medicina Vol.58 No.4
2021年 04月号(増刊号)

ISSN 0025-7699
定価 6,050円 (本体5,500円+税)

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実臨床で陥りやすい悪手を知り,好手を学べる一冊
書評者:仲田 和正(西伊豆健育会病院院長)

 今回この本の冒頭の「脳梗塞mimicsを見逃さない!」(p.14)を読んであまりの面白さに引きずられて全て読了してしまいました。通常,GCSのEとVは「E1V1」「E1V2」のように同じくらいの数値のはずであり,Eが良いのにVがガクンと悪かったらそれは失語だというのです。EとVが同じくらいの数字だというのには今まで気が付きませんでした。また「脳梗塞患者の収縮期血圧は140 mmHg以上が多く,低かったら違和感を持ち大動脈解離(右内頸動脈が障害されやすいので左麻痺になる)の可能性を考えよ」というのも真にクリニカルパールです。

 その他にも,「急性膵炎」の項(p.160)で紹介されている「高山の圧痛点」(剣状突起とへそを結ぶ中点から左側にある点を正中へ押したときの圧痛)や「Mallet-Guy徴候」(右側臥位にして膵臓以外の臓器を右側腹部に移動させ,心窩部から左上腹部を触診して圧痛を見る)についても全く知りませんでした。「急性腎障害」の項(p.190)では,尿管結石が尿管膀胱移行部にあるとき,カラードップラーを膀胱越しに当てると「twinkle sign」が見られることが紹介されています。これは,ザラザラした物質の場合,石の後方が虹色に輝くというものです。今まで尿管結石では水腎症しか確認しておらず,結石にカラードップラーを当てるなんて思いつきませんでした。また,カラードップラーでは尿が尿管から膀胱に出てくるジェットを確認できます。

 今回,数多くの学びがありせっせと私の虎の巻に書き写しました。これで一つ賢くなったと余韻に浸っております。なぜ,本書にこんなに引き付けられたのだろうと考えてみました。まずその切り口にあります。一つの疾患を網羅的,教科書的に解説するのでなく,実臨床でありがちな陥りやすい悪手の例を挙げ,そして好手を解説しています。自分が今まで行ってきた悪手を振り返り,悔い改めることができました。

 著者の多くが,救急診療や総合診療に従事されている先生方で,実臨床に悩みもがきながら会得されたコツを披露して下さっています。色々な人に話を聞いてみるものだとつくづく思いました。また独断に陥ることなくさまざまなRCT(randomized control trial)からその根拠が示されています。

 デカルトが「大勢の著者の共著でできた本は,単独著者の本よりもたいてい劣る」と言いましたが,この本は共著が成功した好例です。

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

■中枢神経系
くも膜下出血
いつもと違う頭痛を見逃すな!
青木 信也

脳梗塞
脳梗塞mimicsを見逃さない!
杉田 陽一郎

一過性脳虚血発作
迅速な診断,治療開始で脳梗塞発症を予防せよ!
橋元 由紀子・堤 健

可逆性脳血管攣縮症候群
時間軸を味方につけた診療を!
松原 知康

静脈洞血栓症,椎骨・内頸動脈解離
疑って,みつけ出せ!
北井 勇也

髄膜炎,脳炎
腰椎穿刺をためらうな!
仁平 敬士

軽症頭部外傷
頭部CTを撮影して安心するな!
坂本 壮

慢性硬膜下血腫
頻度は高いがつかみどころがなく,意外に診断が難しい疾患
藤森 大輔・坂本 壮

てんかん
発作時は,迅速な鎮火と丁寧な現場検証を行う
音成 秀一郎

Guillain-Barré症候群
GBSを否定する際はご用心!
栗原 健

片頭痛
らしさを正しく見積もり,トリプタンの適正使用を!
松原 知康

■循環器系
急性冠症候群
鑑別診断を考えながら,予後を改善する治療を優先する
戴 哲皓・水野 篤

急性大動脈解離
胸痛がないから否定的? 非典型例を見逃すな!
中島 聡志

肺血栓塞栓症
ガイドラインに則り,適切に診断しよう
大前 奈菜・髙橋 仁

失神
心原性失神のリスク層別化を怠るな!
堀江 勝博・清水 真人

心房細動,上室性頻拍
救急外来から患者に寄り添う不整脈治療を始めよう
井上 敦人・溝辺 倫子

急性心不全
適切に初期評価,迅速に治療開始,タイムリミットは1時間!
戴 哲皓・水野 篤

腹部大動脈瘤切迫破裂
困ったときの三日月探し
磯矢 嵩亮・舩越 拓

■呼吸器系
市中肺炎
COVID-19流行期でも正しく恐れてより良い診療を目指す
黒田 浩一

誤嚥性肺炎,誤嚥性肺臓炎
誤嚥性肺炎に絶食,抗菌薬だけで終わらせない!
大浦 誠

気管支喘息
アクションプランで救急外来受診を減らそう!
倉原 優

気胸
「気胸⇒ドレナージチューブ挿入」の手順にもピットフォールが…
長尾 大志

COPD増悪
心不全がまぎれているかもしれない!
倉原 優

急性喉頭蓋炎
喉を激しく痛がっていたら非常事態!
坂本 壮

■消化器系
消化管出血
全身管理とともに,適切なタイミングでの内視鏡治療を!
村島 侑子・清水 真人

麻痺性イレウス,腸閉塞
日暮れまで待つな! 朝まで待つな!
橋本 恵太郎

憩室炎,憩室出血
軽症に適切に対応し,隠れている重症を見逃さない
徳田 嘉仁

虚血性腸炎
絶対に原因検索を忘れてはいけない!
柏木 克仁・佐々木 陽典

虫垂炎
救急で見逃さないための戦略
野溝 崇史・和足 孝之

感染性腸炎
「急性胃腸炎」の診断は誤診の王様
野溝 崇史・和足 孝之

非閉塞性腸管虚血(NOMI),上腸間膜動脈(SMA)閉塞
腸間膜虚血の病態把握と即座の画像検査を!
原田 拓

急性胆囊炎
速やかな重症度判定と外科医へのコンサルトが要!
中野 弘康

急性胆管炎
胆道ドレナージに関するコンサルトのタイミングを逃すな!
中野 弘康

急性膵炎
初期の輸液を怠るな!
中野 弘康

腹膜炎(消化管穿孔)
原因の見極めを怠るな!
坂上谷 侑・小坂 鎮太郎

■内分泌系
低血糖
血糖補正だけで終わりじゃない!
糟谷 智史

高血糖緊急症
インスリン投与の前に必ず輸液! K check!
糟谷 智史

甲状腺緊急症
稀な病態に適切に対応し,専門医に引き継げるように!
大塚 勇輝・大塚 文男

副腎不全
原因不明のショックを診たら積極的に疑う!
森川 暢

■腎・泌尿器系
急性腎障害
救急外来で「疑って,みつけて,初期治療!」
日下 伸明

尿管結石
「痛みの王様」を診断から予防まで正しくマネジメント!
中村 聡志・坂本 壮

高K血症
頻度が高く緊急性も高い! 迅速に対応しよう! 
白神 真乃

低K血症
放っておくと大惨事! 補正のタイミングを見逃すな!
松井 大知・安藤 裕貴

低Na血症
原因検索とその原因に基づいた対応を!
藤井 真

高Ca血症
探せ,みつけろ,高Ca!
麥倉 慎・安藤 裕貴

横紋筋融解症
腎障害を予防せよ!
長谷部 圭亮・坂本 壮

尿閉
対症療法で終わらせない!
天野 雅之

■感染症
敗血症
qSOFAよりも大切なこと
坂本 壮

尿路感染症
診断・治療には総合力が試される!
古谷 賢人・伊東 直哉

皮膚軟部組織感染症
皮膚所見だけでは診断できない!?
古谷 賢人・伊東 直哉

急性中耳炎
適切な診断と抗菌薬選択をせよ!
鋪野 紀好

急性副鼻腔炎
適切な抗菌薬を選択せよ!
鋪野 紀好

HIV感染症,伝染性単核球症
性交渉歴と先を見据えた診療を大切に!
宮上 泰樹

結核
疑うべき患者,サインを見逃すな!
根本 隆章

インフルエンザ
「疑ったら,全員に迅速抗原検査をして抗インフルエンザ薬…」はダメ!
織田 錬太郎

COVID-19
感染防御の手をゆるめるな!
川村 繭子・川村 隆之・岡 秀昭

破傷風
誤認・誤解されやすいvaccine-preventable disease
鈴木 智晴

■その他
アナフィラキシー
アドレナリンのタイミングを逃すな!
坂本 壮

急性アルコール中毒,アルコール関連疾患
100人に1人の重症患者を見逃さない!
宮本 雄気

一酸化炭素中毒
意外と知らない診断プロセスと治療法を見直そう
薬師寺 泰匡

熱中症
疾患の鑑別よりも救急対応を優先せよ!
神田 潤

偶発性低体温症
患者を動かすときは愛護的に,そして先手をうつ!
山田 浩平

異物誤飲
いつ,何を誤飲したかが重要!
栗原 健

蕁麻疹
点滴1本で帰していませんか?
山本 洋輔

パニック障害
適切に診断し,精神科に紹介するタイミングを逃さない!
小野 正博

急性薬物中毒
対応はABCDE!
薬師寺 泰匡

過換気症候群
ペーパーバッグ法での低酸素に注意!
重松 咲智子・久村 正樹

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