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NANDA-I看護診断 定義と分類 2021-2023 原書第12版

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NANDAインターナショナルで承認された看護診断を収めたハンドブック。46の新しい看護診断を追加、67の看護診断を改訂、17の看護診断名が変更された。アセスメントから適切な看護診断確定までのプロセスについての解説も充実。臨床でのレファレンスに、また看護診断の学習に役立つナース必携の書。

上鶴 重美
発行 2021年07月判型:A5頁:624
ISBN 978-4-260-04628-2
定価 3,520円 (本体3,200円+税)

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 国際看護師・助産師年は,残念なことに,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いで始まりました。感染防護用品が十分にあるとはいえないなかで,患者ケアにあたっている医療現場の皆さんには,どんなに感謝しても感謝しきれません。世界では未だに新型コロナウイルス感染症の終息に目途が立っていません。そんななかで私はこれを書いています。皆さんがこの書籍を手にする頃には,効果的な治療法や予防策が見つかっていて,誰もが利用できる状況になっていることを心から願っています。

 先日,最前線で戦っている看護師から「新型コロナウイルス感染症の患者さんにはどの看護診断を使えばよいのでしょうか?」と聞かれて,なんだか動揺してしまいました。というのは,看護診断の意味や意義については,繰り返し説明してきたつもりでしたが,現場には全く伝わっていないことをあらためて実感したからです。おさえていただきたい最大のポイントは,医学診断が同じ患者さんでも,人間の反応(看護診断)は同じになるとは限らないという点です。つまり,遺伝子型が同じコロナウイルス感染症の患者さんであっても,誰もが同じ人間の反応を示すわけではないのです。看護師として患者さんに適切なケアを提供するためには,まずはしっかりと看護アセスメントを行い,それぞれの患者さんにみられる特有な人間の反応を明らかにしなくてはなりません。今のように大変な状況下だからこそ,患者さんやそのご家族に対して,私たち看護師が独自に診断し治療している「何か」,医学的診断とは違う「何か」をはっきりさせておく必要があります。新型コロナウイルス感染症の患者さんやそのご家族の看護診断を確実に記録に残しておけば,近い将来,世界的な観点から,人間の反応の共通点や相違点を明らかにすることができるかもしれません。

 本書『NANDA-I看護診断定義と分類2021-2023 原書第12版』には,全部で267の看護診断を掲載しています。看護診断の1つひとつが,1人ないし複数のNANDA-Iボランティアから提案されたものであり,確かな科学的根拠に基づいています。新しい診断はそれぞれ,診断開発委員会(Diagnosis Development Committee:DDC)から選ばれた第一査読者やコンテンツの専門家によるレビューや洗練作業を経てDDCが承認したものです。しかし,DDCが承認したといっても,それぞれの看護診断は「完成品」ではありませんし,あらゆる国のすべての臨床領域で「使用可能」というわけでもありません。いうまでもなく,看護実践や看護に関係する規制は,国ごとでかなり違いがあります。新しい看護診断を本書で発表する目的は,妥当性を検証するさらなる研究が世界各地で行えるようにすることであり,エビデンスレベルの向上を期待しているからです。

 新しい看護診断の提案を,私たちは常に歓迎しています。それと同時に,既にある看護診断については,最新のエビデンスを反映させる洗練作業も必要です。第11版では,エビデンスレベルがない,あるいは大幅に改訂すべき約90の看護診断を特定しました。多くのボランティア(看護診断の焦点について論文を執筆されている方々ですが)のご協力のおかげで,これらの看護診断の多くを改訂することができ,エビデンスレベルの基準も満たしています。しかし,すべての改訂はできなかったため,エビデンスレベルが不明なままの診断が約40残っています。次版の出版までには,残りの看護診断を改訂または削除する予定です。学生の皆さん,そして研究に携わるすべての方々にお願いです。この用語集のエビデンスをさらに高めていくために,看護診断にかかわる研究結果をNANDA-Iにご提供ください。

 NANDA-I用語集は20以上の異なる言語に翻訳されています。抽象的な英語表現を他の言語に翻訳する際にはイライラがつきものです。そこで本書の改訂作業を進めるなかで,翻訳者を手助けするために,アメリカ国立医学図書館による標準用語集Medical Subject Headings(MeSH)を組み込むことにしました。診断手がかり用語に,必要に応じてMeSH用語を使用することで,翻訳者は標準的な定義を参照できるので,翻訳作業の支援につながると考えています。

 前回の出版以降の出来事として,ボストンカレッジのコーネル看護学部との初めての永続的連携を構築することができました。Dorothy Jones博士の指揮の下,「知識開発と臨床推論のマージョリー・ゴードンプログラム」を設立しました。2018年には学術集会を初めてボストンカレッジで開催し,2回目を2020年に計画していましたが,残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。しかし,ボストンカレッジとNANDA-I との共同事業は確実に進んでいます。オンライン教育モジュールが完成しましたし,また,世界各地(ブラジル,イタリア,スペイン,ナイジェリア)から博士号取得後の研究員がゴードンプログラムを利用しています。今後の学会,教育の機会,博士号取得後の研究員に対する奨学金など,ボストンカレッジとの連携によって可能になるさまざまな展開に期待しています。Dorothy Jones博士,Susan Gennaro看護学部長,Christopher Grillo副学部長には,この連携を実現するためにいただいたご協力・ご尽力に心から感謝申し上げます。

 本書の改訂作業に,時間と献身と熱意を注いでくれたすべてのNANDA-Iボランティア,委員会の委員,委員長,理事会役員をここで称賛させていただくとともに,多くの支援にも感謝したいと思います。またNANDA-Iの会員ではないにもかかわらず,関係している専門分野の看護診断をレビューして改訂に多くの時間を費やしてくれたコンテンツの専門家の皆さんにも感謝したいと思います。さらに,専務理事Heather Herdman博士をはじめとする事務局スタッフの尽力と支援にも心から感謝しています。

 本書に掲載している看護診断のレビューと編集に並外れた努力をしてくれた診断開発委員会の委員と臨床諮問委員会のエキスパート,特に2019年から委員長を務めているCamila Takáo Lopes 博士のリーダーシップには本当に感謝しています。北米,南米,ヨーロッパからの代表者が集まっているこの誇るべき委員会は,NANDA-I知的財産のまさに「製造工場」です。本書の改訂に向けた驚くほど綿密なボランティア作業には,深く感銘するとともに,本当に嬉しく感じていますし,皆さんもきっとそうだと確信しています。

 世界中の看護師のために尽力しているこの学会の理事長として活動できたことを光栄に思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 NANDAインターナショナル理事長(2020年10月まで)
 上鶴重美
 Shigemi Kamitsuru, PhD, RN, FNI

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第1部 NANDAインターナショナル用語集:概説
 1 2021-2023年版の最新情報
 2 NANDA-I看護診断使用に関する国際的留意事項

第2部 用語集強化に向けた研究の推奨事項
 3 NANDA-I用語集の今後の改良点
 4 診断提出時のエビデンスレベル判定基準改訂版

第3部 NANDA-I看護診断の活用
 5 看護診断の基本
 6 看護診断:国際的用語集
 7 臨床推論:アセスメントから看護診断まで
 8 臨床応用:データ分析から適切な看護診断の確定まで
 9 NANDA-I看護診断の分類法入門
 10 NANDA-I看護診断分類法の仕様と定義
 11 用語解説

第4部 NANDA-I看護診断
 領域1 ヘルスプロモーション
 領域2 栄養
 領域3 排泄と交換
 領域4 活動/休息
 領域5 知覚/認知
 領域6 自己知覚
 領域7 役割関係
 領域8 セクシュアリティ
 領域9 コーピング/ストレス耐性
 領域10 生活原理
 領域11 安全/防御
 領域12 安楽
 領域13 成長/発達

索引

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