言語発達障害学 第3版
協会ガイドラインに準拠した、言語聴覚士をめざす学生のための教科書
もっと見る
言語聴覚士養成校で学ぶ「言語発達障害学」のテキストとして最適な1冊。第3版では日本言語聴覚士協会が2018年に発表した「言語聴覚士養成教育ガイドライン」を踏まえた目次立てとするとともに、学生が学ぶ際の指針として各章・各項目ごとに学修の到達目標を明示する。さらに今版では事例の記載を充実させ、臨床をイメージできる内容とするとともに、保健・福祉・教育との連携や言語発達障害支援の最前線についても解説する。
*「標準言語聴覚障害学」は株式会社医学書院の登録商標です。
更新情報
-
正誤表を掲載しました。
2024.03.05
- 編集者からのコメント
- 序文
- 目次
- 正誤表
編集者からのコメント
開く
前版で内容が重複していた部分を整理することで,よりシンプルでわかりやすい構成としました。特に第4章では,各障害の特徴や指導・支援法に関する記述をまとめたうえで事例を紹介して,具体的に学べる工夫をしました。また,保健・福祉・教育などの関連領域との連携については,独立した章で解説しました。そして,ICT 支援や多言語児童生徒への学習支援などの最先端の知識に関する章を新たに設けました。
序文
開く
第3版の序
本書の初版は2010年に,第2版は2015年に刊行された.本シリーズは言語聴覚士の標準的なテキストとして広く使用されており,質の維持とさらなる発展をはかるため,内容の更新が定期的に行われてきた.そして,初版の創刊から10年を節目として,第3版では全面的な改訂が行われることとなった.今回の改訂の大きなポイントとして,「言語聴覚士養成教育ガイドライン」に内容を対応させたことが挙げられる.また,解説された理論や技法が実際の臨床でどのように活用されるかを具体的に示すため,事例の項目が加えられたことも新たな特徴である.
そのようなシリーズ全体の改訂方針をふまえ,本書も構成と内容を一新し,以下のような構成となった.
第1章「言語とコミュニケーションの発達」
第2章「言語発達障害とは」
第3章「評価(アセスメント)・診断」
第4章「指導と支援」
第5章「保健,福祉,教育との連携」
第6章「言語発達障害支援の最前線」
第3版の編集にあたっては情報の構造化を図り,内容が重複していた部分を整理して,シンプルでわかりやすい構成にすることを方針とした.そのため,それまでいくつかの章に分散していた各障害の特徴や指導・支援法に関する記述を第4章にまとめるなどの工夫を行った.
また,保健,福祉,教育などの関連領域との連携を独立した章として設けた点も新たな特徴といえる.多職種連携はチーム医療における今日の重要な課題である.就学前に医療機関などで言語聴覚士の指導を受け,就学後は小学校のことばの教室で指導を受ける子どもは少なくない.一貫した支援を行うためには,言語発達の状態や経過,課題などについての情報の共有と,適切な引き継ぎや連携が欠かせない.そして,近年の障害者支援の重要な視点の1つに「合理的配慮」が挙げられるが,福祉や教育の分野におけるその取り組みを理解することも重要である.さらに,グローバル化に伴う外国籍の家族の増加や情報通信技術の発展など,ことばの発達や支援に関係する近年の趨勢は,言語聴覚士の仕事の質を高めるために持つべき知識といえる.第6章ではそのような最先端の情報を提供している.
今回の改訂では,次世代への継承という観点から,編者とともにいくつかの項目の執筆者にご交代いただき,若手の先生方に新たに加わっていただいた.これまで編集と執筆の労をお取りいただき,本書の基盤を築いてくださった先生方には心より感謝を申し上げる.
2021年1月
編集
深浦順一
藤野 博
石坂郁代
目次
開く
第1章 言語とコミュニケーションの発達
1 発達の全体像
A 前言語期
B 幼児前期
C 幼児後期
D 学童期
2 前言語期
A 前言語期とは
B コミュニケーションと音声言語の発達
3 幼児前期
A 幼児前期とは
B 語彙と構文の発達
4 幼児後期
A 幼児後期とは
B 語彙と構文の発達
C 会話とナラティブ
5 学童期
A 学習言語の発達
B 読み書きの発達
C 学童期におけるその他の言語の問題
第2章 言語発達障害とは
1 言語発達障害とは
A 言語発達障害とは
B 言語発達の阻害要因と言語発達障害
2 言語発達障害の医学的背景
A 発達の生理学(脳機能の発達を含む)
B 発達の病理学(発生異常,周産期障害など)
3 言語発達障害の臨床
A 言語発達障害の臨床の過程
B 評価・言語病理学的診断
C 指導・支援
D 子どもの未来を育てる専門家
第3章 評価(アセスメント)・診断
1 情報収集
A 主訴
B 生育歴
C 現症
D 関連領域からの情報
E 情報収集の方法
F 情報収集の実際(面接)
2 検査
A 検査の位置づけと目的
B 検査の対象領域
C 検査の種類
D 診療報酬点数と発達検査・知能検査
E 標準的な検査の流れ
F 代表的な各種検査
G 個別検査を実施する際の留意点
3 評価のまとめ
A 評価のまとめの位置づけ
B 評価・診断過程の留意点
C 包括的な評価・診断に向けて
D 包括的な評価・支援につなげるためのICFの活用
E 収集した情報のまとめと報告書の作成
第4章 指導と支援
1 発達段階に応じた指導
A 指導の基本的背景
B 前言語期における指導
C 幼児前期における指導
D 幼児後期における指導
E 学童期における指導
2 環境調整
A 保護者支援
B 関係諸機関との連携
C カウンセリングマインド
3 特異的言語発達障害
A 特異的言語発達障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 近年のSLI児の言語指導や支援
E 事例紹介
4 限局性学習障害
A 限局性学習障害とは
B 評価
C 支援
D 発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)
E 事例紹介
5 知的能力障害
A 知的能力と知的能力障害
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価の前提:言語聴覚士と子ども・養育者の関係性
D 評価
E 支援
F 事例紹介
6 自閉症スペクトラム障害
A 自閉症スペクトラム障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
E 事例紹介
7 注意欠如・多動性障害
A 定義
B 発達経過
C 病態
D 言語・コミュニケーション障害の特徴
E 医学的診断
F 神経心理学的評価
G 支援
H 言語聴覚士による支援
I 事例紹介
8 脳性麻痺・重複障害
A 脳性麻痺・重複障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
E 課題と展望
F 事例紹介
9 小児失語症と後天性高次脳機能障害
A 小児失語症と後天性高次脳機能障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
E 事例紹介
第5章 保健,福祉,教育との連携
1 特別支援教育における言語発達障害児の支援
A 特別支援教育の歴史
B 教育における言語障害
C 言語障害教育の歴史
D 言語障害教育の現状と課題
E 言語障害教育における専門性の向上
2 地域支援における連携
A 乳幼児期における言語聴覚士
B 保育所などとの連携・支援における言語聴覚士の役割
C 学童期の支援における言語聴覚士の役割
3 高等教育における支援(就労支援を含む)
A 言語発達障害のある大学生の実態
B 大学等高等教育機関における障害のある学生への支援
C 職場での支援状況
D 高等教育や就労場面での専門職の役割と連携
第6章 言語発達障害支援の最前線
1 言語聴覚士のかかわりと位置づけ
A ICT支援
B 多言語児童生徒の学習支援
C 低出生体重児における言語発達の問題
2 ICT支援
A 障害のある人の生活・学習を助ける支援技術
B 障害者の権利としての合理的配慮とICT機器
C 障害の個人モデルから社会モデルへの移行
D ICT利用が発達にもたらす影響
E 身近なICT機器・あるテクが言語発達障害支援を変える
F 心理検査を用いた情報共有による権利擁護
3 多言語児童生徒の学習支援
A 多言語環境で育つ子どもたち
B 多言語児童生徒の学習支援の実情と課題
C 支援の方法――岐阜県可児市の例
D 今後の展望と課題
4 低出生体重児における言語発達の問題
A 低出生体重児とは
B 言語発達の特徴
C ディベロップメンタルケア
参考図書
索引
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
更新情報
-
正誤表を掲載しました。
2024.03.05