急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版
急性中毒診療における迅速・的確な初期対応のTheory & Method!
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急性中毒診療に関して「最初に何をやるべきか」「症状から疑う中毒物質」といった初期対応を、図やチャートを使ってわかりやすく解説したマニュアル。基本的で応用可能な中毒診療の理論を総論で示し、各論では臨床で出合うことの多い中毒物質を52種類取り上げる。救急隊員のコールから患者到着までにパッと開いてサッと確認できるハンディな1冊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
監修 | 相馬 一亥 |
執筆 | 上條 吉人 |
発行 | 2012年08月判型:B6変頁:440 |
ISBN | 978-4-260-01553-0 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
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- 目次
- 書評
目次
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I 総論
第1章 語呂合わせで覚える初期対応のポイント
A 原因薬毒物の推定
意識障害の鑑別
検査所見による推定
臨床症状による推定
特徴的な臭い
尿のスクリーニング検査
B 全身管理と情報収集
気道の管理
呼吸の管理
循環の管理
中枢神経系の管理
合併症の管理
情報収集
C 吸収の阻害
胃洗浄
活性炭の投与
腸洗浄
吐根シロップによる催吐
下剤の投与
D 排泄の促進
尿のアルカリ化
活性炭の繰り返し投与
血液浄化法
E 解毒薬・拮抗薬
受容体で薬毒物などと競合的に拮抗する薬物
薬毒物により失活した酵素の活性を回復させる薬物
薬毒物または毒性代謝物と結合して毒性を弱めて排泄を促す薬物
薬毒物の毒性代謝物の産生を抑える薬物
薬毒物または毒性代謝物との化学反応により毒性の低い化学物質へ変化させる薬物
補因子として薬毒物または毒性代謝物の代謝を促す薬物
薬毒物または毒性代謝物の排泄を促す薬物
F 「死へのエネルギー」の評価とトリアージ
「死へのエネルギー」の評価
後方施設へのトリアージ
II 各論
第2章 医薬品
A 向精神薬
1.フェノチアジン誘導体
2.ブチロフェノン誘導体
3.代表的な非定型抗精神病薬
4.第1世代三環系抗うつ薬
5.第2世代三環系抗うつ薬
6.第3世代抗うつ薬
7.カルバマゼピン
8.リチウム
9.ベンゾジアゼピン類
10.バルビツール酸類
B OTC薬
11.アセトアミノフェン
12.アスピリン
13.ブロムワレリル尿素
14.ジフェンヒドラミン
C 循環器用薬
15.ジギタリス
16.β遮断薬
17.カルシウム拮抗薬
D その他の医薬品
18.テオフィリン
E 覚醒剤・麻薬
19.メタンフェタミン,メチレンジオキシメタンフェタミン
20.オピオイド類
21.セロトニン類似物質
22.コカイン
23.大麻
第3章 農薬
A 殺虫剤
24.有機リン
25.カーバメート
B 除草剤
26.グルホシネート含有除草剤
27.グリホサート・界面活性剤含有除草剤
28.パラコート
29.アニリン系除草剤
C 殺鼠剤
30.4-ヒドロキシクマリン誘導体
第4章 家庭用品
A 洗浄剤など
31.酸・塩基性家庭用品
B その他
32.タバコ
第5章 化学用品・工業用品
A 炭化水素および芳香族化合物
33.天然ガス成分・石油製品
34.シンナー
35.フェノール,クレゾール
B アルコール類・グリコール類
36.メタノール
37.エチレングリコール
C 金属
38.鉄化合物
39.水銀元素,無機水銀化合物
40.無機ヒ素化合物
41.鉛
D ガス
42.一酸化炭素
43.硫化水素
44.水溶性の高い刺激性ガス
45.水溶性の中等度の刺激性ガス
46.水溶性の低い刺激性ガス
E その他
47.シアン化合物
48.フッ化水素酸
第6章 生物毒
A 植物
49.ドクツルタケ類
50.トリカブト
B 動物
51.フグ
52.毒ヘビ咬傷
付録1.ミステリ散歩
付録2.向精神薬の識別コード一覧
欧文索引
和文索引
第1章 語呂合わせで覚える初期対応のポイント
A 原因薬毒物の推定
意識障害の鑑別
検査所見による推定
臨床症状による推定
特徴的な臭い
尿のスクリーニング検査
B 全身管理と情報収集
気道の管理
呼吸の管理
循環の管理
中枢神経系の管理
合併症の管理
情報収集
C 吸収の阻害
胃洗浄
活性炭の投与
腸洗浄
吐根シロップによる催吐
下剤の投与
D 排泄の促進
尿のアルカリ化
活性炭の繰り返し投与
血液浄化法
E 解毒薬・拮抗薬
受容体で薬毒物などと競合的に拮抗する薬物
薬毒物により失活した酵素の活性を回復させる薬物
薬毒物または毒性代謝物と結合して毒性を弱めて排泄を促す薬物
薬毒物の毒性代謝物の産生を抑える薬物
薬毒物または毒性代謝物との化学反応により毒性の低い化学物質へ変化させる薬物
補因子として薬毒物または毒性代謝物の代謝を促す薬物
薬毒物または毒性代謝物の排泄を促す薬物
F 「死へのエネルギー」の評価とトリアージ
「死へのエネルギー」の評価
後方施設へのトリアージ
II 各論
第2章 医薬品
A 向精神薬
1.フェノチアジン誘導体
2.ブチロフェノン誘導体
3.代表的な非定型抗精神病薬
4.第1世代三環系抗うつ薬
5.第2世代三環系抗うつ薬
6.第3世代抗うつ薬
7.カルバマゼピン
8.リチウム
9.ベンゾジアゼピン類
10.バルビツール酸類
B OTC薬
11.アセトアミノフェン
12.アスピリン
13.ブロムワレリル尿素
14.ジフェンヒドラミン
C 循環器用薬
15.ジギタリス
16.β遮断薬
17.カルシウム拮抗薬
D その他の医薬品
18.テオフィリン
E 覚醒剤・麻薬
19.メタンフェタミン,メチレンジオキシメタンフェタミン
20.オピオイド類
21.セロトニン類似物質
22.コカイン
23.大麻
第3章 農薬
A 殺虫剤
24.有機リン
25.カーバメート
B 除草剤
26.グルホシネート含有除草剤
27.グリホサート・界面活性剤含有除草剤
28.パラコート
29.アニリン系除草剤
C 殺鼠剤
30.4-ヒドロキシクマリン誘導体
第4章 家庭用品
A 洗浄剤など
31.酸・塩基性家庭用品
B その他
32.タバコ
第5章 化学用品・工業用品
A 炭化水素および芳香族化合物
33.天然ガス成分・石油製品
34.シンナー
35.フェノール,クレゾール
B アルコール類・グリコール類
36.メタノール
37.エチレングリコール
C 金属
38.鉄化合物
39.水銀元素,無機水銀化合物
40.無機ヒ素化合物
41.鉛
D ガス
42.一酸化炭素
43.硫化水素
44.水溶性の高い刺激性ガス
45.水溶性の中等度の刺激性ガス
46.水溶性の低い刺激性ガス
E その他
47.シアン化合物
48.フッ化水素酸
第6章 生物毒
A 植物
49.ドクツルタケ類
50.トリカブト
B 動物
51.フグ
52.毒ヘビ咬傷
付録1.ミステリ散歩
付録2.向精神薬の識別コード一覧
欧文索引
和文索引
書評
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中毒臨床にかかわるすべての人に
書評者: 冨岡 譲二 (福岡和白病院副院長・救急部長)
北里大学で中毒・心身総合救急医学講座を主宰されている上條吉人先生は,大学で化学を学んだ後,医学部に進学。精神科医としての人生を歩み始めた矢先に,受け持ちの患者さんが自殺されたことをきっかけにして,一大決心をして救急医学の道に進まれた熱意ある医師です。診療の傍ら,主に中毒に関してのたくさんの論文を書いてこられましたし,臨床医の視点から中毒診療を体系化した名著『臨床中毒学』(医学書院,2009年)をはじめ,中毒に関するご著書も多数上梓されています。
今回ご紹介する『急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版』は,その上條先生の最新作。急性中毒診療の入門書として定評のあった『イラスト&チャートでみる急性中毒診療ハンドブック』(医学書院,2005年)を,「レジデントマニュアル」シリーズの一冊として改訂したものです。サイズがほかの「レジデントマニュアル」シリーズと同じマニュアル判(B6変形判)と,ずいぶんコンパクトになっただけではなく,内容も全面的に見直され,『臨床中毒学』と連携できるように工夫されています。
2012年7月末の日本中毒学会学術集会(東京都新宿区)では,大学病院の初期臨床研修医に「中毒と聞いてどんなことを連想しますか?」と尋ねたアンケートに,6割が「怖そう」と答えたという発表がありました。また,研修医だけではなく,救急診療に携わっている多くの医療スタッフからも,「急性中毒の診療はよくわからない」「めんどくさい」という声をしばしば聞きます。『急性中毒診療レジデントマニュアル』は,まさにそんな研修医をはじめとする医療スタッフのために書かれた本です。
個人的に,中毒診療のための必携の書は,内藤裕史先生の『中毒百科――事例・病態・治療 改訂第2版』(南江堂,2001年),日本中毒学会がまとめた『急性中毒標準診療ガイド』(じほう,2008年),それに上條先生の『臨床中毒学』と思っていますが,この3冊はどれも大部で高価なのがネックでした。しかし,この『急性中毒診療レジデントマニュアル』はポケットに入りますし,価格も手ごろですから,中毒臨床にかかわるすべての人にお薦めできます。さらに,項目ごとに『臨床中毒学』で参照すべきページが示されているため,より深く中毒学を勉強したい方にも最適です。
上條先生は,臨床家としても,研究者としても素晴らしく優秀な方なのですが,一歩職場を離れると,アウトドアのスペシャリストであり,日本中毒学会が主催する中毒フォトコンテストで何度も入賞されているプロ顔負けの写真家でもあり,さらには,いつそんなに読んでおられるのか不思議になるくらいの読書家でもあります。本書には,古今東西のミステリで使われた毒物・薬物を取り上げたコラム「ミステリ散歩」があります。本文の該当物質の記載ページを示しながら解説したこのコラムは,そんな趣味人としての上條先生の面目躍如といったところかもしれません。
書評者: 冨岡 譲二 (福岡和白病院副院長・救急部長)
北里大学で中毒・心身総合救急医学講座を主宰されている上條吉人先生は,大学で化学を学んだ後,医学部に進学。精神科医としての人生を歩み始めた矢先に,受け持ちの患者さんが自殺されたことをきっかけにして,一大決心をして救急医学の道に進まれた熱意ある医師です。診療の傍ら,主に中毒に関してのたくさんの論文を書いてこられましたし,臨床医の視点から中毒診療を体系化した名著『臨床中毒学』(医学書院,2009年)をはじめ,中毒に関するご著書も多数上梓されています。
今回ご紹介する『急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版』は,その上條先生の最新作。急性中毒診療の入門書として定評のあった『イラスト&チャートでみる急性中毒診療ハンドブック』(医学書院,2005年)を,「レジデントマニュアル」シリーズの一冊として改訂したものです。サイズがほかの「レジデントマニュアル」シリーズと同じマニュアル判(B6変形判)と,ずいぶんコンパクトになっただけではなく,内容も全面的に見直され,『臨床中毒学』と連携できるように工夫されています。
2012年7月末の日本中毒学会学術集会(東京都新宿区)では,大学病院の初期臨床研修医に「中毒と聞いてどんなことを連想しますか?」と尋ねたアンケートに,6割が「怖そう」と答えたという発表がありました。また,研修医だけではなく,救急診療に携わっている多くの医療スタッフからも,「急性中毒の診療はよくわからない」「めんどくさい」という声をしばしば聞きます。『急性中毒診療レジデントマニュアル』は,まさにそんな研修医をはじめとする医療スタッフのために書かれた本です。
個人的に,中毒診療のための必携の書は,内藤裕史先生の『中毒百科――事例・病態・治療 改訂第2版』(南江堂,2001年),日本中毒学会がまとめた『急性中毒標準診療ガイド』(じほう,2008年),それに上條先生の『臨床中毒学』と思っていますが,この3冊はどれも大部で高価なのがネックでした。しかし,この『急性中毒診療レジデントマニュアル』はポケットに入りますし,価格も手ごろですから,中毒臨床にかかわるすべての人にお薦めできます。さらに,項目ごとに『臨床中毒学』で参照すべきページが示されているため,より深く中毒学を勉強したい方にも最適です。
上條先生は,臨床家としても,研究者としても素晴らしく優秀な方なのですが,一歩職場を離れると,アウトドアのスペシャリストであり,日本中毒学会が主催する中毒フォトコンテストで何度も入賞されているプロ顔負けの写真家でもあり,さらには,いつそんなに読んでおられるのか不思議になるくらいの読書家でもあります。本書には,古今東西のミステリで使われた毒物・薬物を取り上げたコラム「ミステリ散歩」があります。本文の該当物質の記載ページを示しながら解説したこのコラムは,そんな趣味人としての上條先生の面目躍如といったところかもしれません。