測に基づいてプログラム・計画を立てることが,旧版よりも強く推奨された.また,回復期リハビリテーション病棟からの退院時期の決定や,短下肢装具の作成時期などについても新たに記載された.運動障害に対しては,課題に特化した訓練・地域におけるグループでの有酸素運動が推奨され,歩行障害に関しては歩行補助機器や物療機器,装具を使用した報告が多く紹介されたので解説する.

上肢機能障害(肩を含む)・ADL障害・高次脳機能障害に対するリハビリテーション治療の進歩と実践 石垣 賢和氏
 脳卒中後の上肢機能障害に関しては,ロボットを用いた訓練,視覚刺激や運動イメージの早期を用いた訓練が新たに推奨された.ADL障害に対しては,姿勢保持能力や下肢運動機能の改善を目的とした訓練,さまざまな上肢訓練,反復性頭蓋磁気刺激や経頭蓋直流電気刺激・電気刺激療法,在宅リハビリテーションなど複数の方法が推奨された.高次脳機能障害に関しては,注意障害や認知機能障害に対する身体活動や有酸素運動の推奨が追加されている.

摂食嚥下障害・言語障害に対するリハビリテーション治療の進歩と実践 山路 千明氏
 摂食嚥下障害については,今回の改訂で練習の重要性が明示され,それぞれの方法についての推奨が示された.推奨されたなかから,頭部挙上練習および頸部の運動練習,舌の抵抗運動練習,呼吸筋練習,バルーン拡張法,咽頭筋電気刺激や反復性頭蓋磁気刺激および経頭蓋直流電気刺激について解説した.失語症に関しては,系統的な評価や言語聴覚訓練が旧版同様勧められている一方,構音障害に対しての練習のエビデンスは未だに低いままとなっている.

リハビリテーション治療の阻害因子に対する治療の進歩と実践 補永 薫氏
 脳卒中後の痙縮,疼痛,排尿障害,脳卒中後うつおよび精神障害に対するガイドラインについて解説した.痙縮に関しては,ボツリヌス毒素療法の推奨は旧版同様高く,亜急性期の実施も妥当とされた.疼痛に関しては,主に薬物療法が紹介されている.排尿障害については,残尿測定や尿流動態検査などで膀胱・尿道機能を評価することが推奨されている.脳卒中後うつおよび精神症状については,薬物療法と多職種による心理療法が勧められている.

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特集 脳卒中のリハビリテーション治療──新ガイドラインに基づく臨床実践

脳卒中急性期血管内治療の進歩とリハビリテーションの実践
桑島 淳氏,他

脳卒中治療ガイドライン2021にみる再発予防・合併症管理
小川 太郎

運動障害・歩行障害に対するリハビリテーション治療の進歩と実践
中谷 知生

上肢機能障害(肩を含む)・ADL障害・高次脳機能障害に対するリハビリテーション治療の進歩と実践
石垣 賢和

摂食嚥下障害・言語障害に対するリハビリテーション治療の進歩と実践
山路 千明

リハビリテーション治療の阻害因子に対する治療の進歩と実践
補永 薫


●創刊50周年記念 巻頭言
「総合リハビリテーション」50周年にあたって──リハビリテーション医学関連3雑誌に想う
木村 彰男

●入門講座
重症呼吸機能障害に対するリハビリテーション治療 ③
ECMO下の理学療法
増山 素道

●実践講座
ケースレポート:神経筋疾患の在宅リハビリテーション ①
筋萎縮性側索硬化症
堀田 富士子

●研究と報告
膝前十字靱帯再建術後のジャンプ着地動作における膝関節屈曲角度の変化と膝関節屈曲・伸展筋力との関係
池野 祐太郎,他

●調査
新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)による重症肺炎後の回復期リハビリテーション──運動時のバイタルサインと自覚症状の乖離に難渋した症例
梅澤 浩輝,他

●第50巻記念 特別連載
「総合リハビリテーション」の50年──印象に残った記事から読み解く ③
施設・脳性麻痺・リウマチ・国際障害者年
上田 敏

●国際標準化機構(ISO)規格の動向 ③
車椅子におけるISO の活用
森田智之

●障害者の災害支援 ③
災害時支援のための平時からの準備
冨岡正雄,他

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
玉置浩二の『田園』と『JUNK LAND』──ピア・カウンセリング的な歌
高橋 正雄

●映画に見るリハビリテーション
「グレタ ひとりぼっちの挑戦」──アスペルガー症候群に伏在する力が世界を変える
二通 諭

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