理学療法ジャーナル Vol.56 No.3
2022年 03月号

ISSN 0915-0552
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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筋――理学療法士の視点から捉える

 筋力は日常生活に必要不可欠であり,これまでさまざまな評価方法や筋力を増加させる方法が研究されてきた.これまでは量的に捉える方法が主であったが,近年では研究の進歩により,新たな質的評価や従来禁忌とされてきた疾患への適応の拡大,その他のデバイスとの併用などが行われるようになっている.本特集では,各テーマにおける最新の根拠とその臨床応用について整理する.

筋力の量的評価 嶋田誠一郎
 筋力評価は今も昔も理学療法士にとって必要不可欠な手段である.これまで理学療法の臨床で行われてきた筋力の評価方法として,徒手筋力検査法(Manual Muscle Testing:MMT),等張性による最大反復測定(repetition maximum:RM),等速性運動機器,ハンドヘルドダイナモメーター(hand held dynamometer:HHD)に代表される等尺性筋力測定機器が挙げられる.理学療法の場面で行われている量的な筋力評価の実際をその変遷を交えて概説した.

超音波画像診断装置を用いた筋の質的評価 工藤慎太郎,他
 筋機能を発揮するための性質の評価を“質的”評価と捉えて,筋の構造を踏まえた最新の筋の質的評価の臨床応用を概説する.超音波画像診断装置で観察できる筋の最小単位は筋束であり,その滑走性を評価することが可能である.また,近年,筋の周囲の疎性結合組織や脂肪組織が筋の硬度にとって重要である.これら個別の筋硬度の定量化も臨床応用が可能になってきている.

表面筋電図を用いた筋の質的評価 加藤 浩
 筋の質的評価の一つとして,高速フーリエ変換を用いた表面筋電図周波数パワースペクトル解析が知られている.しかし,この手法は静的評価(等尺性収縮の筋活動評価)が中心であり,動的評価(ADL などの等張性収縮の筋活動評価)には適さなかった.そこで,この問題を解決するための新しい手法としてwavelet変換を用いた時間・周波数解析について解説した.そして,股関節疾患患者の中殿筋を例に歩行時の質的特性(周波数パワースペクトル特性)と組織形態学的特性(中殿筋typeⅡ線維の線維径)の関連性について述べた.

高齢者と筋力 池添冬芽
 健康寿命の延伸を図るためには,高齢者の筋力維持向上に対する積極的な対策を講じることが重要である.理学療法士にとって,高齢者の筋力評価や筋力トレーニングの処方をするための知識・技術は必要不可欠である.本稿では高齢者における筋力の特徴や加齢に伴う筋力低下のメカニズム,筋力とフレイル・ロコモティブシンドロームとの関連について紹介し,高齢者の筋力を理解するうえで大切な視点について述べる.

脳血管障害と筋力 下瀬良太,他
 痙縮は脳血管障害患者の多くに認められ,主に神経性の要因に由来する病態である.痙縮を伴う筋に対する標準的な筋力測定法はなく,一般的に行っている等尺性筋力測定や等速性筋力測定で定量的に評価することが有効である.痙縮を伴う筋に対して,筋力トレーニングを行うことで痙縮が増悪することはなく,筋力の改善が見込まれる.その際に,高強度で多関節に対する動的運動を行うことでより高い効果が得られる.

パーキンソン病および類縁疾患と筋力 清水裕斗,他
 パーキンソン病における筋力低下は重要な臨床症状の一つであり,ADLや転倒に及ぼす影響の大きさから理学療法に求められる役割は大きい.パーキンソン病では運動計画を行う運動皮質から緊張力発揮を行う筋線維レベルまで,随意運動の経路のあらゆる段階で障害が生じる.さらに加齢性要因が重畳するため筋力低下の要因を臨床的に明らかすることは容易ではない.パーキンソン病の筋力低下を適切に評価するためには,筋力発揮特性を踏まえ,可能な限り関連要因を網羅的に捉えることが必要になる.本稿では,自験例を交え筋力評価の臨床的な留意点,評価アルゴリズム(試案),筋力低下に対する介入についてそれぞれ提示する.

脳性麻痺に対する筋力の捉え方 馬屋原康高
 脳性麻痺における筋の特性として,正常発達児と比較し筋の構造的や神経学的な変化を呈することが知られている.また,一定条件のもとでの筋力トレーニングが筋力を増強させることや歩容を改善し得ることが報告されているが,筋の構造的・神経学特性に及ぼす影響についてはまだ不明な点が多い.また,適応や運動の種類や頻度,強度,そして長期的な視点で二次障害に与える影響についても明らかにする必要がある.

反復末梢神経磁気刺激による筋力増強 藤田 寛,他
 従来,積極的な運動療法が行えない患者を対象として電気刺激による筋力増強が行われてきたが,疼痛や電極貼付の手間が課題であった.近年,これらの問題を解決する磁気刺激を用いた末梢の神経筋刺激が注目されている. 磁気刺激は,疼痛をほとんど感じることなく強い筋収縮を誘発できることから,今後の臨床活用が期待される.本稿では,反復末梢神経磁気刺激の理論的背景や筋力増強効果について概説する.

筋力と日常生活活動 山﨑裕司,他
 筋力と動作能力の関係は,ある筋力閾値を境として急激に変化する.ある閾値以上では,筋力の大小は動作能力に影響を与えないが,それを下回ると筋力低下に従って動作困難者が増加する.さらに筋力が低下するとある閾値を境として動作は不可能となる.同等の筋力水準でも,立位バランスが不良であれば動作障害は出現しやすい.筋力に立位バランスの要素を加味することでより正確な歩行能力の判別が可能となる.

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筋力の量的評価
嶋田誠一郎

超音波画像診断装置を用いた筋の質的評価
工藤慎太郎,他

表面筋電図を用いた筋の質的評価
加藤 浩

高齢者と筋力
池添冬芽

脳血管障害と筋力
下瀬良太,他

パーキンソン病および類縁疾患と筋力
清水裕斗,他

脳性麻痺に対する筋力の捉え方
馬屋原康高

反復末梢神経磁気刺激による筋力増強
藤田 寛,他

筋力と日常生活活動
山﨑裕司,他


■Close-up
痙縮
正門由久


●とびら
ストロマトライトの独り言
飯田有輝

●画像評価――何を読み取る? どう活かす?・3
人工股関節全置換術
川端悠士

●スポーツ外傷・障害の予防・3
シンスプリント
中宿伸哉

●理学療法のスタート――こうやってみよう,こう考えていこう・3
・さわる・みる・つたえる――理学療法士の仕事
・うまくいかない経験もリアルなのです
永冨史子

●臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習――「ただ見ているだけ」にならないように! 最終回
在宅
阿部将之

●報告
少年野球選手の肩関節可動域の経時的変化――縦断研究
桑原基宏,他

●症例報告
外傷性肩関節後方不安定症に対する後方Bankart修復術後のリハビリテーション
辰田明紀,他

●ひろば
教育への挑戦――第二の人生に向けて
神戸晃男

●私のターニングポイント
環境と仲間に感謝
磯 あすか

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