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NANDA-I看護診断 定義と分類 2018-2020 原書第11版

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NANDAインターナショナルで承認された看護診断を収めたハンドブック。17の新しい看護診断を追加、72の看護診断が改訂されたほか、各診断に「ハイリスク群」「関連する状態」が新設され、より診断の精度が高まる形に変更された。臨床推論やNANDA-I看護診断に関するよくある質問と回答(FAQ)などの解説もさらに充実。臨床でのレファレンスに、また看護診断の学習に役立つナース必携の書。
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原書編集 T. ヘザー・ハードマン / 上鶴 重美
上鶴 重美
発行 2018年02月判型:A5変頁:616
ISBN 978-4-260-03443-2
定価 3,300円 (本体3,000円+税)
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 看護師には患者やその家族に対して独自に診断し治療する「何か」があり,それは医学診断とは違う──米国で看護師や看護教員たちがこのことに気づいたのは,1970年代初めのことでした。この優れた洞察力が,看護診断用語への扉を開き,現在はNANDAインターナショナル(NANDA-I)として知られている,学術団体の設立にもつながっていきました。医師に医学診断があるように,看護師にも「何か」が必要です。「何か」によって,臨床では全人的視点の実践が記録できるようになり,教育では学生が独自の知識体系を習得できるようになり,さらには看護学の発展に向けた研究に必要なデータの収集や分析もできるようになるからです。この40年あまりの間に,「看護診断」というアイデアは,専門的な知識に基づく自立した実践を探し求めていた世界中の看護師にひらめきを与え,また勇気づけてもきました。

 北米以外に住む看護師は,最初の頃,NANDA-I用語を使うだけだったかもしれません。しかし現在,用語の開発と洗練は,世界規模で取り組まないことには進みません。実際,この改訂サイクルで受け付けた新たな看護診断の提案は,北米以外の国々から多く寄せられています。また本当の意味で,組織としても国際的になりました。今では,北米・中南米,ヨーロッパ,アジアに住む会員が,委員会で活発に活動し,委員長としてリーダーシップも発揮していますし,理事会役員として組織運営も担っています。アジアの小さな国から,母語が英語ではないNANDA-I理事長が2016年に誕生することなど,本当に誰が想像できたでしょうか。

 本書『NANDA-I看護診断 定義と分類 2018-2020年 原書第11版』では,新たに17の看護診断を追加し,全部で244の看護診断を提供しています。それぞれの看護診断は,1人ないし複数のNANDA-Iボランティアから提案されたもので,確かな科学的根拠に基づいています。さらには,最終的に採択を決定するNANDA-I会員の投票前に,診断開発委員会(Diagnosis Development Committee:DDC)が,看護診断1つひとつについて討論し,洗練作業も行っています。しかし,NANDA-I会員が承認したといっても,これらの看護診断は「完成品」ではありませんし,あらゆる国のすべての臨床領域で「使用可能」であることを意味しているわけでもありません。ご承知のように,看護実践や看護にかかわる規制は,国によって随分と違うからです。本書で新しい看護診断を発表するのは,あくまでも妥当性を検証するさらなる研究を世界各地で促すためであり,より高いレベルのエビデンスに到達することを願っているからです。

 新しい看護診断の提案を,私たちは常に歓迎します。それと同時に,既にある看護診断については,最新のエビデンスを反映させるような洗練作業も必要です。本書の準備にあたり,既存の看護診断が抱えている根本的な問題を浮き彫りにしようと,私たちは大胆な手段を講じました。注目し,また注意もしていただきたいのですが,70以上の看護診断に,エビデンスレベル(Level of Evidence:LOE)がありません。つまり,エビデンスレベルを導入した2002年以降に,これらの看護診断では大きな改訂が一度も行われていないのです。また,看護診断が表わしている問題を効果的に治療するうえでは,関連因子や危険因子がカギを握っています。ところが,関連因子や危険因子を「ハイリスク群」と「関連する状態」(看護師が独自に治療できない事柄)に振り分けてみたところ,本来の関連因子や危険因子が皆無になってしまった看護診断もあります。

 NANDA-I用語集は20以上の異なる言語に翻訳されています。抽象的な英語表現を他の言語に翻訳する際には,イライラがつきものです。私の場合,英語から日本語への翻訳中に壁にぶつかると,オランダ語の解剖学の教科書を,辞書も持たずに日本語に翻訳したという18世紀の学者たちの話を思い出します。たった1ページの翻訳に,1か月も費やしたことがあったそうです。現在は辞書があり,自動翻訳システムさえありますが,診断名や診断手がかり用語の翻訳は,そう簡単にはいきません。一語一語の逐語訳ではなく,概念をふまえて翻訳しなくてはならないのですが,そのためには翻訳者が概念のもつ意味を正確に理解していなければなりません。オリジナルの英語が抽象的だったり,定義が大雑把だったりすると,概念を正確に翻訳できなくなってしまいます。しかし,オリジナルの英語表現をほんの少し修正するだけで,翻訳者への負担が軽くなると,ここ何年かの間にわかってきました。ですから,皆さんからいただくご意見やフィードバックによって,私たちの用語集は,もっと翻訳しやすくなりますし,英語表現の精度の向上にもつながります。

 この版から,私たちは3社の出版パートナーを迎えました。ポルトガル語版の出版はブラジルのGroupoAと,主なアジア市場は日本の医学書院と直接的なパートナーシップを結んでいます。オリジナルの英語版や他の地域での出版はThieme Medical Publishers, Inc.が指揮を執っています。この新体制によって,組織としての可能性が拡大することや,NANDA-Iの用語集が世界中で利用できるようになることを期待しています。

 時間と献身と熱意を本書の作業に注いでくれたすべてのNANDA-Iボランティア,委員会の委員,委員長,理事会役員をここで称賛させていただくとともに,たくさんのご支援にも感謝したいと思います。さらに,専務理事Heather Herdman博士をはじめとする事務局スタッフの努力とサポートにも心から感謝します。

 本書に掲載している看護診断のレビュー,そして編集に並外れた努力をしてくれた診断開発委員会の委員,特に2014年から委員長を務めているProfessor Dickon Weir-Hughesのリーダーシップには本当に感謝しています。この誇るべき委員会には北米,中南米,ヨーロッパからの代表者が集っていて,NANDA-Iの知的財産の本当の意味での「製造工場」になっています。長年続いているボランティアによる驚くほど綿密な作業には,深く感銘するとともに,本当に嬉しく感じています。

 NANDAインターナショナル理事長
 上鶴 重美
 Shigemi Kamitsuru, PhD, RN, FNI

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第1部 NANDA インターナショナル用語集:構成と一般情報
 1 はじめに
 2 定義と分類 2018-2020年版の最新情報
 3 変更と改訂
 4 ガバナンスと組織

第2部 NANDA インターナショナル看護診断の理論的裏づけ
 5 看護診断の基本
 6 臨床推論:アセスメントから看護診断へ
 7 NANDA-I看護診断の分類法入門
 8 NANDA-I看護診断分類法の仕様と定義
 9 よくある質問
 10 用語解説

第3部 NANDA-I 看護診断
 領域(1) ヘルスプロモーション
 領域(2) 栄養
 領域(3) 排泄と交換
 領域(4) 活動/休息
 領域(5) 知覚/認知
 領域(6) 自己知覚
 領域(7) 役割関係
 領域(8) セクシュアリティ
 領域(9) コーピング/ストレス耐性
 領域(10) 生活原理
 領域(11) 安全/防御
 領域(12) 安楽
 領域(13) 成長発達

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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