• HOME
  • 書籍
  • 小児科学・発達障害学 第3版

言語聴覚士のための基礎知識
小児科学・発達障害学 第3版

もっと見る

言語聴覚士をめざす学生のための専門基礎科目教科書「言語聴覚士のための基礎知識」シリーズの1冊。3版では言語聴覚士に必要な医学知識の充実を図ったことが特長。さらにSTが臨床で携わる障害児の知識、専門科目「言語発達障害学」への橋渡しとなる基礎的解説もこれまでどおり収載。診療現場、STによる臨床風景の紹介も好評。
シリーズ 言語聴覚士のための基礎知識
編集 宮尾 益知 / 小沢 浩
発行 2019年10月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-03815-7
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 正誤表

開く

第3版 序にかえて

 まず,この時点で第3版をお届けできることを何よりの喜びとしてご報告します.
 幸いにも初版と第2版は新しい形での言語聴覚士に対する小児科教科書として,またレベルの高い教科書としてみなさまに好評裏に迎えていただいてきたことを,喜びとしておりました.第3版の企画は数年前より出ていましたが,時代の変化に則した内容にと考えたことから内容と執筆者の大幅な変更となり,第2版を刊行してから本第3版の出版までに10年の年月が経ってしまいました.誠に申し訳ないことと思っています.
 初版を企画した当時は,本書の対象読者である言語聴覚士が正式な国家資格として認められた1997年,さらに国家試験が始まった1998年から間もない頃でありました.ちょうどこの頃は,子どもの成長・発達,すなわち身体からこころの問題に注目が集まるようになり,こころの問題も,愛着に重きを置いた考え方から「発達障害」を基盤として,認知障害の立場から子どもの行動を考えるようになった時期でもありました.すなわち,社会生活などに適応しにくい子どもたちは,愛着障害の結果の不安によるという考え方から,認知のゆがみによると考えられるように認識が変わりました.こうして「発達障害」の概念は,医学から教育に,そして社会へと広がっていきました.そして,子どものサポートシステムの見直しがされていきました.
 第2版では,言語聴覚士の存在が小児科領域において必要不可欠であると認識され始めた時期でした.子どもが社会で健全に生きていくためにはコミュニケーション,言語が必要不可欠であり,言語リハビリテーションで改善しうるとの認識も広がっていきました.そのため,身体的な疾患が主であっても言語聴覚士の必要性が増してきました.身体疾患のある小児に対してもより理解ができることをめざし,最新の知識を加えていきました.発達障害児学についても,初版の記述に最新の知見を付加しました.
 第3版を発行する現在は,小児が社会的存在としてますます認識されるようになり,小児期における疾患が成人にまで継続する認識の高まりとともに,将来を見通した治療を行わなければならなくなってきています.身体疾患についても最新の知識を加えました.発達障害に関しても,2013年の障害者総合支援法の改正,障害者差別解消法の制定,障害者雇用促進法の改正など,重要な法案が通過しました.私たちは,これからの未来をになう子どもたちにどのような支援を,今行わなければならないのかという課題と,またきちんと考えることのできる言語聴覚士を育てるという意図を,幸いにして執筆者同士が共有することができ,初版,第2版以上に良い本とすることができました.
 読者の方々は,子どもに対する熱い思いと最新の知識を,との思いから始まった本書を熟読し,巣立たれたときに自分を変えてくれた存在として思い出していただければ幸いです.

 2019年9月吉日
 宮尾 益知
 小沢  浩

開く

第1章 小児科学
 1 小児科学とは
 2 小児の発達・成長
  A 小児の発達
  B 小児の成長
 3 小児保健
  A 育児
  B 乳幼児健診
  C 事故
  D 予防接種
  E 児童虐待
 4 小児疾患の診断法
  A 小児疾患の診断法
  B 問診(病歴聴取)
  C 診察法
  D 臨床検査
  E 主要症状による鑑別診断
 5 遺伝疾患と先天異常
  A 遺伝疾患の分類と頻度
  B 主な染色体異常症
  C 先天奇形
  D 先天代謝異常
 6 新生児疾患
  A 新生児とは,周産期とは
  B 新生児の分類と用語
  C ハイリスク新生児
  D 新生児の生理と適応
  E 低出生体重児,早産児
  F 新生児仮死
  G 中枢神経系の障害
  H 呼吸器疾患
  I 循環器疾患
  J 新生児感染症
 7 神経・骨・筋肉疾患
  A 神経系
  B 骨・運動器
 8 循環器疾患
  A 正常な血行動態・心構造
  B 循環器疾患に伴う症状
  C 循環器疾患を診断するための検査
  D 先天性心疾患
  E 後天性心疾患
  F 不整脈
 9 呼吸器疾患
  A 小児呼吸器の病態生理学的特徴
  B 解剖別の呼吸器疾患
 10 感染症
  A はじめに
  B 感染経路別対策
  C 学校感染症
  D 予防接種
  E 疾患各論
 11 消化器疾患
  A 消化器の正常な機能
  B 消化器疾患の主要な症候
  C 消化器疾患
 12 内分泌・代謝疾患
  A 内分泌疾患
  B 代謝性疾患
 13 免疫・アレルギー疾患・膠原病
  A 免疫疾患
  B アレルギー総論
  C アレルギーの診断
  D アレルギー性疾患各論
  E 膠原病・自己免疫疾患
 14 腎・泌尿器・生殖器疾患
  A 基本的知識
  B 症候
  C 検査
  D 糸球体疾患
  E 全身性疾患に伴う腎障害
  F 遺伝性腎疾患
  G 尿細管・間質性疾患
  H 腎不全
  I 腫瘍
  J 尿路感染症
  K 腎・尿路の先天異常
  L 生殖器疾患
 15 血液疾患・悪性腫瘍
  A 貧血
  B 出血性疾患
  C 白血病
  D 悪性腫瘍
 16 心身症・神経症
  A 子どもの心身症
  B 各論
 17 眼科・耳鼻科系疾患
  A 眼科系疾患
  B 耳鼻科系疾患

第2章 障害児学
 1 障害児を取り巻く環境と障害児学
  A はじめに
  B 障害児にかかわる多様な専門職
  C 言語聴覚士が関わる小児(耳鼻咽喉科を含む)の疾病や障害とその周辺
  D 支援対象となる障害児の数
  E 障害児支援に関連する保健,福祉,教育などの法制度や支援体制の概略
  F 障害児の治療と支援:「療育」は「医学モデル」から「生活・社会モデル」へ
  G これからの障害児学と障害児支援
  H 診断と告知について
 2 運動機能とその障害─脳性麻痺を中心に
  A 脳(中枢神経系)の局在と成長・発達
  B 運動機能(ヒトの随意運動)
  C 運動障害
  D 脳性麻痺
 3 知的障害
  A はじめに
  B 原因と発症時期
  C 知能検査と重症度
  D 鑑別
  E 合併症
  F 対応・治療
 4 言語障害
  A はじめに
  B ことばの障害の診断・原因
  C ことばの障害への対応の実際
 5 感覚器障害
  A 視覚障害
  B 聴覚障害
 6 重複障害児
  A 定義(狭義と広義)
  B 特別支援学校における重複障害の状況
  C 重複障害のタイプ
 7 重症心身障害児
  A 概念・定義
  B 歴史
  C 大島分類
  D 超重症児・準超重症児
  E 原因
  F 発生頻度と死亡原因
  G 合併症 
 8 障害と認識されにくい「困難」など
  A “問題行動”が主訴にあがっているとき
  B 親子関係,家庭環境が気になるとき

第3章 発達障害学
 1 発達障害の概念の変遷と診断
  A 発達障害とは何か
  B 自閉スペクトラム症(ASD)
  C 注意欠如・多動症(ADHD)
  D 限局性学習症(SLD)
  E 発達性協調運動症
  F チック症
  G 発達障害を認知プロセスから
 2 発達障害の評価とその実施法
  A 発達障害の評価に用いる診断・検査と発達障害児への対応
  B 言語聴覚士としての対応
  C 多職種連携

第4章 診療の現場から
  A はじめに
  B 診察の実際

第5章 小児を取り巻く環境
  A はじめに
  B 婚姻・出産の状況
  C 出産・子育てを巡る意識など
  D 子育て男性の長時間労働
  E 男性の家事・育児時間
  F 国際比較
  G 子ども子育てに関する法律
  H 子ども・子育て会議の設置

付録
 関連法規(条文の抜粋とコメント)
 身体障害者障害程度等級表

索引

Side Memo 一覧
 ・赤ちゃんの味覚の発達(人間は生まれながらにしてグルメ?)
 ・社会性の発達
 ・VPDとは
 ・揺さぶられっこ症候群
 ・五感を駆使した診察
 ・泣いている子どもの診察
 ・ヒトゲノムとは
 ・遺伝相談,遺伝カウンセリング
 ・酵素補充療法
 ・代謝性疾患に対する遺伝子治療
 ・神経皮膚症候群と癌抑制遺伝子
 ・先天性無痛無汗症
 ・筋疾患と筋生検
 ・非侵襲性陽圧呼吸
 ・クループ症候群
 ・急性喉頭蓋炎
 ・耐性菌は世界的な大問題
 ・妊娠中の生肉摂取は要注意!
 ・便色カード
 ・小児で脱水になりやすいのはなぜ?
 ・夜尿症とは
 ・小児がん治療と晩期合併症
 ・シナプスとは
 ・運動野の髄鞘化
 ・「知的障害+聴覚障害」のケース紹介
 ・盲聾児の教育・訓練
 ・ウィング(Wing)の三つ組(みつぐみ)
 ・ことばとコミュニケーション指導の原則
 ・親子教室の実際
 ・子ども指導のポイント

Topics 一覧
 ・shuffling baby(いざり児)
 ・食育ということ
 ・遺伝医学の基礎
 ・出生前診断
 ・染色体部位の記載法
 ・NICU入院時の発達
 ・脳の発生
 ・続発性水頭症
 ・脊髄稽留症候群
 ・脳出血と被虐待症候群
 ・テンシロンテスト
 ・ミトコンドリアとミトコンドリア病
 ・レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
 ・ナットクラッカー現象
 ・膠質浸透圧
 ・糸球体濾過量(GFR)
 ・急性リンパ球性白血病(ALL)
 ・two hit theory
 ・象徴機能
 ・LCスケール
 ・LCSA
 ・AAC
 ・身体障害者障害程度等級
 ・視覚の発達期(=感受性期)と弱視
 ・ファミリアリゼーション
 ・伝音経路
 ・聴覚障害と発話明瞭度
 ・骨導補聴器
 ・補聴器導入検討のめやす時期“6か月”の根拠
 ・小児人工内耳適応基準(2014)
 ・点頭てんかん
 ・レノックス-ガストー(Lennox-Gastaut)症候群
 ・重症心身障害児(者)における認知発達段階別指導
 ・誤嚥・誤嚥検査
 ・ADHDへの対応の実際
 ・読字障害・書字障害の評価
 ・ランドー-クレフナー(Landau-Kleffner)症候群
 ・多職種連携への動き
 ・RAN課題
 ・校内委員会
 ・特別支援教育コーディネーター

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。