理学療法ジャーナル Vol.56 No.5
2022年 05月号

ISSN 0915-0552
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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 動作分析は理学療法の核をなす部分と言われるが,一方でいまだにスタンダードを見出せていないとも言える.今見ている動作は疾患の結果なのか,あるいは原因なのか,またそれは判別できるのか,周辺知識はどこまで必要なのか,といった基本から臨床応用までの特集である.理学療法士の視覚的評価と動作分析機器との融合や,歩行を含めた動作全般の成り立ちと疾患との関連性について取り上げた.各執筆者には,動画を参考資料としてご提供いただいた.理解を深める一助としたい.

動作分析の現状と問題点,今後期待されること 勝平純司
 視診による動作解析は個々の能力に大きく依存するが,計測機器を用いることでその差を埋めることができる.機器の発達により,以前よりも容易かつ手軽に動作分析を行うことができるようになってきている.本稿ではそうした現状を踏まえて問題点を整理し,今後期待されること,理学療法士に求められるスキルを解説する.

動作分析機器と入門 千代丸正志
 動作分析機器によって計測が可能な運動学・運動力学的指標は,動作や姿勢を分析するうえでの基準となる.本稿では動作分析に用いる機器や三次元動作解析装置を用いた計測の実際を解説する.動作分析機器は有用なツールであるが,観察で気づくことのない問題点を明らかにしてくれるわけではない.重要なのは臨床における動作分析能力であり,機器はその能力を高めるツールに過ぎない点を理解して用いることが不可欠である.

動作分析に必要な知識と技術 畠中泰彦
 動作の異常を観察,分析し,治療に活かすには,観察・記述の技術と,「動きと力の関係」,「正常動作のメカニズム」の知識が必要である.観察を安全かつ効率的に進めるには,あらかじめ手順を決めておくことが重要である.患者は「痛みなく」,「楽に」を優先して動作する.その結果が動作の異常と代償である.メカニズムを理解するうえで,複数の動作を比較,介入による変化を分析し,臨床推論を証明する.

脳卒中片麻痺者の動作分析―起立動作 本島直之,他
 脳血管リハビリテーションにおいて介入頻度の高い起立動作について,運動学・運動力学的観点からその特徴を解説した.麻痺が重度で起立動作に難渋する脳卒中片麻痺者と麻痺が軽度な片麻痺者との比較から,骨盤前傾を伴う胸郭前傾や股関節屈曲モーメントが起立達成に重要であることを提示した.また,片麻痺者特有に生じる非対称性について先行研究を整理した.これらに基づき,起立動作に難渋する片麻痺者の起立達成のため効果的な高座位でのアプローチを提案した.

脳卒中片麻痺者の動作分析―歩行開始 長田悠路
 脳卒中片麻痺患者が安定して歩行開始するためには,一歩目の足を出す前の準備的な活動と,一歩目の足の出し方を分析する必要がある.準備的な活動はcenter of pressure の動き(逆応答)から分析し,一歩目の出し方という点では麻痺足・非麻痺足,どちらの足から歩き始めるかによって生じる運動学的な違いを検証した.結論として非麻痺足を先行肢としたほうが準備的な活動もその後の姿勢の対称性も良好である.

脳卒中片麻痺者の動作分析―上肢運動 藤澤祐基,他
 本稿では,脳卒中片麻痺の麻痺手書字動作分析を通じて得られた知見を紹介し,片麻痺の上肢運動の特徴を「習熟運動の多関節運動制御」の観点から概説する.リハビリテーションにおいては麻痺そのものの機能回復と運動戦略の変更による見せかけの回復を分けて考えることが必要であり,片麻痺の上肢機能の何を改善させるのかという視点をもつことが重要である.

変形性股関節症患者の動作分析──メカニカルストレスの集中・分散・回避の観点から 建内宏重
 運動器疾患における疾患や症状の発症・悪化には,局所へのメカニカルストレスの関与が大きい.したがって,動作分析においても,患部へのメカニカルストレスの集中・分散・回避の観点から動作を理解し分類することが必要である.本稿では,股関節疾患患者を想定し,股関節運動や荷重位での動作における動作観察・分析のポイントを紹介する.

変形性膝関節症患者の動作分析 德田一貫,他
 変形性膝関節症患者の動作分析に基づく理学療法では,異常動作が膝関節の病態や症状に由来する場合と膝関節以外の全身機能が原因で膝関節にメカニカルストレスが加わる場合を判別してアプローチする必要がある.例として,降段動作時に膝関節痛を訴える変形性膝関節症患者の動作分析を行った.膝関節機能に加え股関節や体幹機能が及ぼす影響を考慮して問題点の抽出を行い,理学療法を行うことが重要である.

日常生活にかかわる動作分析 藤澤宏幸
 動作を観察して分析することは,理学療法士にとって重要な評価の一つであることに間違いない.観察によって関節運動と重心軌道の関係性を整理しながら,正常からの逸脱を明確にし,重力トルクとの関係性から筋トルク(筋活動)を推定することが求められる.本論文では日常動作分析について,定型性からの逸脱に着目し,分析を進める方法について症例を通して紹介する.

筋骨格シミュレーション解析 小栢進也
 筋骨格シミュレーション解析は身体動作中の筋張力や関節間力を算出するものである.筋骨格モデル解析はモーメントアームや筋長から筋が発揮する力を算出し,力を発揮していない筋の特定や関節間力の推定ができる.また,足関節筋による膝関節への影響など,多関節運動における筋機能が明確となる.筋骨格シミュレーション解析は動作分析を数値化することで根拠のある治療を理学療法にもたらす.

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特集 動作分析と臨床のマッチング

動作分析の現状と問題点,今後期待されること
勝平純司

動作分析機器と入門
千代丸正志

動作分析に必要な知識と技術
畠中泰彦

脳卒中片麻痺者の動作分析──起立動作
本島直之,他

脳卒中片麻痺者の動作分析──歩行開始
長田悠路

脳卒中片麻痺者の動作分析──上肢運動
藤澤祐基,他

変形性股関節症患者の動作分析──メカニカルストレスの集中・分散・回避の観点から
建内宏重

変形性膝関節症患者の動作分析
德田一貫,他

日常生活にかかわる動作分析
藤澤宏幸

筋骨格シミュレーション解析
小栢進也


■Close-up 立ち振る舞いのスキルを磨く
素敵なコミュニケーション──折衷案を導けるか
江田麻裕子

怒りのコントロール──アンガーマネジメントを中心として
大矢 薫

アドバンス・ケア・プランニング
角田ますみ


●とびら
「医療現場」の外から
戸田莉恵

●画像評価──何を読み取る? どう活かす? 5
変形性膝関節症──膝蓋大腿関節
森口晃一

●スポーツ外傷・障害の予防 5
腰椎分離症
高橋 塁

●理学療法のスタート──こうやってみよう,こう考えていこう 5
評価の技術を活かすために
・準備と検査の段取りの組み方
・説明・姿勢変換・運動のタイミングのコツ
植野 拓

●原著
主観的伸張感で実施時間を設定した静的ストレッチングの有効性──ランダム化クロスオーバー試験による検討
清野浩希,他

●報告
臨床および教育現場で実践されているウィメンズヘルス理学療法の実態
渡邉観世子,他

パーキンソン病とその関連疾患における日本語版Characterizing Freezing of Gait Questionnaire の尺度特性の検討
近藤夕騎,他

●My Current Favorite
ロボットを活かして広げる理学療法
増田知子

●私のターニングポイント
自分と理学療法士としての成長の重なり
池田耕二

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