特集 初診・救急外来で出合う 精神疾患と間違えやすい内科疾患
ISSN | 2188-8051 |
---|---|
定価 | 2,860円 (本体2,600円+税) |
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- Editorial
- 収録内容
Editorial
開く
陰性感情を超えて 精神症状に潜む身体疾患
山中克郎先生や上條吉人先生に初めてお会いしたのは医学生の頃でした。“こんな先生のようになりたい”と思い、多摩総合医療センターでの初期研修時代には、山中先生の『UCSFに学ぶ できる内科医への近道』や『外来を愉しむ 攻める問診』をボロボロになるまで読み込み、上條先生の『臨床中毒学』を携えて救命救急センターに常駐しました。精神科に進みながらも、リエゾンを専門としたのは必然だったかもしれません。
月日が流れ、そんな憧れの山中先生から共同編集のお誘いを受け、「私がこの先生から学びたい」という執筆者の皆さまをご紹介させていただきました。実際原稿を拝見し、それぞれの先生から学べることは想像以上に多く、役得でした!
No health without mental health(Lancet, 2007)であり、かつ No mental health without physical health(Lancet Psychiatry,2023)です。精神症状に出合ったときに、併存するあるいは背景に潜む身体疾患をケアできることは、総合診療医の大きな強みではないでしょうか。
現代はYouTubeなどの動画やChatGPTなどの生成AIで効率的に情報収集することができ、それらを使いこなすスキルももちろん重要です。その一方で、丁寧に推敲された原稿を一文一文読み込むことで病態理解の解像度を高め、臨床実践に反映し続けることもまた大切だと思います。読者の先生方が、精神症状を伴う身体疾患の患者さんをさらにたくさん診療・支援してくださる一助になれば幸いです。
田宗秀隆(順天堂大学医学部精神医学講座)
救急車やウォークインで来院される数多くの患者さんを受け入れる忙しい救急室に勤務していると、精神疾患を疑う患者さんが来院したときに陰性感情が働いてしまうことがあります。「面倒だなぁ。早く救急室から出て行ってほしい」という感情です。正直に申し上げると、私も何度かこのような状況に陥りました。
しかしながら、このような時こそ要注意なのです。急性あるいは亜急性に発症した精神症状は、その背後に重大な内科疾患が潜んでいることがよくあります。合理的な理由をつけて、無理に帰宅させてしまった患者がその後に急変することがあります。
今回の特集では、そのような精神疾患と間違いやすい精神症状を呈した内科疾患について、臨床経験が豊富な方々に執筆していただきました。救急医、精神科医、産婦人科医、小児科医、内科医の立場からはどのようにこれらの疾患が描写されるのでしょうか。こんな症例もあるのかと知っていれば、心に余裕ができます。忙しい救急室でも落ち着いて鑑別診断を考え、診断に必要な検査を慎重にオーダーすることが可能です。
本特集の企画立案に際しては総合診療に関心がある精神科医、田宗秀隆先生に相談しました。田宗先生は学生向け勉強会からずっと交流がある私のメンティーです。豊富な交流関係から、たくさんの執筆者を紹介してくれました。メンティーは成長とともに、メンターも指導してくれるようになります。それは医学教育の最も素晴らしい宝物の1つです。
山中克郎(諏訪中央病院総合診療科/救急・集中治療科)
収録内容
開く
医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 初診・救急外来で出合う 精神疾患と間違えやすい内科疾患
企画:田宗秀隆|山中克郎
■総論 鼎談
精神症状の陰に潜む重要な内科疾患をどうすれば見つけることができるか
上條吉人|田宗秀隆|山中克郎(司会)
■各論
Case1 徹夜で試験勉強を頑張りすぎた22歳の男性
小原佐衣子|千葉拓世
Case2 鎮咳薬内服後から発熱、意識障害となったうつ病治療中の60歳女性
中嶋彩和子|原田 拓
Case3 夜中にやってきたワガママな8歳男児
小林揚子
Case4 妊娠初期の歩行困難と無気力で脳梗塞と周産期うつ病が疑われた症例
柴田綾子
Case5 見えないものを可視化する──足のつっぱりを通じて
森島 亮
Case6 心は叫び、身体は囁く
小澤廣記
Case7 不可解な脱力発作で陸上競技のタイムが落ちてしまった17歳男性
鹿野泰寛
Case8 スイッチが入ったように怒り出す認知症の高齢男性
司馬 熙
Case9 けいれんの精査目的で入院後に敗血症が疑われ、ロラゼパムで寛解した50代男性
赤澤佳香|久村正樹
Case10 動悸・胸痛・尿意で中途覚醒する70代男性
佐藤瑠璃香|横川大樹
今月の「めざせ!総合診療専門医!」問題
●Editorial
陰性感情を超えて──精神症状に潜む身体疾患
田宗秀隆|山中克郎
●日常診療で出会う “おとなの発達障害”|明日から使える身体症状に対する問診と診断アプローチ|3
倦怠感を主訴に受診した成人男性
廣田智也
●臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン|22
「オカン、それ指導医やないかい!?」~指導医のコンピテンシーは何か~
木村武司|佐田竜一|長野広之
●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|59
相談することの大切さ
齋藤昭彦
●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|98
“発熱+下腿の発赤”をみたら
當山磨貴子|知花なおみ|佐藤直行、他(監修)
●ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学|24
実践基本編④──慢性心不全
森田沙斗武
●構造式で語る医学|薬物の交差反応や意外な副作用を学ぼう!|3
セファロスポリンとモノバクタム
上田剛士
●What's your diagnosis?|267
場違いなお坊さん
澤田直輝|猪飼浩樹|亀山 隆
●臨床医のためのライフハック|限りある時間を有効に使う仕事術|24
臨床医2.0──AI活用とキャリア創造で切り拓く医療の未来
中島 啓
●投稿 GM Clinical Pictures
右上腹部の膨隆
鈴木萌香|伊藤聖学|大河原 晋|宮澤晴久|平井啓之|森下義幸